ヒリヒリするような

プーです。

7月に沢登りデビューの予定である。職場の後輩Ｓ君と、バイトのＭさんを誘った。

このＭさん、実はとんでもない人である。アコンカグア登ってるし。冬季八ケ岳連峰の硫黄岳をＭＢＴ担いで登頂とかありえないし。国内の難ルートをいくつも登っている。本まで出している。彼のＨＰで色んな文章が読める。とても上手く、味のある文章を書く。俺と対極だ。最近はクライミング中心に活動しているらしいが、どっちにしろバリバリのアルピニストだ。

そのＭさんを誘ってみた。Ｓ君も俺から見ると経験のある沢屋なのだが、Ｍさんも一緒ならもっと安全で安心な沢デビューができる、と思ったのだ。

平日の暇な昼時、売場の手直しをしているとＳ君が近づいてきた。「Ｍさん『ヒリヒリするようなアルパインがいい』だそうです。」

バリバリのＭさんがヒリヒリするような・・・。どう考えても俺には無理そうなんですが。レジにいるＭさんに「すんません、初めてなんで軽めで・・」とお願いすると、「ワイワイキャッキャッとチャプチャプな沢登りがいいですか？」

そんな事言われて「はい、チャプチャプで」と言えるわけないじゃないですか。後日、「ヒリヒリで」とお願いしてきた。7月16日、思い出に残るヒリヒリ体験ができそうだ。


にしても、「ヒリヒリするようなアルパイン」。さすが文章でお金をもらう人である。すごく上手い表現で、まだ行ってもいないのにヒリヒリ感が伝わってくる。そしてＳ君との間で「ヒリヒリするような」という言葉が流行り始めた。

入社３ヶ月目のＳ君、最近はレジ閉めの教育を受けている。多少ピリピリしている上司の下でストレスを溜めつつ頑張っているＳ君が少し不憫で声をかけてあげたりしている。彼は言った。「ヒリヒリするようなレジ作業です。」

上手い。すごく伝わってくる。そして笑える。彼のレジ閉めを見るたびに笑える。勘弁してくれ。