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プロヴァンスを巡ろう 23 <いよいよプロヴァンスの首都 エックス・アン・プロヴァンス を訪れる>

2020-12-09 00:19:47 | 素晴らしき世界/フランス/プロヴァンス
『Fontaine de la Rotonde  ロトンドの噴水』


プロヴァンスの首都は
『Aix-en-Provence  エックス・アン・プロヴァンス』

その中心地への入り口にあたる広場が
ロトンドの噴水のある広場です

そこから
街で一番知名度が高い通り
『Cours Mirabeau  クール・ミラボー』
が始まる

『COURS』は
並木を伴う大通りの事を言います

ところでエックスの街は
別名「100の噴水の街」と言われます

このクール・ミラボーには
二つの苔むした噴水があります

噴水と訳しますが
「Fontaine』には泉とか湧水口
あるいは共同水場などの意味もあります

一つ目


ちゃんと水が流れ出ていますよね
これは昔からの湧き水を引いているのです

南仏の夏は強烈な暑さ
その時この噴水に手を浸すとひんやり冷たくて嬉しい

そして二番目


こちらは
水の出水具合がわかりにくいですが
何箇所かちょろちょろと水が垂れ下っている

また手を水に差し伸べると
なんと
ほのかに暖かい

実はこの地は
古代ローマ時代にアウグストゥスが好んで湯治に訪れて以来
湯治場として栄えた

ラテン語で水 AQUA と言いますが
そのアクアが鈍って
そのうち『Aix  エックス』という街名に
なりました

この噴水の水こそ
アウグストゥスが愛した温泉と同じ泉源からもたらされているのです

どちらも「苔むした」噴水ですが
この熱泉を特に
『Fontaine Moussus   苔むした泉』
と呼んでいます




この『クール・ミラボー』には
両側にお店やレストランやカフェが軒を連ね
エックスの市民にとって最も象徴的な場所なのです
日本人にとっての「銀座通り」
パリジャンにとっての「シャン・ゼリゼ大通り」

それらの中に
世界的に有名なカフェがあります
『Café des Deux Garçons  カフェ・デ・ドゥ・ギャルソン』


このカフェこそが
パリから故郷に帰ってきた『ポール・セザンヌ』が
入り浸った店だった


『カードをする二人の男』
このカフェでスケッチをした


ところで
ここ「エックス」のカテドラルにはとても大切な文化財が
残されています



正面屋根の上の大天使ミカエル像

この
『Cathédrale St Sauveur  聖救世主大聖堂』
の特徴の一つが
両面の壁で向き合う「二重連パイプオルガン」


もう一つが
「歴史的に重要な文化財」
なのです

古代ローマ崩壊以後
ゲルマンの諸族の跋扈で旧ローマ帝国領域が細分化し
文化が一挙に衰退してしまった西欧に
5世紀後半フランク族の王『クローヴィス』がローマ・カトリックに改宗して
『メロヴィング王朝』を立て
8世紀半ば
宰相(宮宰)ピピンによって『カロリング王朝』と変わり
旧西ローマ帝国の領土の大半を再統一し
次の王『シャルル』が
ローマ教会から『皇帝位』を授けられた事でローマ帝国の権威が再興
その
『神聖ローマ皇帝シャルル・マーニュ(カール大帝)』
ヨーロッパの基礎を打ち立てた

その頃の様式の『洗礼槽』が残っている

エックスのそれの起源はなんと6世紀



『シャルル・マーニュ(カール大帝)』
低地ドイツの地の湯治場を好み
『フランク王国』を打ち立てた際
最初の宮廷所在地(首都)となった『エックス・ラ・シャペル』
(独名アーヘン 蘭名アーケン)
に建てた宮廷大聖堂が
外側が円形で内側に八角形という形式


そちらは絢爛豪華だが
その起源がこの『エックス・アン・プロヴァンス』

まだこの頃の「洗礼」は
小さなプールに自ら浸かってなされた

八角形の槽
それを円柱が八角形に立てられて取り囲む形



この形式は
イタリアではルネッサンス時代まで受け継がれた


ミラノ大聖堂の地下
ロマネスク時代の洗礼槽の遺構



北イタリア
ピエモンテ地方のノヴァーラの例



フィレンツエ
名高き『花の大聖堂』の脇にある「大洗礼堂」は好例

この『エックスの聖救世主大聖堂』にはそのほか
地下祭室にも古い時代ロマネスクの頃の遺構が見られる


当時の祭壇とその背後の彫像とフレスコの名残



『聖ミートル』の「石棺」と
その上に「聖遺物」



壁面から四半ドーム天井のフレスコの名残


ここにも回廊がある


その
アーケードを支える二列柱が
何も装飾のないシンプルな円柱だったり
らせん模様だったり

門の太い柱は「ねじん棒』だったり



四角柱と円柱のペアだったり
多角柱と円柱の対だったり


シャピトー(柱頭)が無装飾だったり
組紐文様や人物の物語だったり



一箇所の門の太い柱の装飾には
「天国の鍵」を持つ
聖ペテロがいらっしゃった




大聖堂から外に出ると
広間の太陽は冬でも眩しい


カフェには人が鈴なり






中央に立つ像は
ロワール河下流域アンジューの大伯爵にして
プロヴァンス伯爵
その他
数々の王位爵位を併せ持った
『Bon Roi René  善き王ルネ』




旧市街は17世紀の家並みが続き


人気のない裏通りはとても良い感じ



旧大司教館は
今では『タピスリー博物館』になっている


最後に
エックスの誇る美術館をご紹介しよう
『Musée Granet  グラネ美術館』


地方都市の美術館にしては
規模も所蔵品も有数の見事さです






ただ
ご当地の美術館なので
『ポール・セザンヌ』の晩年の代表作
『Montagne Sainte Victoire  サント・ヴィクトワール山』
の連作のうち4点を所有しているのですが
ガラス越しで
光の反射と距離の不足とで
写真が撮れなかったのが心残りでした

『サント・ヴィクトワール山』に関しては
日を改めて別項目を立てようと思っています

最後に街のもう一つの名物もご紹介
15世紀半ばに期限が遡る「銘菓」です
『Calissons d'Aix-en-Provence (カリッソン)』


クール・ミラボーに店のある老舗『Léonard Parli』のもの

アーモンド・パウダーに
各種ドライ・フルーツを砕いたものと砂糖混ぜ込んで生地を作り
上を白砂糖でコーティングしたものです

1450年代の「ルネ王」の二度目の結婚の披露宴に出された
菓子だった

十字軍での中東との触れ合いが
ヨーロッパ人に「アーモンド」をもたらし
最後の十字軍主唱者ルイ9世と同時代のルネ王にとって
時期を得たな菓子だったはずです
その後は
地元の「ベネディクト派修道院」が細々と作り続けて
収入源にしていました

量産(と言っても手作りです)が可能になった19世紀から
カリッソン専門の菓子屋が登場

その最古参が
『Maison Bremond』


店の日よけに「1830年創業」と
誇らしげに謳ってます


店内も歴史を感じさせる雰囲気です

20世紀初頭には20数軒あったらしいカリッソン専門店も
今では8軒くらい
でも未だに
毎年9月の第一日曜日に『カリッソン祭り』が行われます
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