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好奇心旺盛な長年の体験で、行って、見て、食べて、泊まった素敵な世界を、皆んなにちょっぴりお裾分け...

ブルターニュ紀行 1 <荒海と信仰とケルト文化と古代巨石文明と フランスにあってフランスではない異世界> を訪れよう

2021-02-10 00:58:56 | 素晴らしき世界/フランス/グルメ
ブルターニュ最西端の灯台『Phare de la Vieille』


長らく
南の地中海世界をご案内してきたので
ここいら辺で趣を変え
北のフランス『Bretagne ブルターニュ』を巡ってみることにしよう

極めて大雑把にいえばフランスの輪郭は六角形
それぞれの一辺が直線ではなく
やや内側に弧を描く弓形
右斜め下は単に一本の弓形ではなく
途中で一度飛び出して二度弧を描き
東半分は外側に膨らむ逆向きの弧を描く

左上の角と右上の角とを
それぞれ左右に引っ張って少し伸ばす
それで完璧なフランスになる

左上の線は英仏海峡でイングランド南岸と向き合う
その真ん中あたりが「ノルマンディー」
そのノルマンディーの海岸の西半分は大きな三角形の半島で
「コタンタン半島」
その半島左側(西)の付け根が「モン・サン・ミッシェル湾」


そこから西の先端までが『ブルターニュ』半島と言います
上の地図の青く塗られた部分

特に下の「薄青」の部分は歴史的民族的にはブルターニュ公国の版図
しかし現代の行政区分では「ロワール・アトランティック 大西洋ロワール県」
でブルターニュの4県には含まれない
下の地図では右下の緑の部分




上の地図の右上
三角形の湾「モン・サン・ミッシェル湾」の一番奥のあたりに流れ出る
南から北に「クエノン川」という小さな川があり
そのクエノン川の延長線上の海の位置に『モン・サン・ミッシェル島』がある
その川が
「ノルマンディ公国」と「ブルターニュ公国」との国境だった


これは既に「モン・サン・ミッシェル湾」の中なのですが
クエノン川からの流れに沿って島を見ていて
ここの左側がブルターニュ

モン・サン・ミッシェルから少し引き返して
「ポントルソン」
という小さな町で『クエノン川』を渡ると
いよいよ『ブルターニュ』の土地だ

しばらくは内陸を走るが
やがてモン・サン・ミッシェル湾の湾岸に出る


このような純粋なブルターニュ形式のしっかりした屋敷を
『Chaumiere ショーミエール』
といい
各地に残っていて見つけると楽しいんですよ

湾岸に出ると
海風を受けてこなを軸昔の風車の丸い石の塔が
住居に利用されて残っていたり
こんな家が建っていたりして
エキゾチックさがいやが上にも増してくる

ノルマンディーは硬い石材がないので
木の柱と梁を組み
その間に瓦礫を詰めて漆喰で塗り固める家が基本的だが
ブルターニュは硬い玄武岩の産地なので
石造りの家を建ててきた

そして
道路脇にムール貝や牡蠣を売る売店が数件並んで
その先の右側に
倉庫のような体育館のような建物が数件並んでいるのが見えてきたら
『カンカル』の町の牡蠣とムール貝の養殖場です

敷地に入って行くと


こんな不思議なものが
これ「牡蠣養殖場」の運搬道具なんです

建物の中のプールで卵から孵化させた稚貝を育て
一定の期間が経つと
沖の筏に運んで海中にぶら下げる
干潮時は車輪で走り
満潮時になるとスクリューで走るのです




海岸は北側へと向かい
モンサンミッシェル湾の西端に向かい始めると
道路から海は見えなくなるが右側は崖で
その下あたりが「牡蠣」の養殖海域






逆に左側の小高いあたりには19世紀のお金持ちの別荘などが
見え隠れする

そんな一軒
『Castel Barbe Brulée カステル・バルブ・ブリュレ』

「焦げた頬ヒゲ邸」
思わず名前の由来を想像したくなるような名前の邸宅


そして
そんな何軒かの大邸宅の一つが非常に有名なホテルなんです

『Maison Bricourt Château Richeux』

これにはいわく因縁があるので
後でご紹介します


モンサンミッシェル湾の西の先端に当たる辺り
『Cancal カンカル』という町


この写真の海岸よりもっと先(右)に行くと
こうなってる


実は
ブルターニュは潮汐運動が激しく
遠浅の上に満ち引きの差が非常に大きいので
桟橋がとても長くなる


一番先端の防波堤


海岸沿いの通りはレストランが立ち並び
夏場は観光客で大にぎわいとなる

もちろん牡蠣は一番の人気です


古代ローマ人以来好まれてきた平たくて丸い牡蠣『Belon ブロン』種は
是非試してみるべきブルターニュの名物です

もちろん
牡蠣を売る屋台も何軒も立ち並んでいる




そして街中に面白い銅像がある


牡蠣養殖漁場で
海から上がった牡蠣を出荷のために洗う作業をする女性たちの像
右の女性の
カゴから振るい落とされる水は
ちゃんと本当に水を出す一種の噴水なのです

岬を回った反対側も養殖場で


引き潮になると
こんな光景が面白い



さて
先ほど思わせぶりな書き方をしたホテルのことです
『Maison Bricour Château le Richeux メゾン・ブリクール/シャトー・ル・リシュー』

朝日を浴びる『シャトー・ル・リシュー』

このオテルは
以前「ル・フィガロ紙」の調査で
『フランス人が泊まりたいホテル No.1』に選出された
みんなの憧れの的だったのです

巨匠『オリヴィエ・ローランジェ』が何年もの間3ッ星を誇ったレストラン
『La Maison Bricourt ラ・メゾン・ブリクール』
の宿泊部門でした

メゾン・ブリクールのゲート

レストランはカンカルの町中の住宅地にあり
ホテルは町にに向かう養殖場あたりの丘の上
車で20分ほど離れているという不便さだったにもかかわらず
ブリクールで是非ディナーを食べてみたい
リシュー城に是非泊まりたい
と予約が取れないホテル/レストランだったのですが

ところがローランジェさん
「これ以上3ッ星を維持するために働くのは嫌になった」
とあっさり星を返上してしまったのです
2008年12月15日突如閉店

ミシュランの星が欲しくて料理人は心血を注ぎ
切磋琢磨して星を獲得し
獲得した星を減らされないように心血を注いで努力しているのに
なんと最高の栄誉「3ッ星」を自ら返上など前代未聞のことで
大ニュースとなりました

ローランジェさんはホテルの営業は続け
ホテルのレストランでリラックスした料理を出してくれています
星はありませんが
巨匠の料理というだけあって
お値段の割にはなかなかの内容です













では
やや古くなりますが
閉店直前2008年4月の巨匠の3ッ星のメニューをご紹介しておきます
お皿の数は多いですが
それぞれ二口か三口くらいの量なので食べられるんです
すごく繊細ですし

お口汚しの三種盛り
鴨肉の生ハム メロン人参きゅうりなどの和え物ふう 炙ったイカのサイコロと赤ピーマン


微妙に全部味と香りが違う 磯の貝三種



解明不可能のえも言えぬ芳香のブイヨンで茹でたカニ肉

オマール海老の爪の身



磯の白身小魚とグリーン・アスパラガス

アンコウの唐揚げ風
こんな感じで出てきてテーブルでソースをかけてくれました



小鳩(食用鳩)の胸肉のローストともも肉のグリル


チーズ 五種


デザート その1 柑橘の上にココナツのアイスクリーム


なんだか全く覚えていないお菓子とシャーベット




クリームに乗せたヴァニラ・アイスクリームに 熱いチョコレートソースをかける

このオリヴィエ・ローランジェさんは
「香りの魔術師」と呼ばれていて
シルクロードに沿った様々な異民族のハーヴや香辛料を巧みに使い
素材を邪魔せずに不思議な芳香と美味とを加えてくれる名手
当然素材にも味と香りとがついてをり
ソースには別の味と香りがつけられて
それぞれが相乗効果をもたらして一皿が完成する

3ッ星になって以後のこのシェフの努力を考えると
10年目で「や〜めた」と言って閉店した行動も理解出来るきがするのですが
食べる側から言うと
実にもったいないというか残念というか

でも
現在ホテルで出すパンを焼くことには非常なこだわりと情熱を注いでいらっしゃるとか

そしてディナーの最中に日が沈み始めると
遥か沖合に目を凝らせば

遥か水平線に見える『モン・サン・ミッシェル』の島影

この光景を目にすることもできます
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