巻頭写真 : アンドレ・シトロエン公園
ちょっと休憩して
ガイドブックに載ってない魅力的な場所で
しばしを忘れよう
「シトロエン」
という名前をご存知だろうか
1919年自動車メーカーを設立した「アンドレ・シトロエン」は
『Citroën Trancion Avant シトロエン・トラクション・アヴァン』
1934年この車を生産開始
当時誰も実用化の可能性を考えもしなかった「前輪駆動車」だった
車名の「トラクション・アヴァン」は文字通り「前輪駆動」という意味
今でこそありふれたこの仕組みは
自動車の黎明期の20世紀初頭
前エンジン前輪操舵で後輪駆動が当たり前だった時代に
前エンジンで前輪に操舵と駆動と両方の役割を与える革新的な発想で
シトロエン本人の意欲的な発想と技術開発で世に送り出され
1958年生産中止まで
名車として欧州だけでなく米国にまでその名を轟かせた
「4ドア・セダン」「2ドア・クーペ」「幌付きオープントップ」「幌なしロードスター」
「ライトバン」「ラリーカー」
などあらゆるヴァージョンが生産された
『ジャヴェル河岸工場』1934年 Photo by @Omania
パリ左岸
セーヌ河がパリを流れ出る直前のあたり「ジャヴェル河岸通り」に
この工場があった
ちなみに後継車は『DS』という
『Citroën DS シトロエン・デーエス』
これまた革新的な車で
通常のサスペンションに加えて「エアー・サスペンション」を備えており
乗り心地は
ふかふかのシートと相まって「雲にっている様な」と言われ
駐車してエンジンを止めキーを抜くと
自動的に車高が下がり降車しやすくなり
発車のためキーを回すと
走行時の車高に自動的に上がるという至れり尽くせりで
ヘッドライトがハンドルに連動するため
暗い夜道(いなか道は街灯などなかった)にカーブする際
自分が向く方向を常に照らす画期的なシステムを備えていた
これ以外の車は現代でもヘッドライトは回転しながら進行方向より遅れて車の向きを照らす
ついでに
シトロエンというと忘れてはならない国民車が
『2CV ドゥー・シュヴォー』だろう
『CItroën 2CV Charlstone ドゥ・シュヴォー・チャールストン』
写真は最晩年のお洒落な若者向け仕様だが
普通は灰緑の光沢もない一色塗装
ブリキ板を切り取り線に従って切り抜き
折り線に沿って折り曲げ溶接しましたみたいな車
一切の「贅沢」を廃し
シートはパイプの枠にカンバスを巻きつけたタイプ
しかしリッター20km以上の燃費を誇り
しかも屋根のカンバスを巻き取り後部座席を取り外すと
小型の「アップライトピアノ」が積めた
戦時中の国民の頼りになる味方だった
今回は車がテーマではないのでこれくらいにして
工場の話です
第二次大戦中は砲弾などを作る軍需工場にされており
戦後工場を再開せず跡地の再利用をあれこれ計画が上がってはつぶれ
最終的に「公園」としての利用が決まった
ということで
パリの南西の端セーヌ河の左岸の河沿いに静かな隠れ栖みたいな公園があるのです
『Parc André Citroën』
まず驚かされることは
中央広場のような広い芝生のスペースに巨大な気球が鎮座していること
赤く見えるところがゴンドラで
ロープで繋がったまま200mほど上昇する観光用
ちなみにゴンドラはドーナツ型で
360度回りを見晴らせると同時に真下も見ることができる
『Parc André Citroën』 Photo by ⒸParcAndréCitroen
この写真では写っていないずっと下の方に気球があり
さらにその先の方向がセーヌ河
写真上部に2棟
長方形にガラス張りの「温室」と呼ばれる建物があって通常熱帯植物が多少置かれているが
貸しホールとしての機能も持っている
二つの温室の間のコンクリートの地面がややスロープに成っていて
円形のものが並んでいるが
真夏の週末には噴水のように水を噴き上げるノズル
上がる高さが変わったりして
公園の来客は大人も子供も間を走り回ってはしゃいでいる光景が
テレビニュースによく流れてくる
全部のノズルから一斉に拭きあげたり
一部だけに変わったり
広大な長方形の芝生の中央広場の両側は2段高くなって歩けるようになっている
そこに大きな水路というか池があり
その端にベンチが並ぶ
その位置の所々にコンクリート製の小屋のような建築物があって
そこから階段かスロープで一段下がるとまたベンチなどが並んでいて
上段より狭い水路があったりする
そのもう一段下に水路のように池がある
一番上のベンチのベルからは
目線の高さによっては下の水路は見えないこともある
最上段の水路の端
とにかく水がふんだんに使われている
そして
セーヌの方から見て左右(特に左側)の上の段の方に
様々な木々と花々とを使った涼しげなブロックが数多く作られている
ここまでは中央の芝生の広場の温室の方向に向かって右側
水路ある部分を支えるコンクリート壁をくぐる形で
反対側の
広場の左側へ行く
左側は
10mから20m四方ほどの
様々な木々や花々をあしらった緑の空間が作られており
行けば行くほど緑に囲まれる
それぞれのブロックは
土塁かコンクリート壁で仕切られていることが多く
いたるところの隠れたベンチで
人々が寛いでいる
もともとあったのか
土地の高低差をうまく使って
それぞれのブロックを上から見下ろすことができる
高い方にも遊歩道があり
ワンブロック毎をつなぐ渡り廊下みたいになっていたりする
ブロッコリーの妖精ではありません
向こう側のベンチに座っているお嬢さんたちです
いくつかある公園の入り口の一つ
パリ市水道局が設置した水飲み場もある
とにかく水が多い
ブロック同士を隔てるコンクリート壁を広くした
階段状に水を流すところ
残念ながらこの日は水は出ていなかった
こんな風になっているところも
ここも水がなかったが
なにやら流れを利用した仕掛け
ここも中央を水が流れるはずの場所
ここは本来水が張ってあるところ
そして
くつろぐ市民は後を絶たない
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