想い事 家族の記録

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あるつがゆく。 緑の指(仮)カノン。

2015-09-07 16:32:07 | 日記

子宮頸がん検診に行った

バスを乗り継ぎ 駅からタクシーで1000円の距離にある 婦人科

予約は11時半だったので ぴったりだった

受けつけに保険証など出していると

受けつけのお姉さんが 哀れみの眼差しで云ってきた

「予約 明日ですよ」

ええええええええええええええええ!?

手帳には 間違いなく今日の欄に検診と書いてあるのに …

昨日 ネットで予約時間を確かめたのに

時間や受付番号ばかりに目をやっていて

日付を確認しなかったんだー!!

で 帰りは お金も無駄になるので 歩いて駅まで戻る

ここからが 大変なんだ

とりあえず 自分のかかりつけの病院に戻ろう

30分待ち

病院に 1時前に到着

里山に戻るバスは 1時45分にあった

45分なら 食事して 足りないものスーパーで買って

戻ったらちょうどだ

でも バスが来ない バスが来ない(二度目)

再び時刻表を確認して 愕然となる

私 土、日、祝日のところ見てた

あの時 あと3分も待ってればバス 来たじゃん …

で また40分待ち

眠い … 疲れ果てた …

シフト入れちゃったし 10日はじいの病院の予定

バスが増えたら 10日も仕事になる

仕事優先にするつもりだけど じいの見舞い延期して 検診には行けないな

もういい加減 一回お見舞いに行かなくちゃ …

となると 検診はとりあえずキャンセルにして

仕事の状況に合わせて 予約入れ直しだな …

鎖骨あたりの痛みも気になるのに 延期 延期で 診てもらう時間ない

今日の商いも 動かなかった

どっと疲れが増し 帰ってから ひと眠りしてしまった



なんか急に お嬢さんが「公立に行きたくなった」と云う

その公立 少々偏差値高いよ?

受験科目5科目あるよ?

大丈夫なの?

でも そうなれば 私はかなり楽になるわけだけども…

今から 間に合うのかな …

学校に提出する志望校の名前が こうして変更になった

あくまで 現時点での 彼女の希望だけど …

私学より さらに 通学は楽になるし

その辺にはよく遊びに行ってるし 安心には安心

でも 本人はやる気がある様子だ

「頑張るから」と 一言

頑張ってくれ 出来れば それがいい それもいい…

夕飯は 私はまた 秋刀魚

お嬢には 魚のフライ

サラダ 味噌汁 切り干し大根の煮物 スイカ …

… 疲れたよ 明日 仕事 見舞い 仕事 仕事 仕事 …

やってやる~!!



小説 下に下げときます。

紫さんがやったのは、「浄霊」もしくは「救霊」。「徐霊」ではありません。

霊は二度と地上に戻らないと聞きました。霊は喜んで天界に 行くそうです。

一部しか書いてないので、良い子は真似しないでね。

特に「除霊」は、ダメ、絶対。



















緑の指(仮) カノン。


借主の保証人は、長崎の女性、母親だった

紫(ゆかり)さんにせかされて電話すると、疲れたような声で電話に出た。

そこで僕が、新しく部屋を借りる七字 紫さんを紹介し、

紫さんと電話を替わる。

彼女は、単刀直入だった。「無理なのも、辛いのも判ります」

静かに諭すように云う。「でも、来てください。飛行機に乗って、来てください。

必ずバイオリンを持って」

紫さんは、結構押しが強いということは判ったが、

事情は全く判らない。余計なことは云わない。ただ、やらなければならないことがあり、

それが、亡くなった娘さんの為になるから、と云うだけ。

自殺した娘の住処に、親が来たがらないのは判りすぎている。

でも、そこを押し切って、紫さんは電話を切った。

「あとは、待ちましょう」

…それだけ。

しかしである。母親はやってきた。はるばる長崎から、指示された通り、

バイオリンを持って。

銀髪のロングヘアをひとつにまとめて、黒いスーツを着た、年老いた母親である。

紫さんは、いつも通り、おいしい紅茶でねぎらってから、

娘さんの残した日記を見せた。

母親を泣かせたのは、「最後にお母さん、会いたかった」というくだりだろう。

あの女の子は、最期の最期に、お母さんを想ったのだ。

「お母さんに 会いたかった ごめんなさい お母さん」

「判りました」と お母さんは云った。「この子が、何をしたかったか」

「では、お願いします」

紫さんが、そっと促すと、彼女は田んぼの見える窓に向かって立った。

バイオリンを、構える。

彼女が奏ではじめたのは、パッヘルベルのカノンだ。

僕らは、彼女の後ろに座って、黙って聞いていた。

紫さんは、目を閉じ、少し俯きながら。

凛ちゃんは、小さな手を合わせている。

僕は、目頭が熱くなってきた。

隣りから、鼻をすする音がすると思ったら、

凛ちゃんが、一心に手を合わせながら、大粒の涙をこぼしている。

僕の涙腺は、美しい旋律の中で、崩壊した。

情景が、見えるようだ。

母子家庭だったふたり。懸命に働きながら、母親は、娘にバイオリンを習わせた。

やがて、生活に余裕ができると、母親もバイオリンを買った。

二人は、よく、この曲を弾いた。

辛いときも、哀しいときも、きっと、いつか幸せな時代がくるときも。

ここと同じような小さな部屋。

西日の入る窓。オレンジ色に染まる、空と空気。

二人の影が、濃く畳に落ちて、音色は近所にも響いた。

立ち止まり、聞き入る人。

そろそろ、人々が家路につく時間。

帰る場所が同じだったふたりが、やがて、別れる。

一人、部屋に残された母親が、嗚咽をもらしている。

旅立った娘も、人目を気にしながら泣いていた。

でも、また、会えるから。帰ってくるから。結婚したら、長崎に帰る。

お母さんのそばに、帰るから…。

白い光が、バイオリンを奏でる母親の肩先に集まりだし、

次第に人型になっていった。きれいな、女の子だった。

甘えるように、母親の方に、よりかかっているように見える。

風が入ってきて、彼女の髪が揺れ、

髪の先から、今度は壊れはじめた。
 
「身はここに、心は信濃(しなの)の善光寺、

導きたまえ、 弥陀(みだ)の浄土へ 」

紫さんが優しく語り、自分の腕をそっとさすった。

白い光は、全て消えていった。

やがて、演奏が終わり、僕らは本来の目的を忘れて拍手喝采。

涙をぬぐいながら、母親が頭を下げ、

「本当は、娘の結婚式で弾いてあげたかった。一緒に弾きたかった」と云った。

「また、会えます。必ず、会えます」

紫さんが、そっと母親を抱きしめた。「もう一度、お茶を飲みましょう」

その後、僕らは4人でアフタヌーンティーを楽しんだ。

三段のお皿に、小さなサンドイッチ、クッキー、

マカロンとスコーンが、色とりどりに並んでいる。

今日の紅茶は、マリアージュ フレールの茶葉で、ミルクティーを淹れてくれた。

僕もお母さんも、スコーンの食べ方は知らなかったが、

凛ちゃんが首尾よく教えてくれた。

スコーンは、クロテッドクリームに、イチゴのジャムをを乗せて頬張る。

もそもそしているけど、口の中では濃厚なクリームと、ジャムの酸味と、スコーンが革命を起こしていた。

それを、ミルクティーで飲み下す。うまい。最高にうまい!

「こんなおいしいもの、初めて食べたわ」

お母さんの涙は消えていた。

この部屋は、浄霊の場から、またあの紅茶サロンに変わっていた。

紫さんが、ヴィヴァルティの「春」をリクエストして、

今日は散会となった。お母さんは、今夜はホテルに泊まり、明日一日都会を観光してから

明後日、長崎に帰るという。

「ありがとう、七字さん。猫平さん。私は、やっと気持ちの整理がついたような気がします」

お母さんはそう云って、帰っていった。

その日以来、このアパートで怪現象は起こらなくなった。

紫さんは、一体何者だろうという疑問が残ったが、

それは、これから少しずつ判ってくるだろう。

季節は、春。

春、本番。



緑の指(仮)『母と娘と猫平さんの出会い編』 完


















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