今 私のまわりで 何人が この世を旅立とうとしているだろうか
じいこと 私の 父
友人の 母上
オジキの 奥さん
それから …
何故 哀しい事が 続くのですか?
気付いたら このところ 私の周りには
悪魔 死神 妖 … ひとでないものが 蔓延っていた
そういうものに取り囲まれて 安らいでいた自分
「どういう意味?」って ?
考えなくていいです 私の問題です
とうとう 恐ろしい小説 書きはじめてしまったしね
全てのベクトルが 彼岸へと通じていた
赤い花が 私の眼の深いところに宿って 枯れない
こんなに 近い場所にあるなんて 知らなかった
ひとの命が 恐ろしく短く 儚いことも
仕事帰り オジキの話を聞いた
「今日 家族が病院に集まることになった」
「痛みは コントロールできてるの?」と ありがちなことを聞いた
涙をこらえるのに 必死だった
死にたがる私のもとに 何度も駆けつけてくれた 優しい人だった
「ひとは そう簡単には 死ねないんだよ!」って 叱ってくれたひとだった
本当の父親が部屋に隠れてやりすごしたことを この人が代わってしてくれた
叱ってくれて 教えてくれて 赦してくれた
まるで 母親がいたらそうしたであろうことを してくれた
家で一人になってからは もう 涙が止まらない
オジキは云った
「オヤジさんのことで悩みがあったら 俺に 云えよ」と
自分の伴侶を 失おうとしているのに
残される者は こんな状態でも 生きていかなきゃならない
友人も 辛かろう
大好きな母であるだけに
私も 本当に辛かったよ …
毎日 病院に行って 笑顔で接するために 私は アルコールに頼ってしまったけど
母が望んだような娘でなかった自分を 呪った
私 結婚して 子供を産むよ
お母さん 見ていて
その子を 抱いてあげて
きっと 私に そっくりな その子を
見た目ではなく 中身が そっくりな 一匹オオカミのその子を
本当に オオカミみたいな かわいい子供だよ
育てるのが 大変 …
お母さん 手伝ってよ …
私は 人として 恥じない生き方をしようとした
母を失った衝撃で 我に返ったはずなのに
結局 私は 『理想』を 失った
そして 無力に泣く 私がここにいる
嫌になる
無力すぎる 自分が ここに いる。