タミアのおもしろ日記

食文化・食育のお役立ちの話題、トンデモ食育、都市伝説、フードファディズムなどを分析して解説します!(^.^)

変な食育・無残な伝統食

2015年11月08日 | Weblog
「日本人なら伝統食の米を食え、麦を食うな、石塚左玄先生の「食養」「身土不二」をモットーとしよう。」と唱えるある団体の広報誌を読みました。身土不二(しんどふじ)とは明治時代に石塚氏が着想した思想で、地元に古くからある食べものを地元で栽培して食べることが健康に良いという考え方です(仏教の身体不二はしんどふにと読み、健康の話とは無関係の人生哲学です)。その広報誌の読者の寄稿にこんな文章がありました。

この投稿者Xさんは、子どもの時におばあちゃんを亡くしたので、家の伝統の「おばあちゃんの味」が分からなかったと。そんなときにこの団体に出会い、感激し、お米中心の一汁一菜の伝統食を守り後世に伝える運動をしています、と。

ネットで検索したら、確かにXさんは食育講演会を各地で開催しているとのこと。そこに出身地も書いてあったので、その地域の伝統食を調べてみてびっくりしました。なんと、昔からお米が全くとれない土地柄で、農民は9割の麦に、外から買ってきた貴重なお米を1割混ぜて、炊いて食べていたと記録にあったのです。Xさんが本気で身体土不二をモットーとするつもりなら、お米を食べてはいけないのです。

タミアは思うのです。日本中にはこのXさんみたいな人が結構多いのだろうと。昭和30年代から昭和の終わり頃にかけて本物の「おばあちゃんの味」が消えていき、実は麦飯を食べていたり、魚をめったに食べられなかったなどの地方の様々な文化も忘れられてしまった。そこへXさんみたいな人が登場して、「食育」と自称して、「日本人はみんな混じりけなしのお米にお魚や野菜をたっぷり食べてました。」という説で日本中が塗り固められていくのかもしれません。

「ファシズム(全体主義)は善意の顔をして広まっていく。」という警句がありますが、まさにその通りだと思います。

・・・これを読んでいるみなさん。あなたのおばあちゃんや、そのまたおばあちゃんは、「本当は」何を食べてましたか?

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