2月1日、食品安全委員会が重要な発表をしました。日本人は意外な食品から発がん性物質の「アクリルアミド」を大量に取っている、という報告です。
その意外な食品とはなにか・・・・を言う前に、ちょっと解説させてください。
アクリルアミドと言えば、数年前に「ポテトチップスに大量に含まれている」ということから、あちこちのネットで「ポテチは危険だ!」と騒がれたことでよく知られている、天然自然の化学物質(*注)です。しかしその手のネットデータの多くは奇妙な物でした。というのも、その当時政府の発表したデータ表には「かりんとう」や「焼きおにぎり」にもアクリルアミドが多量に含まれていると示されたんですが、なぜかネット上では多くの方々が、和食のアクリルアミドについては言及せずに、ポテトチップスばかりを断罪していたからです。
*天然自然の化学物質という言い回しは、科学的には矛盾していません。アクリルアミドは、食品に「天然に自然に」含まれている糖とアミノ酸が、高熱で調理されたときに出来る物質です。しかもこの世のほとんどの物質が化学物質から出来ています。例えば自然農法の野菜に含まれるビタミンも食物繊維も、化学物質です。
というわけで、食品安全委員会の報告に話を戻します。委員会の「加熱時に生じるアクリルアミドワーキンググループ」が報告した資料は、食品安全委員会のホームページで閲覧できます。資料2-3が一覧表なので、わかりやすいでしょう。この表を見ると、日本人が食事から取るアクリルアミドの主な供給源はというと、なんと、ダントツで「もやし」なのです。
そうです、あの「家計にやさしくてしかも低カロリーでダイエットにも嬉しい」と、一時盛んに雑誌やテレビでもてはやされた、あの「もやし」炒めから、日本人は大量のアクリルアミドを摂取していたのです。その量は平均、1日当たり体重1kg当たりで66ngです。一方ポテチはたった9.4ngですから、桁違いにもやしからの方が多いのです。どうしてこんなことになるかというと、もやしは大勢の人が沢山食べているが、ポテチは意外にもそれほど多くの人は食べてないから、なのです。
ちなみにこの表によると、かりんとうは、アクリルアミドの濃度自体はもやし並に高いものの、食べる人が少ないため、日本人平均を取るとリスクが低いという結果になっています。つまり、普通にかりんとうを食べていれば大丈夫ですが、「ポテチは危険だという噂があるからかりんとうにしよう」などと思ってかりんとうばっかり食べていた人は発がんの危険性が高いということですね。
また、焼きおにぎりについては今回掲載されなかったのでなんとも言えません。ただ、普通に炊飯しただけのお米からさえも、日本人はアクリルアミドを3.9ng取っていることが今回わかりましたので、ましてや焦げた焼きおにぎりを毎日大量摂取するのは、用心したほうが良いとは思います。
さて、私の知る限り、この食品安全委員会の発表を報道したテレビは1番組だけです。どうしてこういう大事なことがニュースでほとんど報道されないのか、不思議ですよね。ベーコンやソーセージではあれほど大騒ぎしたのに。
2月7日0時追加文章:上記のもやし炒めのデータは、高温で炒めた時の値です。もやしをゆでたり、蒸して食べる分には高濃度のアクリルアミドは生成されないものと思われます。また、高温で炒めた場合でも、少量食べる分には微量のアクリルアミドなので、あまり神経質にならなくても大丈夫と思われます。どんな食品にもごく微量ながら健康に悪いとされる成分が含まれているものです。エイムズ法という試験によって、ほとんどの野菜に天然の発がん性物質がごく微量に含まれることが分かっています。リスクがゼロの食品は世の中に存在しません。もやしは食物繊維などを含む食材で健康面のメリットもありますので、過剰に心配せずに、適量を安心して召し上がっていただければと思います。
その意外な食品とはなにか・・・・を言う前に、ちょっと解説させてください。
アクリルアミドと言えば、数年前に「ポテトチップスに大量に含まれている」ということから、あちこちのネットで「ポテチは危険だ!」と騒がれたことでよく知られている、天然自然の化学物質(*注)です。しかしその手のネットデータの多くは奇妙な物でした。というのも、その当時政府の発表したデータ表には「かりんとう」や「焼きおにぎり」にもアクリルアミドが多量に含まれていると示されたんですが、なぜかネット上では多くの方々が、和食のアクリルアミドについては言及せずに、ポテトチップスばかりを断罪していたからです。
*天然自然の化学物質という言い回しは、科学的には矛盾していません。アクリルアミドは、食品に「天然に自然に」含まれている糖とアミノ酸が、高熱で調理されたときに出来る物質です。しかもこの世のほとんどの物質が化学物質から出来ています。例えば自然農法の野菜に含まれるビタミンも食物繊維も、化学物質です。
というわけで、食品安全委員会の報告に話を戻します。委員会の「加熱時に生じるアクリルアミドワーキンググループ」が報告した資料は、食品安全委員会のホームページで閲覧できます。資料2-3が一覧表なので、わかりやすいでしょう。この表を見ると、日本人が食事から取るアクリルアミドの主な供給源はというと、なんと、ダントツで「もやし」なのです。
そうです、あの「家計にやさしくてしかも低カロリーでダイエットにも嬉しい」と、一時盛んに雑誌やテレビでもてはやされた、あの「もやし」炒めから、日本人は大量のアクリルアミドを摂取していたのです。その量は平均、1日当たり体重1kg当たりで66ngです。一方ポテチはたった9.4ngですから、桁違いにもやしからの方が多いのです。どうしてこんなことになるかというと、もやしは大勢の人が沢山食べているが、ポテチは意外にもそれほど多くの人は食べてないから、なのです。
ちなみにこの表によると、かりんとうは、アクリルアミドの濃度自体はもやし並に高いものの、食べる人が少ないため、日本人平均を取るとリスクが低いという結果になっています。つまり、普通にかりんとうを食べていれば大丈夫ですが、「ポテチは危険だという噂があるからかりんとうにしよう」などと思ってかりんとうばっかり食べていた人は発がんの危険性が高いということですね。
また、焼きおにぎりについては今回掲載されなかったのでなんとも言えません。ただ、普通に炊飯しただけのお米からさえも、日本人はアクリルアミドを3.9ng取っていることが今回わかりましたので、ましてや焦げた焼きおにぎりを毎日大量摂取するのは、用心したほうが良いとは思います。
さて、私の知る限り、この食品安全委員会の発表を報道したテレビは1番組だけです。どうしてこういう大事なことがニュースでほとんど報道されないのか、不思議ですよね。ベーコンやソーセージではあれほど大騒ぎしたのに。
2月7日0時追加文章:上記のもやし炒めのデータは、高温で炒めた時の値です。もやしをゆでたり、蒸して食べる分には高濃度のアクリルアミドは生成されないものと思われます。また、高温で炒めた場合でも、少量食べる分には微量のアクリルアミドなので、あまり神経質にならなくても大丈夫と思われます。どんな食品にもごく微量ながら健康に悪いとされる成分が含まれているものです。エイムズ法という試験によって、ほとんどの野菜に天然の発がん性物質がごく微量に含まれることが分かっています。リスクがゼロの食品は世の中に存在しません。もやしは食物繊維などを含む食材で健康面のメリットもありますので、過剰に心配せずに、適量を安心して召し上がっていただければと思います。