タミアのおもしろ日記

食文化・食育のお役立ちの話題、トンデモ食育、都市伝説、フードファディズムなどを分析して解説します!(^.^)

発酵食品の褒めすぎは良くない。

2023年02月05日 | Weblog
しばらく前にこのブログで、ある新聞社の栄養系記事が大分良くなったということを書きましたが、しまったなあと思いました。また最近になってその新聞社が「発酵食品は健康に良い、甘酒は飲む点滴」と断言しちゃったニセ科学記事をでかでかと書いてしまったものだから。

いままで何度も繰り返しこのブログで書いてきましたが、発酵食品の健康性の研究は道半ばですし、点滴は生理食塩水や糖類が主成分ですから、「甘酒は飲む点滴」という言葉はぶっちゃけ「甘酒は糖類と少量の塩分で代用できる」という程度の意味です。

点滴は、口から水や塩類やカロリーなどをとれない人のために使う目的です。また、口から投与しても効かない薬を血液を通じて与える通り道としても点滴は使用されますが、点滴が病気を治すのではなく、薬が病気を治すのです。
 それなのに、点滴自体が病気を治す物だと誤解している人が多いものです。この誤解を逆手にとって、甘酒を薬のように思わせるために「飲む点滴」などという売り文句が生まれた訳です。大体、点滴は飲み物ではありませんので「飲む点滴」なんて言い方は「黒い白馬」や「昨日生まれたおばあさん」並のつまらない言葉遊びです。

発酵食品自体も、「原料、菌、生成物」これらが食品によって全く異なるのだから、それらを全部身体に良いと言うのは恥ずかしいことです。量や成分の概念もなしに身体に良いと言うのは「キノコは身体にいい」という説を聞いて見たことの無いキノコを採って食べてしまう人とあまり変わり有りません。

 日本では味噌や醤油、酒の醸造元などは地域の有力者であるケースが多く、その子息が政治家や大学教授など日本のオピニオンリーダーになってきた歴史があり、だから、発酵食品業界におべっかを使う大学教授がいるわけです。お名前を言うとはばかれるので黙ってますが。マスコミは残念ながらそれを鵜呑みにして記事にしているようです。そういう事情ですので、マスコミが、腸活とか発酵食品で健康になろうとか言うのは、話半分で聞き流した方がいいです。マスコミは食の専門家ではありません。
 
 もともと伝統的な日本の食文化はヨーロッパ諸国よりもむしろ発酵食品の種類が少ないです(これも過去ブログで既出です)。ヨーロッパではパンやワイン・ビール、発酵肉や発酵バターやチーズ、チョコレート(意外ですが発酵食品です)、など、多様な発酵食品の恵みがありましたが、日本は新鮮な食材を調理する方が格上であったため、鮮魚や新鮮な野菜、発酵させない主食や和菓子が発達しました。発酵は味噌・醤油などの調味料および酒と一部の漬物分野で発達しましたが、これらの多くは料理の主原料ではないことに注目してください。ごはんのお供で日本を象徴する漬物「梅干し」も発酵食品でないことから分かると思います。
 最後にもう一度言います。発酵食品が身体に良いという話は大げさですよ。

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