人生の面白いところ
世の中は過去から未来に向けて真直ぐ棒のように動いてゆくものだと、いう人あり、
たしかに、いつも先頭を走っていたがる連中がいる。一歩でも人より遅れまいとあらゆ
る情報を巧みに集め、他人の呼吸を計って弱ったと見れば一気に追い抜こうと試みる。
たえず先頭集団を走り続けたがる。そんなふうにただ先へ先へ息せき切って走り続け
る人間、集団、そして国家がある。そして事実ある程度はそういう連中は所期の成果を
挙げているかのように見える。
さらに言うならば、抜け目のない顔つきをし、身だしなみよく、弁舌さわやか、どん
な情報にも精通しそれに的確に対処して、いわゆるやり手とか才人とかこういう人かと
感心させられるような人間が、男にも女にもいる。彼らは川見が早く人より先に時代の
流れを読み、常に先へ先へと向かっている。彼等はあるところまではたしかにそれで成
功したかに見える。
が、人生の面白いところは、ではそういう連中が人生劇の最後の勝者になれるかとい
えば、必ずしもそうはならないことである。人生とは彼らの思いこんでいたように先に
出た者が勝ちとは決まらないのである。
現役引退後の彼らのその後の運命は、必ずしもよいものではない。老人会や町内会の
世話役をしてそのように強く感じることがしばしばある。偉い役職を経験した人ほど引
退後日々は、退屈で虚しさを感じる人が少なくないようです。
そんなことを書物で読んだり、集会に参加してみて初めて解ったことである。過去が
どんなに苦しく、辛い日々が多かったにせを、後期高齢者になっていかに楽しみ方が解
っているかを理解し実践できる人こそ、つまり晩年の日々がそれなりに充実しておれは
最高の人生だと考えてもいいと思っている。