共に斃(たお)るる心得㉘・・・水運問答
雲 革命動乱に際会した君子はとかく自分の部下を賢明な人物だと思い込みがちなもの
ですが、実はこれほどおそろしいことはありません。君子が立派な臣だと考えている
者が、実は欲深い悪でくわせ者であったり、逆によく言われていない者が賢明な人物
であることもある。ことに邪悪な人間は才気に長けておりますから、それが乱に乗じ
て狡猾に振舞うので、いかにも偉い人のように見えるものであります。これを見分け
るにはどうしたら宜しいでしようか。
人間は、君子は善い事わし、小人は悪いことをするのだと一律に定め付ける先入観
に陥りがちで、君子・小人というものの本当のことはわかりません。しかし、いずれ
にしても政治ということが起るものです。ところが、部下に任すのは危ないからとい
って任用しない時は、甚だしい弊害を生ずる。そういうふうに心配をし始めたら何も
できないものです。思い切って任用する。そして一度任せた以上は、不慮のこと、思
いがけないことが起きたら一緒に斃れる、心中するほかありません。それから先は考
えたって、わかるものではありません。
水 賢明な君主は賢臣を用い、暗君ははつまらない臣下を賢臣として用います。本当の
賢臣を用いますと、政治の成績はあがり、もしつまらぬ者を用いますと、国は亡びま
す。危険この上もありません。よくよく気をつけるべきことであります。
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