5月に有間峠へ行った時と同じ、西武秩父駅で自転車を組み始めた。
帰りの電車のこともあるので、今日はあまり時間に余裕のある旅にはならない。それで、少し慌て気味で準備をしていたものだから、うっかりナビの電源コードを切ってしまったんだ。
ちょっと焦ったが、なんとかしなければならない。
切れた双方のコードのビニール被覆を剥いて線を出し、ねじり合わせてつなげた後、+と-が接触しないようにガムテープで固定し、さらにつなげた個所も動かぬように固定した。何とか使えるようにはなったが、20分ほど時間をロスしてしまったよ。
いつか役に立つときがあるかもしれないと、小さく巻いたガムテープを持っていてよかったよ。
天気予報では明日からまた崩れるが、今日は晴れるといっていた。梅雨入りが近いから天気は不安定だが、今日は大丈夫そうだ。
いよいよ出発するというときの空は薄い雲に覆われていたよ。ちょっと心配だね。
9時20分西武秩父駅を出発。
市街を抜けると、前方に佐久良橋が見えてきた。どんな橋だろう。
下にいい感じの旧佐久良橋が見えるよ。予定ではあちらの橋を渡るつもりだったんだが、曲るところを通り過ぎてしまったんだ。
しかし、あちらの橋を渡っていたら、こんなふうに橋の姿の全体を見ることができなかったね。いい橋だなあ。
橋の上からの眺めもいいね。左手には遠く武甲山。右手には隣の秩父公園橋。帰りはあの橋を渡ろう。
佐久良橋を渡り、県道72号を北へ進むと、秩父公園橋の少し手前に秩父市街と武甲山を眺められるところがあったよ。何度見ても武甲山は立派だなあ。力強いし、堂々としている。
県道72号から、尾田蒔小学校と尾田蒔中学校の間の道を抜け、国道299号へ出る。上り坂で、しかも車の多い国道だよ。ちょっと緊張するが少しの間我慢だ。
ようやく国道から県道270号へ入った。
車は急に少なくなったが、いきなり9.5%の上り勾配だよ。
9.5%の上りのピーク付近からの眺めだ。どこからでも武甲山の雄姿は見られるね。
2つ目の小さなピークだよ。下りはいいなあ。
この先、奈良川橋の手前のセブンイレブンで水とおにぎりを買って行こうかね。
さて、セブンイレブンの横から、番戸大橋の方へ裏道を進むことにしたよ。県道37号は赤平川を挟んだ対岸を走っている。県道よりこちらの方が静かだろう。
おおっ、あれは両神山だろうか。特徴のある山容だからね。きっとそうだよ。
番戸大橋からの赤平川の眺めだ。いいねえ。
番戸大橋を渡ると、10%の上り勾配が現れた。短いその上り坂を上り切ると、山頂に電波塔を載せた城峰山の姿が遠く眺められた。山並みの左端だよ。遠いいなあ。
赤柴という集落を抜けて県道37号の方へ向かう。
新吉田橋という橋で吉田川を渡り、
再び短い急勾配を上って、少し行くと県道37号に出たよ。林道太田部線の方へ向かう県道363号の入口はもうすぐだね。
ここから県道363号だ。だんだん山深くなってきたね。道も狭くなってきたし、いい感じだよ。
しかし、空にはなんとなく薄雲が広がっている。スカッと青空にならないかね。
沢口橋からの石間川の眺めだ。流れの水音が静かに聞こえる。
右手には、何の花か知らないけれど、野草が咲き乱れていいたよ。
石間川沿いの道は石間谷とも呼ばれているらしい。
道をさらに上って行くと、こんな神社の建物が目に入った。諏訪大明神というらしいよ。
中郷の集落のはずれに大きな水車が回っていたよ。ここはまだ県道363号だ。
水車を過ぎてから、勾配がいくらかきつくなってきた。
やっと林道太田部線の起点に着いた。ここまでずいぶん遠かったよ。
林道はこの大きな鳥居をくぐって行くんだ。
いよいよ林道だ。どんな林道だろうかね。楽しみだね。
いきなり急勾配だよ。それもかなりの斜度だ。ずっとこんな調子だとつらいね。
ここは登山道の入口だね。
やあ、いい景色だねえ。あれは沢戸の集落だね。これが“天界の村”というのか。こういう景色に出会えるから頑張ってペダルを回せるんだね。旅に出たくなるんだね。いいなあ。
空がすっかり青くなってきたよ。朝のうちは薄雲が広がっていて気になっていたけど、やっと本物の青空になってきた。嬉しいねえ。
今日は晴れて暑くなると予報では言ってたよ。暑くなる前にだいぶ標高をかせぐことができたのはよかったね。こんなに日差しは強いのに、暑さはまるで感じない。空気がひんやりしていてちょうどいいね。急な上り坂が続いているけど、まったく平気だ。
林道の入口だね。どうやら新しくできた林道のようだよ。
どんどん上って行くよ。晴れてきたので気持ちがいい。
急勾配がいつまでも続くよ。カーブは外側を通ろう。外側の方がいくらか斜度がゆるいからね。
よいしょ、よいしょ。頑張ろう。ペダルを回し続ければ辿り着けない峠はないよ。…こんなキザなセリフはやめよう。口に出すのもくすぐったい。
急勾配を苦労して上る。そして思いがけず絶景に出会う。だから山へ上る。ペダルをこげる。
人生だって、同じだ。頑張って生きていれば、いつかいいことに出会う。だから生きる。生きていける。
あそこが峠だろうか。やっと着いたね。
でも、峠の標示がどこにもないね。かわりに、こんなルート看板があった。
あとで調べたんだが、本当の太田部峠は、ここから土坂峠方面へ100メートルほど行った先にあるらしいよ。
みみ爺は、勝手にここを峠と決め込んで一休みしたあと、石間峠へ向かって出発。
ここからは林道上武秩父線だ。
この分岐は右の方へ行くよ。左は神流湖のある矢納方面だ。いつか神流湖や下久保ダムへも行ってみたいね。
この辺りはほとんど上りがないよ。ラクチン、ラクチン。
花が散って雪が降ったように道が白くなっている。
木の間から山の景色が見えたよ。きれいだなあ。
水平区間はまだまだ続く。気持ちのいい道だなあ。
この辺りから再び上り坂が始まるよ。2.5キロほど上りが続くけれど、それほどきつい勾配じゃなさそうだ。
林道城峰1号線への分岐点だ。ここが石間峠だろう。
だが、峠はここから林道城峰線を300メートルほど行ったところにあるらしかった。太田部峠も石間峠も、どうも峠の位置が紛らわしいね。つまりここも石間峠ではなくて、石間峠付近ということだね。標高もそれほど変わらないし、ここを峠と考えても、まっ、いいか。
ここでお昼にしたよ。おにぎりと一緒に買ったアンパンだ。高級と書いてあるだけあって、けっこうおいしかったよ。
さあ、林道上武秩父線をさらに進むよ。ここからはずっと下りだ。いいねえ、下り坂。
次は奈良尾峠だよ。
標高が高いので、下りは風が寒いくらいだ。ウインドブレーカーを着たよ。
下りは速いねえ。
走りやすい林道だね。ただ、木々に遮られていて眺望があまりない。
今日は風が強いよ。杉やヒノキの梢で風が鳴っている。砂浜に打ち寄せる波音のように聞こえるよ。風にちぎれた小枝がそこここに落ちている。
おおっ、絶景だあ。高崎市街が一望だね。今日一番の絶景かなあ。これがあるから自転車旅はやめられない。
いい林道だね、この林道は。
おっと、ここも峠の標示がないので、危く通り過ぎるところだったよ。林道奈良尾線の標示があるから、ここは間違いなく奈良尾峠だね。
しかし、林道の入口には通行止めとある。でも、行くしかない。通れるだろうかね。ちょっと心配だが行くことにするよ。
未舗装だ。途中崩れていたらどうしよう。
ダートの道がどこまでも続く。しかもかなりの急勾配だよ。
やがて路面はこんなにガレてきた。それも急勾配のままだ。スピードを殺してゆっくり下ろう。大きな石に乗り上げるとバランスを崩しそうだよ。ここを上ってくるとしたら、押し上げるしかないだろうなあ。
ガレガレの斜面にうんざりしてきた頃、ようやく舗装路が見えてきたよ。やれやれ。
おや、この辺りの路面はまだ舗装されたばかりでほやほやだ。アスファルトの匂いがするよ。いつかは上まで舗装されるのかな。
急勾配のままどんどん下って行くよ。ブレーキは握りっぱなしだ。
突然、眼下に集落が現れた。奈良尾の集落だよ。いい眺めだなあ。静かな集落だなあ。沢戸の集落にしろ、この集落にしろ、山の上の集落というのは静かでいいねえ。つい立ち止まって、見とれてしまう。
さらに下って行くよ。もうすぐこの林道も終りだろう。
おや、なんだろう。
秩父華厳の滝を見下ろす不動明王だよ。こんな顔をしたオヤジが近所にいたような気がする。親しみ深い顔だね。
手すりから下をのぞいてみたよ。水がきれいだったが、ちょっと怖い。
こちらは滝の水の落ち口だ。
林道の出口にあった休憩所だ。バスの待合所になっているようだが、ここでコーヒーを沸かして一休みしたよ。無事に下りて来られてホッとしたんだ。
もちろんコーヒーは最高においしい。家で飲むのとどうしてこんなに違うのかね。同じコーヒーなのにさ。
滝を下から見るつもりだったけれど、コーヒーを飲んでいるうちにすっかり忘れてしまったよ。心残りだが、滝まで戻る時間がない。そのまま道を急ぐことにした。
日野沢川の流れに沿って県道284号を下って行くよ。
道は県道284号から、県道44号へ変わる。
東へ向かっていた道が、琴平下・国神神社のところから南へ方向を変えると、はるか遠くにまた武甲山の姿が見え始めたよ。
郷平橋と郷平橋からの眺めだ。赤平川が荒川に合流しているよ。左に見えるなだらかな山は、たぶん宝登山だろう。宝登山には秩父三社の宝登山神社があるよ。
武甲山の方へ向かって、さらに県道44号を急ぐ。
県道44号から県道72号へと走って行くよ。
やがて見覚えのある橋の姿が目に入ってきた。帰りに渡ろうと決めていた秩父公園橋だよ。
さあ、西武秩父駅はもうすぐだ。今日はずいぶん急ぎ足だったね。でも、天気も晴れて、すばらしい景色に何度も出会うことができてよかったよ。
4時30分、西武秩父駅に到着。
お疲れさん。
帰りの電車のこともあるので、今日はあまり時間に余裕のある旅にはならない。それで、少し慌て気味で準備をしていたものだから、うっかりナビの電源コードを切ってしまったんだ。
ちょっと焦ったが、なんとかしなければならない。
切れた双方のコードのビニール被覆を剥いて線を出し、ねじり合わせてつなげた後、+と-が接触しないようにガムテープで固定し、さらにつなげた個所も動かぬように固定した。何とか使えるようにはなったが、20分ほど時間をロスしてしまったよ。
いつか役に立つときがあるかもしれないと、小さく巻いたガムテープを持っていてよかったよ。
天気予報では明日からまた崩れるが、今日は晴れるといっていた。梅雨入りが近いから天気は不安定だが、今日は大丈夫そうだ。
いよいよ出発するというときの空は薄い雲に覆われていたよ。ちょっと心配だね。
9時20分西武秩父駅を出発。
市街を抜けると、前方に佐久良橋が見えてきた。どんな橋だろう。
下にいい感じの旧佐久良橋が見えるよ。予定ではあちらの橋を渡るつもりだったんだが、曲るところを通り過ぎてしまったんだ。
しかし、あちらの橋を渡っていたら、こんなふうに橋の姿の全体を見ることができなかったね。いい橋だなあ。
橋の上からの眺めもいいね。左手には遠く武甲山。右手には隣の秩父公園橋。帰りはあの橋を渡ろう。
佐久良橋を渡り、県道72号を北へ進むと、秩父公園橋の少し手前に秩父市街と武甲山を眺められるところがあったよ。何度見ても武甲山は立派だなあ。力強いし、堂々としている。
県道72号から、尾田蒔小学校と尾田蒔中学校の間の道を抜け、国道299号へ出る。上り坂で、しかも車の多い国道だよ。ちょっと緊張するが少しの間我慢だ。
ようやく国道から県道270号へ入った。
車は急に少なくなったが、いきなり9.5%の上り勾配だよ。
9.5%の上りのピーク付近からの眺めだ。どこからでも武甲山の雄姿は見られるね。
2つ目の小さなピークだよ。下りはいいなあ。
この先、奈良川橋の手前のセブンイレブンで水とおにぎりを買って行こうかね。
さて、セブンイレブンの横から、番戸大橋の方へ裏道を進むことにしたよ。県道37号は赤平川を挟んだ対岸を走っている。県道よりこちらの方が静かだろう。
おおっ、あれは両神山だろうか。特徴のある山容だからね。きっとそうだよ。
番戸大橋からの赤平川の眺めだ。いいねえ。
番戸大橋を渡ると、10%の上り勾配が現れた。短いその上り坂を上り切ると、山頂に電波塔を載せた城峰山の姿が遠く眺められた。山並みの左端だよ。遠いいなあ。
赤柴という集落を抜けて県道37号の方へ向かう。
新吉田橋という橋で吉田川を渡り、
再び短い急勾配を上って、少し行くと県道37号に出たよ。林道太田部線の方へ向かう県道363号の入口はもうすぐだね。
ここから県道363号だ。だんだん山深くなってきたね。道も狭くなってきたし、いい感じだよ。
しかし、空にはなんとなく薄雲が広がっている。スカッと青空にならないかね。
沢口橋からの石間川の眺めだ。流れの水音が静かに聞こえる。
右手には、何の花か知らないけれど、野草が咲き乱れていいたよ。
石間川沿いの道は石間谷とも呼ばれているらしい。
道をさらに上って行くと、こんな神社の建物が目に入った。諏訪大明神というらしいよ。
中郷の集落のはずれに大きな水車が回っていたよ。ここはまだ県道363号だ。
水車を過ぎてから、勾配がいくらかきつくなってきた。
やっと林道太田部線の起点に着いた。ここまでずいぶん遠かったよ。
林道はこの大きな鳥居をくぐって行くんだ。
いよいよ林道だ。どんな林道だろうかね。楽しみだね。
いきなり急勾配だよ。それもかなりの斜度だ。ずっとこんな調子だとつらいね。
ここは登山道の入口だね。
やあ、いい景色だねえ。あれは沢戸の集落だね。これが“天界の村”というのか。こういう景色に出会えるから頑張ってペダルを回せるんだね。旅に出たくなるんだね。いいなあ。
空がすっかり青くなってきたよ。朝のうちは薄雲が広がっていて気になっていたけど、やっと本物の青空になってきた。嬉しいねえ。
今日は晴れて暑くなると予報では言ってたよ。暑くなる前にだいぶ標高をかせぐことができたのはよかったね。こんなに日差しは強いのに、暑さはまるで感じない。空気がひんやりしていてちょうどいいね。急な上り坂が続いているけど、まったく平気だ。
林道の入口だね。どうやら新しくできた林道のようだよ。
どんどん上って行くよ。晴れてきたので気持ちがいい。
急勾配がいつまでも続くよ。カーブは外側を通ろう。外側の方がいくらか斜度がゆるいからね。
よいしょ、よいしょ。頑張ろう。ペダルを回し続ければ辿り着けない峠はないよ。…こんなキザなセリフはやめよう。口に出すのもくすぐったい。
急勾配を苦労して上る。そして思いがけず絶景に出会う。だから山へ上る。ペダルをこげる。
人生だって、同じだ。頑張って生きていれば、いつかいいことに出会う。だから生きる。生きていける。
あそこが峠だろうか。やっと着いたね。
でも、峠の標示がどこにもないね。かわりに、こんなルート看板があった。
あとで調べたんだが、本当の太田部峠は、ここから土坂峠方面へ100メートルほど行った先にあるらしいよ。
みみ爺は、勝手にここを峠と決め込んで一休みしたあと、石間峠へ向かって出発。
ここからは林道上武秩父線だ。
この分岐は右の方へ行くよ。左は神流湖のある矢納方面だ。いつか神流湖や下久保ダムへも行ってみたいね。
この辺りはほとんど上りがないよ。ラクチン、ラクチン。
花が散って雪が降ったように道が白くなっている。
木の間から山の景色が見えたよ。きれいだなあ。
水平区間はまだまだ続く。気持ちのいい道だなあ。
この辺りから再び上り坂が始まるよ。2.5キロほど上りが続くけれど、それほどきつい勾配じゃなさそうだ。
林道城峰1号線への分岐点だ。ここが石間峠だろう。
だが、峠はここから林道城峰線を300メートルほど行ったところにあるらしかった。太田部峠も石間峠も、どうも峠の位置が紛らわしいね。つまりここも石間峠ではなくて、石間峠付近ということだね。標高もそれほど変わらないし、ここを峠と考えても、まっ、いいか。
ここでお昼にしたよ。おにぎりと一緒に買ったアンパンだ。高級と書いてあるだけあって、けっこうおいしかったよ。
さあ、林道上武秩父線をさらに進むよ。ここからはずっと下りだ。いいねえ、下り坂。
次は奈良尾峠だよ。
標高が高いので、下りは風が寒いくらいだ。ウインドブレーカーを着たよ。
下りは速いねえ。
走りやすい林道だね。ただ、木々に遮られていて眺望があまりない。
今日は風が強いよ。杉やヒノキの梢で風が鳴っている。砂浜に打ち寄せる波音のように聞こえるよ。風にちぎれた小枝がそこここに落ちている。
おおっ、絶景だあ。高崎市街が一望だね。今日一番の絶景かなあ。これがあるから自転車旅はやめられない。
いい林道だね、この林道は。
おっと、ここも峠の標示がないので、危く通り過ぎるところだったよ。林道奈良尾線の標示があるから、ここは間違いなく奈良尾峠だね。
しかし、林道の入口には通行止めとある。でも、行くしかない。通れるだろうかね。ちょっと心配だが行くことにするよ。
未舗装だ。途中崩れていたらどうしよう。
ダートの道がどこまでも続く。しかもかなりの急勾配だよ。
やがて路面はこんなにガレてきた。それも急勾配のままだ。スピードを殺してゆっくり下ろう。大きな石に乗り上げるとバランスを崩しそうだよ。ここを上ってくるとしたら、押し上げるしかないだろうなあ。
ガレガレの斜面にうんざりしてきた頃、ようやく舗装路が見えてきたよ。やれやれ。
おや、この辺りの路面はまだ舗装されたばかりでほやほやだ。アスファルトの匂いがするよ。いつかは上まで舗装されるのかな。
急勾配のままどんどん下って行くよ。ブレーキは握りっぱなしだ。
突然、眼下に集落が現れた。奈良尾の集落だよ。いい眺めだなあ。静かな集落だなあ。沢戸の集落にしろ、この集落にしろ、山の上の集落というのは静かでいいねえ。つい立ち止まって、見とれてしまう。
さらに下って行くよ。もうすぐこの林道も終りだろう。
おや、なんだろう。
秩父華厳の滝を見下ろす不動明王だよ。こんな顔をしたオヤジが近所にいたような気がする。親しみ深い顔だね。
手すりから下をのぞいてみたよ。水がきれいだったが、ちょっと怖い。
こちらは滝の水の落ち口だ。
林道の出口にあった休憩所だ。バスの待合所になっているようだが、ここでコーヒーを沸かして一休みしたよ。無事に下りて来られてホッとしたんだ。
もちろんコーヒーは最高においしい。家で飲むのとどうしてこんなに違うのかね。同じコーヒーなのにさ。
滝を下から見るつもりだったけれど、コーヒーを飲んでいるうちにすっかり忘れてしまったよ。心残りだが、滝まで戻る時間がない。そのまま道を急ぐことにした。
日野沢川の流れに沿って県道284号を下って行くよ。
道は県道284号から、県道44号へ変わる。
東へ向かっていた道が、琴平下・国神神社のところから南へ方向を変えると、はるか遠くにまた武甲山の姿が見え始めたよ。
郷平橋と郷平橋からの眺めだ。赤平川が荒川に合流しているよ。左に見えるなだらかな山は、たぶん宝登山だろう。宝登山には秩父三社の宝登山神社があるよ。
武甲山の方へ向かって、さらに県道44号を急ぐ。
県道44号から県道72号へと走って行くよ。
やがて見覚えのある橋の姿が目に入ってきた。帰りに渡ろうと決めていた秩父公園橋だよ。
さあ、西武秩父駅はもうすぐだ。今日はずいぶん急ぎ足だったね。でも、天気も晴れて、すばらしい景色に何度も出会うことができてよかったよ。
4時30分、西武秩父駅に到着。
お疲れさん。