自転車仲間のIWAさんに誘われ、佐原へでかけたんだ。
最低気温4℃という寒い朝だったよ。待ち合わせの場所の“道の駅やちよ”に着くと、今日一緒に走るBさん、IWAさん、金ちゃんの三人はすでに来ていた。みみ爺は金ちゃんとは初対面だよ。
一休みしてすぐに出発したんだ。天気は、予報では晴れると言っていたのに、空は一面厚い雲に覆われていて、景色はとても寒々としているね。
阿宗橋から船戸大橋まで新川沿いに続く農免道路の風景だよ。
船戸大橋の手前から師戸川沿いの細い谷津道を行く。晴れていれば紅葉もきれいなんだろうが、実に寒々と荒涼とした眺めだね。
先を行くBさん、IWAさん。
きんちゃんはみみ爺の後ろだ。
どこまで行っても日が差してくる気配はない。
曇り空の先に筑波山がくっきりと見えているよ。向こうはいくらか晴れているようだよ。
北印旛沼のモモイロペリカンのカンタくんに会ったよ。
カンタ君を初めて近くで見たが、とても大きい鳥だ。
そもそもモモイロペリカンは体長1.6メートルほど、羽を広げると3メートル近くなるという。寿命は野生で15~25年、飼育下だと50年以上も生きるらしいよ。
このカンタくんは、ここに住み着いてすでに20年以上になるというからかなりの高齢だ。もしかしたらみみ爺とうまがあうかもしれないね。
カンタくんはいつも漁師さんのこの船の上で暮らしているらしいよ。
ペリカンはもともと人懐っこい性格だそうだ。それだからだろうか、カンタくんは人が近づいても逃げるとか警戒するとかもなく、まったく意に介していない様子だ。
近くで作業をしていた漁師さんの話では、
「えさは自分じゃ絶対に獲らない」
と。
「あっちこっち勝手に飛び回っているけれど、えさは絶対に自分で獲らないんですよ」
自分でえさを獲らないカンタくんは漁師さんに食事をいただいているわけだが、高級魚を遠慮なくバクバク食べるそうだよ。
カンタくんは広い印旛沼で、上げ膳据え膳のうえ、まさに自由奔放に生きている。
「カンタくんは殿様みたいですね」
と誰かが言う。本当にそのとおりだ。
「タバコを吸おうと思って火をつけると、取られちゃうんですよ」
「いたずらですね」
「そうなんです。かまってもらいたいんですよ」
漁師さんはまたこんなことも話してくれた。
「こっちが怒ると、魚倉に逃げ込んでしまうんですよ。こっちはそこに入れないから、そこに隠れちゃう。そこで、漁で獲った魚を食べちゃうんです」
このカンタくんは漁師さんにとって、いたずらで手のかかる天真爛漫な弟か、あるいは、ほおって置けないほどかわいい悪友と言ったところか。漁をするときは一緒に船に乗っていく。いたずらはする。気ままに遊びまわる。えさは自分で獲らない。
それにしても今日はとても寒い。印旛沼を覆う重い灰色の雲。
ここは県道161号線沿いの、坂東三十三観音第28番、滑河山龍勢院だよ。慈覚大師円仁が開山したと伝えられる古刹だ。ここの滑河観音は十一面観音だそうだ。
国指定の重要文化財の仁王門は茅葺きだよ。立派だね。左右の内陣には仁王尊が睨みをきかせている。
「お祈りしておいたほうがいいですよ」
と、仁王門の前でニコニコとうれしそうにIWAさんが教えてくれた。
みみ爺はしっかりお祈りしたよ。
銅葺きのみごとな本堂だね。
これは、銅の鋳造製の宝篋印塔だ。千葉県の有形文化財だそうだよ。
寒空の下を黙々とペダルをこぐBさん。成田線に沿った、いやになるほど退屈で真っ直ぐな長い道だよ。
1時半にようやく佐原駅に着いたよ。きれいな駅だね。
駅前には伊能忠敬の像があるよ。
ちょっと遅い昼飯をいただく。豚肉の産地だけあって、やわらかくておいしい肉だったよ。
食事のあと、江戸の風情漂う小野川べりの道をた訪ねる。
こんな寒空の下でも観光客はそこそこいたよ。
佐原に来たら誰もが訪れる有名な場所だからね。
みみ爺は香取神宮にも行ってみたかったけれど、日暮れが早いので時間がないからやめようということで、駅に近い観福寺という真言宗の古刹を訪ねることにしたんだ。
観福寺の門の先は暗く、ちょっと恐ろしいような雰囲気が漂っていたよ。
しかし門をくぐってみると、石段の先にみごとな紅葉が目に飛び込んできたんだ。
ああ、いいカメラがほしいなあ。実際はもっともっときれいだったんだ。みみ爺のカメラではこれが精一杯だ。
安物のカメラだけど、これはきれいだね。
境内はとても広い。荘厳な空気に包まれた空間だよ。
建物の配置が非常に立体感のある境内となっている。
実に立派な本堂だね。
毘沙門堂、鐘楼、観音堂。
不動堂、大師堂。
すべてのお堂が静かで厳かな雰囲気を漂わせている。
観音堂で見事にろうろうと般若心経を唱えているBさん。その後ろで神妙に拝むIWAさん。
Bさんは坊さんのアルバイトもできそうだよ。
三界万霊塔の左右には、地蔵菩薩、観音菩薩がある。
伊能忠敬の墓がある。しかし、こちらには髪と爪が納められているだけだそうだ。遺骸は浅草の源空寺に葬られているという。
みみ爺は観福寺のすばらしさにすっかり打ちのめされてしまった。こんなに立派な寺が近くにあったとは驚きだったよ。
観福寺を出て、まだすこし時間がありそうだったので、近くの荘厳寺へよってみた。
寛永18年(1641)の創建の古刹だ。もともとは観福寺の末寺だったらしい。
境内には、国重要文化財の十一面観音立像が安置されている。木造で身の丈3.25メートルもある大きなものだそうだ。
境内にはそれぞれ名前の書かれた石仏が並ぶ。
門前にあった展望台からの佐原の町の眺めだよ。
今日は結局一日寒い曇り空だったね。
きれいな紅葉を眺めながら、佐原駅へ向かう坂道を下る。
駅に着いたときは4時を過ぎていたよ。この時季は4時半には日没を迎え、すっかり暗くなってしまう。ちょうどいい時間に駅に着いたね。
ずっと平地を走ってきたので疲れはしなかったが寒かったよ。
印旛沼では初めてモモイロペリカンのカンタくんに会い、佐原では訪ねた寺が思いがけなくすばらしいお寺で、楽しいサイクリングだったね。
最低気温4℃という寒い朝だったよ。待ち合わせの場所の“道の駅やちよ”に着くと、今日一緒に走るBさん、IWAさん、金ちゃんの三人はすでに来ていた。みみ爺は金ちゃんとは初対面だよ。
一休みしてすぐに出発したんだ。天気は、予報では晴れると言っていたのに、空は一面厚い雲に覆われていて、景色はとても寒々としているね。
阿宗橋から船戸大橋まで新川沿いに続く農免道路の風景だよ。
船戸大橋の手前から師戸川沿いの細い谷津道を行く。晴れていれば紅葉もきれいなんだろうが、実に寒々と荒涼とした眺めだね。
先を行くBさん、IWAさん。
きんちゃんはみみ爺の後ろだ。
どこまで行っても日が差してくる気配はない。
曇り空の先に筑波山がくっきりと見えているよ。向こうはいくらか晴れているようだよ。
北印旛沼のモモイロペリカンのカンタくんに会ったよ。
カンタ君を初めて近くで見たが、とても大きい鳥だ。
そもそもモモイロペリカンは体長1.6メートルほど、羽を広げると3メートル近くなるという。寿命は野生で15~25年、飼育下だと50年以上も生きるらしいよ。
このカンタくんは、ここに住み着いてすでに20年以上になるというからかなりの高齢だ。もしかしたらみみ爺とうまがあうかもしれないね。
カンタくんはいつも漁師さんのこの船の上で暮らしているらしいよ。
ペリカンはもともと人懐っこい性格だそうだ。それだからだろうか、カンタくんは人が近づいても逃げるとか警戒するとかもなく、まったく意に介していない様子だ。
近くで作業をしていた漁師さんの話では、
「えさは自分じゃ絶対に獲らない」
と。
「あっちこっち勝手に飛び回っているけれど、えさは絶対に自分で獲らないんですよ」
自分でえさを獲らないカンタくんは漁師さんに食事をいただいているわけだが、高級魚を遠慮なくバクバク食べるそうだよ。
カンタくんは広い印旛沼で、上げ膳据え膳のうえ、まさに自由奔放に生きている。
「カンタくんは殿様みたいですね」
と誰かが言う。本当にそのとおりだ。
「タバコを吸おうと思って火をつけると、取られちゃうんですよ」
「いたずらですね」
「そうなんです。かまってもらいたいんですよ」
漁師さんはまたこんなことも話してくれた。
「こっちが怒ると、魚倉に逃げ込んでしまうんですよ。こっちはそこに入れないから、そこに隠れちゃう。そこで、漁で獲った魚を食べちゃうんです」
このカンタくんは漁師さんにとって、いたずらで手のかかる天真爛漫な弟か、あるいは、ほおって置けないほどかわいい悪友と言ったところか。漁をするときは一緒に船に乗っていく。いたずらはする。気ままに遊びまわる。えさは自分で獲らない。
それにしても今日はとても寒い。印旛沼を覆う重い灰色の雲。
ここは県道161号線沿いの、坂東三十三観音第28番、滑河山龍勢院だよ。慈覚大師円仁が開山したと伝えられる古刹だ。ここの滑河観音は十一面観音だそうだ。
国指定の重要文化財の仁王門は茅葺きだよ。立派だね。左右の内陣には仁王尊が睨みをきかせている。
「お祈りしておいたほうがいいですよ」
と、仁王門の前でニコニコとうれしそうにIWAさんが教えてくれた。
みみ爺はしっかりお祈りしたよ。
銅葺きのみごとな本堂だね。
これは、銅の鋳造製の宝篋印塔だ。千葉県の有形文化財だそうだよ。
寒空の下を黙々とペダルをこぐBさん。成田線に沿った、いやになるほど退屈で真っ直ぐな長い道だよ。
1時半にようやく佐原駅に着いたよ。きれいな駅だね。
駅前には伊能忠敬の像があるよ。
ちょっと遅い昼飯をいただく。豚肉の産地だけあって、やわらかくておいしい肉だったよ。
食事のあと、江戸の風情漂う小野川べりの道をた訪ねる。
こんな寒空の下でも観光客はそこそこいたよ。
佐原に来たら誰もが訪れる有名な場所だからね。
みみ爺は香取神宮にも行ってみたかったけれど、日暮れが早いので時間がないからやめようということで、駅に近い観福寺という真言宗の古刹を訪ねることにしたんだ。
観福寺の門の先は暗く、ちょっと恐ろしいような雰囲気が漂っていたよ。
しかし門をくぐってみると、石段の先にみごとな紅葉が目に飛び込んできたんだ。
ああ、いいカメラがほしいなあ。実際はもっともっときれいだったんだ。みみ爺のカメラではこれが精一杯だ。
安物のカメラだけど、これはきれいだね。
境内はとても広い。荘厳な空気に包まれた空間だよ。
建物の配置が非常に立体感のある境内となっている。
実に立派な本堂だね。
毘沙門堂、鐘楼、観音堂。
不動堂、大師堂。
すべてのお堂が静かで厳かな雰囲気を漂わせている。
観音堂で見事にろうろうと般若心経を唱えているBさん。その後ろで神妙に拝むIWAさん。
Bさんは坊さんのアルバイトもできそうだよ。
三界万霊塔の左右には、地蔵菩薩、観音菩薩がある。
伊能忠敬の墓がある。しかし、こちらには髪と爪が納められているだけだそうだ。遺骸は浅草の源空寺に葬られているという。
みみ爺は観福寺のすばらしさにすっかり打ちのめされてしまった。こんなに立派な寺が近くにあったとは驚きだったよ。
観福寺を出て、まだすこし時間がありそうだったので、近くの荘厳寺へよってみた。
寛永18年(1641)の創建の古刹だ。もともとは観福寺の末寺だったらしい。
境内には、国重要文化財の十一面観音立像が安置されている。木造で身の丈3.25メートルもある大きなものだそうだ。
境内にはそれぞれ名前の書かれた石仏が並ぶ。
門前にあった展望台からの佐原の町の眺めだよ。
今日は結局一日寒い曇り空だったね。
きれいな紅葉を眺めながら、佐原駅へ向かう坂道を下る。
駅に着いたときは4時を過ぎていたよ。この時季は4時半には日没を迎え、すっかり暗くなってしまう。ちょうどいい時間に駅に着いたね。
ずっと平地を走ってきたので疲れはしなかったが寒かったよ。
印旛沼では初めてモモイロペリカンのカンタくんに会い、佐原では訪ねた寺が思いがけなくすばらしいお寺で、楽しいサイクリングだったね。