傷ついたカササギフエガラスのヒナを保護したら、やることなすこと人間じみてきた。誰よりも家族を思いやる愛情深い鳥人間となった。(オーストラリア)
現 2013年末、オーストラリア、ニューポートのビルゴラビーチ郊外に住むブルーム一家は、自宅付近の地面に横たわっている、生後わずか数週間のカササギフエガラスのヒナを保護した。
ヒナはかなり弱っていて危険な状態にあったが、獣医さんの助言のもと、一家はつきっきりで看病した。「ペンギン」と名付けられたヒナは一命をとりとめ、いまではすっかり元気となった。
ブルーム一家の愛情をめいっぱいうけて育ったペンギンさん。今ではすっかり自分も人間だと思い込み、家族の一員であることを全力で示す。とにかくもう、なつっこくてやんちゃでかわいくて、その様子はネット上に紹介され、あっという間に人気者となった。在、あちらこちらへ元気に外を飛び回るようになったペンギンさんだが、いつだってブルーム家に戻ってくる。キャメロンさんとサムさん夫妻、そしてルーベンくん(13歳)、ノアくん(11歳)、オリくん(9歳)の3人の子供たちが彼女の帰りを待っていてくれるからだ。
「子供が学校から帰ってくる3時半頃は家にいます。帰ってきた気配を感じるとさえずり始めるんですよ」とキャメロンさん。
ペンギンさんは普段、夜中まで外を散策しているのだが、帰ってくると外の木に泊めてもらう。自由に空を飛べる彼女だが、朝方は家族の周りをウロウロし、子供たちが登校するまで自分の用事に出かけることはないそうだ。
子供たちは、まるで子犬をいたわるように、ペンギンさんをかわいがる。そしてペンギンさんは、どうやらやはり、自分は人間だとおもっているふしがあり、子どもたちをヒナのようにかわいがる。寝る時も、食べる時も、遊ぶ時も常に一緒だ。
風で木から吹き飛ばされ、地面にたたきつけられたと思われるペンギンさんを発見したのはノアくんだ。
「獣医から飼育方法についてちょっとしたアドバイスを受けました。それで自分でも少し調べて、別の獣医にも相談して、雛が食べられそうなエサを少し持っていたんです。育てているうちに、飛び方も覚えてくれて…本当に楽しかったですよ」とキャメロンさんは話す。
キャメロンさんによれば、ペンギンさんはキャッチボールなどの遊びが大好きだという。また、歌も楽しみ、催促すると人間の真似をしているかのような素振りも見せるそうだ。
「手を羽みたいに羽ばたかせると、ペンギンも羽ばたかせるんです。家の中では常に子供と一緒に遊んでますよ。子どもの玩具をつついたり、ゲームで遊んだりね。すっかり人に馴れました。子供たちが友達とハンドボールで遊んでいると、ペンギンは子供から子供へと飛び回って、何か一緒にプレイしているみたいなんです。面白くって、ハチャメチャです。」
庭にある大きなアカソケイの木に止まって、出かける家族をお見送りすることもある。「まるで尻尾を振る犬みたいですよ。木に止まって、興奮したみたいに羽を羽ばたかせるんです。」
さらに番犬としても有能らしい。知らない人が家を訪れると警戒し、軽く突くこともあるのだ。ペンギンさんは自分を嫌う大人たちがわかっているようだ。
そんなペンギンさんの日常だが、ときには災難に見舞われることもある。付近の鳥に襲われることがあるのだ。 「庭で虫を突いているとき、近くに他のカササギフエカラスが接近してくると、まっしぐらに家の中に飛んできて避難します。襲われて血を流したこともありますよ。」
オーストラリア固有在来動物協会里親制度のボランティア、ヘイゼル・クラネンバーグさんによると、こうしたことはよく耳にする話だという。縄張り意識の強い鳥がいるため、保護したカササギフエガラスを自然に還すのは難しいのだという。自然に放すには、他のカササギフエガラスがいない奥地まで行く必要もあるそうだ。それでも仲間には見つかってしまうらしいのだが。
「美しい鳴き声でさえずる可愛い鳥ですよ。繁殖期以外はそれほど攻撃的でもないですし」。とクロネンバーグさん。
さらにペンギンさん、ブルーム家の子供たちがそうしているのと同様、ときには家に友達を連れてくることがあるそうだ。
「数ヶ月ほど前、カササギフエガラスの雛を見つけたんですが、ペンギンはその子と遊び始めて、家の中に連れてきました。2匹はおしゃべりをして、一緒にはしゃぎ回っていました。本当に素敵でした。いつの日かペンギンも自分の家族を作るのでしょうね」とキャメロンさんは語る。
その日まで、カササギフエガラスの家族を迎えたブルーム家は幸せな日々を送るのだろう。
via:abc・原文翻訳:hiroching
シャワーを浴びるのも子供と一緒。とにかく一緒じゃないと気が済まないペンギンさん。
Penguin the magpie takes a shower
カササギフエガラスはオーストラリアやニューギニア島に生息する鳥で、見た目はカササギによく似ており、一般名は英語でも同じだが、実際にはカササギ科に属するそうだ。姿が似てるだけかもしれないが、カラス並みの賢さがうかがえるのは、ペンギンさんが特別なのか、環境によるものなのだろうか。いずれにしてもこんなに愛されているペンギンさんは家族の一員として今日もみんなを楽しませてくれているにちがいない。
(追記:鳥名を変更いたしました)
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