USJの市有地賃料「3億円」値上げ訴訟、大阪市が勝訴 「民有地より低額にする事情ない」大阪地裁
米映画テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(大阪市此花区、USJ)の運営会社に市有地を貸している大阪市が、年間約3億1千万円の賃料値上げを同社に求めた訴訟の判決が6日、大阪地裁であった。長谷部幸弥裁判長は、地裁が選んだ不動産鑑定士の鑑定をもとに年間約1億3千万円の値上げを認めた。
判決によると、USJの敷地約54万平方メートルのうち市有地は約20万平方メートル。市は平成13年の開業前から段階的に賃料を上げ、19年からは1平方メートル当たり月388円としていた。しかし、残る約34万平方メートルを貸す民間6社の平均賃料が月516円と判明。市は22年4月以降の賃料を民間6社と同額にすることを求めていた。
長谷部裁判長は判決理由で、運営会社が19年以降、継続的に50億円以上の黒字を計上し、市も株式を売却して資本関係を解消したことから、「民間と比べて著しく低い賃料にする事情はなくなった」と指摘した。
ただ、当初からUSJの地域経済への貢献を考慮した賃料設定になっていたことを踏まえ、「民有地の賃料と同額にすべきとまではいえない」とし、民有地より低い月442円が相当と判断した。
運営会社は「納得できない。判決をよく見て控訴するかどうか決定する」、市は「請求が一部認められず遺憾」とコメントした。
運営会社側は「地価は下落している」として、月372円に減額するよう求めて反訴していたが、請求を退けられた。市は25年4月以降の賃料を月581円にすることを求めた訴訟も起こしており、係争中。