またまたまたでた。暴走医療批判記事。『現役医師20人に聞いた「患者には出すけど、医者が飲まないクスリ」』。(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42507)
やれやれ。昔はメディアが面白おかしく適当に表すことが多かったんだけど、最近は「かわったお医者さん」が、ある意味「面白おかしく」しゃべるケースがおおいんだよねー。ま、もちろん本意ではないことを編集されているのかも知れないけどね。
で、実際この記事内容が、まー、ひどい。個人的な経験談や印象がメイン。アカデミックな、きちんと根拠を示したような記事はありません。
とくに笑ったのが、「疲労困憊・明らかな睡眠不足時に風邪ひいたんで、風邪薬飲んで車運転したら眠気に襲われて事故おこしそうになった」とか、「インフルエンザの薬はインフルエンザウィルスをやっつけるわけではないので初期にしか意味が無い」「異常行動がおこったから飲ませたくない」。うーん。正直「あったりまえ」ですよ。
こんな話は医療関係者ではなくても、一般の皆さんでも結構わかっている話。……ていうか、そもそも「睡眠不足で疲労困憊で風邪ひいてるけど運転する人」に「眠気の出る感冒薬」は処方しちゃだめでしょう。
少なくとも私はそういう感冒薬を処方する必要があるなら、患者さんにそういうリスクも話してますし、そういうシチュエーションが疑われる人にはそもそも基本的には処方しません。
さらにインフルの話も必ず患者さんにお話しするし、「10代までの小児にはかっちり必要性が無ければなるべく処方すべきでない」というのは医者ではだれでも知ってる話。
そもそも薬のせいではなくても「インフルエンザでの高熱での異常行動」もありえるし、「インフルエンザ脳症という病気での異常行動」もありえるし、それは医師が個々のケースに従って判断して、責任をもって出すか出さないか判断すべき。ざっくりなんとなく出したくないとか出すとか決めるのではないと思います。
「この患者さんにはこうこうこうで、内服した方が良いから処方」。逆に、「この患者さんはこうこうこうで内服は必要ない、もしくは危険だから処方しない」。きちんと考えないと、特に「自分がこんな目にあったからこの薬は危険」なんてもってのほか、さらに「自分がこんなひどい目にあったから患者さんに出さない」なんてのは論外ですよ。
薬には絶対功罪両方があります。誰にでも有効な薬なんてないし、誰にでも安全な薬もない。
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