理不尽の極み。の物語。
なんだかもう、極まりない。
解説
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・・直木賞作家の葉室麟のベストセラー小説を、『雨あがる』『博士の愛した数式』の小泉堯史監督が映画化した人間ドラマ。無実の罪で3年後に切腹を控える武士の監視を命じられた青年武士が、その崇高な生きざまを知り成長していく姿を師弟の絆や家族愛、夫婦愛を交えて描き出す。過酷な運命を背負いながらもりんとした主人公に役所広司、その監視役の青年には『SP』シリーズの岡田准一。そのほか連続テレビ小説「梅ちゃん先生」の堀北真希や、ベテラン原田美枝子が共演を果たす。
あらすじ
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・・豊後・羽根藩の奥祐筆・檀野庄三郎(岡田准一)は、城内で刃傷沙汰に及んだ末、からくも切腹を免れ、家老により向山村に幽閉中の元郡奉行・戸田秋谷(役所広司)の元へ遣わされる。秋谷は7年前、前藩主の側室と不義密通を犯した廉で、家譜編纂と10年後の切腹を命じられていた。庄三郎には編纂補助と監視、7年前の事件の真相探求の命が課される。だが、向山村に入った庄三郎は秋谷の清廉さに触れ、その無実を信じるようになり……。命を区切られた男の気高く凄絶な覚悟を穏やかな山間の風景の中に謳い上げる、感涙の時代小説!
原作は直木賞を受賞した葉室麟の時代小説。
葉室麟さんは、福岡の方です。
この物語の舞台は、大分県豊後です。
美しく映し出される四季折々の風景は、しかしながら
岩手県がロケ地なのだそうです。
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ネタばれは、しませんよ。ご安心を~
10年後に切腹せよ。ああ~なんて理不尽。
しかも冤罪です。
その冤罪は、みなが周知するところ。
お家騒動とも重なるある秘密を守るために誰もが真相を知っていながら
秋谷一人に罪をかぶせ、本人もまた大切な人を守るためその罪を甘んじて受けるというストイックすぎる生き方、
もう~まったくもって理不尽。
秋谷は人徳がある立派な武士なのです。
刻々と死が近づくにもかかわらず、動揺も見せずただ家譜編纂の任務を遂行する。
家族は死を待つ家人をただ見守るだけです。
秋谷の凛とした生き様は監視役の庄三郎を成長させます。
その庄三郎が秋谷の幼い息子の心の成長を助けます。
武士という人間の崇高な絆だけが生きた証となるのです。
そこ、500年くらい前?
何代前かの同じ日本人のお話です。
こう、理解しがたい世の中が、この
大地の上で繰り広げられていたなんて
まったくもって、理解できません。
「残された人生 あなたならどう生きますか?」と
問われても
現在に生きる私らにはとうてい答えようがありません。
タイトルの「蜩ノ記」は、秋谷が綴っていた日々の日記の名前です。
その日暮らしの身を、1日の終わりを哀しむように鳴く蜩に重ねています。
蜩ノ記
10月5日鑑賞