いっさつのほん

ひだまりにすすみでて
からだじゅうとこころのすみずみまで
どこをみせてもあなたにならかまわない

よみつくしてわたしを
そのためにつづってきたんだわ
ながいゆびさきがめくるぺーじは
ゆめのすなはまうちよせるなみのおと

夢の楽譜に緑の蔦

あなただけは言えない気持ちで淀まないでね
閉ざした扉の奥でひとりきり泣かないでね

荒れ狂う嵐を抱いて眠る夜の無いように
夢の楽譜に緑の蔦を絡ませてあげるわ

蟻の歩み

手をつくし茨の衣を剥いでゆく
痛かったねもうすこし我慢してね

あなたにはあたしじゃなくちゃ
無理なんだ、って途方もなくわかったね

幸福には果てがないと聞いていたけれど
ふたりなら蟻の歩みでもどうやらたどれそうだよ

この世のゴールまで歩ききったら
羽根みたいに微笑みながら永遠の輪を描こうね

哀切の霧

言葉を迷ったなら精一杯の時間をかけるべきだった
守りたかったのは君の翼ではなく僕の居場所
「行かないで」などとは矛盾した想い
哀切の霧が晴れてからみえる本当のこと

逢いたい

砂糖菓子のお城より、
真実の腕のなかで眠りたい。

めざめたら誰より早く、
あなたに逢いたい。