今ここ・サブカル散歩

しゆい目線での日本のエンタメ所感などを。
365日walkingデートは2014年の2月の記事からご覧ください。

抱きしめたい

2009-04-17 15:42:41 | 透明


土の中は暗かったから
夜が明ける前もそれはそれは暗かったから 
お伽話の寂しい結末に涙がとまらなかった 

小さな男の子のあなたの翼の傷に
包帯を巻いてあたたかいスープをのませよう 
つめたい雨をよける傘になろう 
疲れた身体を休めるクッションになろう 

苦しみのなかからようこそ
痛い痛い棘をぜんぶ抜いてあげる
あたしのひだまりをすべて使って抱きしめたい

空にのぼる葉っぱの気持ちで
あおいあおいメロディがうまれる 
この先にひとつの哀しみも訪れないように
あたしのひだまりをすべて使って抱きしめたい



夢をみてた

2009-04-16 17:34:36 | 透明


夢をみてた 
携帯を握りしめて 
貝殻のように 
まるく眠ったまま 

逢いたかった 
天の衣ひるがえして 
日々を編んだ帯をといて 
素肌で抱きしめられて 

月が姿をかえるのは 
ふたりのため 
涙の壷が満ち干くように 
あおくしずかに 

夢をみてた 
ひかりの朝ひとり 
もうじき逢える 
泣かないで 



さくら

2009-04-13 15:17:31 | 


花びらが降るように 
とめどなく君を想う 

狂おしい気持ちなら 
あの樹の下に埋めてしまったから 
今は静かな風 
すみわたる瞳 

ほんの僅かでも 
いまでは何も滞らずに伝わる 
君が微笑む 
月が青くてらしている 

息がくるしくて幸福 
という気持ちを 初めて知った季節



久遠の薫り

2009-04-12 10:13:17 | 透明


ここから始めても
氷の粒痛くて
裸足だからしかたない 

苦しみにぎゅっと挟まれた 
隙間の幸福だって
れっきとした幸福よ 

どんな剣を放りこんでも 
あなたは涼しい顔して
あたしの手を握るのよ 

過去の幻を
引き剥がしてくれて
ありがとう 

痛みは癒えたから抱きしめて 
久遠の薫りがするあなたの胸に 



桜街

2009-04-09 11:18:22 | 


あなたの気配が 
途切れたように思って 
急いでふりかえると  
心がそっとどこかを旅している瞳 

大好きな花は満開の桜 
銀の花びらに巻かれながら 
懐かしい日に帰る桜街 

戻っていらっしゃいって 
肩ごしに声をかけても 
夢の小鳥を手にとまらせたまま 

あなたをそんなにも少年にしてしまう 
桜街の風景に 
少しだけ感じるジェラシーを 
上手に隠せるようにするから 

あなたをそんなにも幸福にしてしまう 
桜街の風景に 
いつか私も連れてって 

手をとって歩き出す 
あなたの髪にひとひら銀の花びら 
舗道に落ちて涙みたいに消えていく