いとしいものがたり

つぎつぎと
めのまえに
さしだされる
ものがたりを

おいかけるだけの
あたしではなく

うけとめる
うけいれる
うつくしい
そらになろう

えいえんになるより
ずっとはるかなせかい

しあわせ

向こうとこちらで
微笑みで挟みながら
ぴかぴかに磨く窓

ひかるグラスに
あまいピンクの
２輪のガーベラ

あたしが綺麗だとか
実はとてもやさしいとか
世界じゅうでたったひとりの
あなただけに知っていてもらえる

つかまえていて
はなさないで
もしもなくしてしまったら
またうまれおちてくるわ
あなたの愛の前まで
何回だってたどりつく

尖った星

冴え冴えとするから星は
君の胸に降りてはきらきら痛む
痛みだけが永遠と嘆くの？
僕に逢えて瞬いていた
最初の頃の君は何処へ消えたの？

がらんどう

がらんどうだったこころのあのときからもまもられているいまのあたし

囀り

逢いたい、も
逢おう、も
逢えない、も

言わなくなった恋の
真意を計るのをやめて

深い言葉の森
葉陰に木漏れ日
小鳥の魂の願いを
叶えに舞い降りて

ここで囀るの
詩を、星を、
やわらかな久遠を。

変わらぬ願い

呪うのをやめたからここに出られた
愚かな過去は通過しても
消えるものではないけれど

愛するひとのまなざしが
いつもどんな時にも降りそそがれる
それが変わらぬ願いだった

叶えられたから
叶えつづけたい

知りつづけていくのだわ　あなたを

夢より綺麗

薔薇色の羽根
空の雲をなでるように

どこへも行けない閉じられた感じから
いまは遠く遠く歩いてあなたのもとへ

赤い花

目印に赤い花を咲かせるから
うまれたがる言葉たちよ
あたしめがけて降りそそいで

何度も願った

ただあたしの愛に怯えないでいてくれたら、と

サファイアの雫

あなたの瞳に映る
ちいさなサファイアの雫
退屈じゃない幸福を知ってるよ
末広がりに知ってるよ
落葉から木枯らしのつめたい季節だって
豊かな祈りを空に贈ろう
どうしても、って言わない
なんにも欲張らない
両手をひろげたままで
降るものをただ受けとめる
あなたのことすべて
光と影のように愛してるよ