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米企業、ハリスノミクスに警戒 価格抑制・法人増税

2024-08-21 10:15:08 | 米大統領選2024


ハリス副大統領は経済政策の一環として食品価格のつり上げを禁止すると表明した=AP

 

 

米民主党の大統領候補、ハリス副大統領が掲げる経済政策に企業が厳しい目を注いでいる。

中間層を支援するため、食品の価格つり上げ禁止などの価格抑制策を打ち出したが、コスト高騰に直面する食品業界は反発する。大企業に「公平な負担」を求める法人税率引き上げも国際競争力に影響しかねない。

 

 

 

価格抑制策に食品業界は反発

ハリス氏が政策の目玉とした一つが価格抑制策だ。16日の演説で食品の過度な値上げを禁止する法律をつくると表明した。

インフレに伴う大手食品企業の値上げの動きをけん制し「多くの食品会社は過去20年間で最も高い利益を上げている。価格はまだ高すぎる」と主張。小規模な食品企業を支援し、公平な競争の場所をつくると強調した。

 

食品業界は反発している。食品業界は賃金上昇や気候変動などに伴う材料費の高騰などコスト急増に直面している。

アリゾナ州の独立系チョコレートメーカー、MAEの販売担当者は「カカオ豆など原料価格の高騰が激しく、秋の大幅値上げは避けられない」と話す。

 

メーカーだけでなく小売業者にも困惑が広がる。

米食品業界団体FMIが8月に発表した報告書では、米国(一部カナダ含む)の食品小売り・卸売業の利益率と既存店売上高成長率は新型コロナウイルス禍以降に急上昇したが、23年にはコロナ前の水準に後退している。

 

 

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全米食料品店協会のグレッグ・フェラーラ会長兼最高経営責任者(CEO)は16日に発表した声明で「独立系の食品店は既に極めて薄い利益率で営業している。

インフレ圧力に苦しんでいるのは顧客と同じだ」と抗議した。単純な価格抑制ではなく、クレジットカード手数料の高騰対策や反トラスト法の厳格な適用を進めるように求めた。

 

 

ジョージ・ワシントン大学の経済学助教授、スティーブン・ハミルトン氏は「一部の食料品の価格上昇が全体のインフレの主な原因ではない」と分析する。

値上げ禁止はメーカーの生産拡大の意欲をそぐため、結果的に商品不足につながりかねないとの見方もある。

 

 

 

住宅対策は「もろ刃の剣」

ハリス氏は住宅価格の高騰で家が買えない若年層らの不満を意識し、建設会社の税優遇を通じた手ごろな住宅建設の促進や初めて家を買う人向けの2万5000ドルの頭金の補助なども打ち出した。

米投資銀行TDカウエンのジャレット・セイバーグ氏は、住宅価格上昇の根底にある物件不足を解消する供給促進策については「生産的な結果を生む可能性がある」と評価する。

 

ただ、頭金の補助は「(供給が増える前に)住宅需要を高めてしまう」と指摘。一段の価格上昇につながりかねないと懸念する。

住宅販売の拡大は家具などの購入を通じて消費全体の押し上げにつながる。住宅への補助金は消費を増やし、かえってインフレを加速させてしまうリスクもある。

米調査会社ヤルデニ・リサーチのチーフマーケットストラテジスト、エリック・ウォーラーステイン氏は「(住宅補助金は)現在の状況では不要の政策だ」と指摘する。

 

 

 

企業への影響は「精査」が必要

ハリス氏は格差是正に向けて大企業に追加の税負担を求めるため、法人税率を21%から28%に上げる考えだ。

法人税率の引き上げは税収増につながるが、企業の国際競争力にはマイナスとなる。米国に進出する日本企業への影響も大きい。

 

もっとも、日本貿易振興機構(ジェトロ)ニューヨーク事務所調査担当ディレクターの加藤翔一氏は「法人税は企業の負担増になるが、ハリス氏の経済政策はインフレ抑制法(IRA)など税優遇策の継続や比較的寛容な移民受け入れによる人件費コスト低下など、企業に有利になり得る点もある」と分析する。

企業への影響は複雑で、政策の精査が必要だという。

 

 

ハリス氏はバイデン米政権の方針を継承し、半導体など先端分野を中心とした産業育成や電気自動車(EV)産業育成などの支援策を今後も進める方針だ。

半導体産業振興を狙うCHIPS・科学法やIRAの巨額補助金を呼び水に米国内での民間投資を促していく。

(ニューヨーク=川上梓、西邨紘子、斉藤雄太、野一色遥花)

 

 

 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

 

 

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト

別の視点

法人税の税率について、ハリス氏は(バイデン氏のプランを受け継ぐ形で)21%から28%への引き上げを主張する構え。

一方、共和党のトランプ前大統領は6月中旬の財界首脳との非公開会合で20%に引き下げる意向を表明と報じられている。

法人税をどうするかでも、民主・共和両党は真っ向勝負をする形。

ここで、税制面の国際協調、およびG7における法人税改革の流れから言うと、ハリス氏の主張に軍配が上がると言えそうである。

G7・G20は21年に、法人税率引き下げ競争に終止符を打つ歴史的な合意を実現。各国共通の最低税率は15%以上とされた。また、英国ではスナク政権(当時)が23年から法人税率を25%に引き上げた。

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滝田洋一
日本経済新聞社 客員編集委員
 
ひとこと解説

法人税増税は減益要因。この真ん中の論点に触れた記事は貴重です。

①ハリス氏は法人税率を現行21%→28%に増税。

②税引前利益を100とすると、税引後利益は79→72に。

③他の条件にして一定ならば、ハリス増税で税引後利益は8.9%減へ。

④控除などを加味した実効税率に基づく計算が必要なので、続報が期待されます。

⑤法人税増税が雇用や株式市場に及ぼす影響は如何。知りたいのはここです。

 

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日経記事2024.08.21より引用
 
 

 


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