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火のない所のサラリーマン増税? 岸田政権、火消し悩む

2023-07-31 09:04:15 | 日本経済・金融・給料・年金制度

 

サラリーマン増税を検討している、という印象を打ち消してほしい。7月上旬、首相官邸から財務省にこんな意向が伝わった。

きっかけは政府税制調査会(首相の諮問機関)がまとめた中期答申だ。会社員向けの給与所得控除の見直しに関する言及が「サラリーマン増税」と受け止められてSNS(交流サイト)で話題になった。一部報道機関が取り上げ、岸田文雄首相にも報告が上がった。

答申は給与所得控除を「相当手厚い仕組み」としつつ「所得間の課税上のバランスを確保していくという視点も重要だ」と記述したにとどまる。負担増への明示的な言及はない。

むしろ念頭にあったのはフリーランスの人たちが不公平だと感じないよう、会社員以外にも恩恵がある基礎控除を手厚くする内容だった。

だが騒ぎは収まらない。「政権が通勤費の支給に課税する」との見方も広まった。

25日、自民党税制調査会の宮沢洋一会長は首相官邸を訪れ、面会後に首相とのやりとりを記者団にこう披露した。

首相「岸田政権が増税を考えているという、全く自分が考えていないような報道があるが、税調はどうなのか」

宮沢氏「議論は一度もしたことがないし、頭の隅っこにもない」

首相との会話の内容は表で雄弁に語らないのが永田町の不文律となっている。臆測を打ち消す意図があったのは明らかだ。

官邸の焦りの源流にあるのは過去の「サラリーマン増税」を巡る騒動だ。

「所得税を充実させるならば、給与所得者、サラリーマンに頑張ってもらうしかないですよ」。2005年、政府税調の石弘光会長(当時)が発言した映像がテレビで繰り返し流され不興を買った。わかりやすい説明をしようとしたのが裏目に出た。

財務省内には「今回は火のない所の煙で消しようがない。答申を読んでもらえれば分かる」と嘆く声がある。とはいえ政府税調の答申は260ページもある。読み手に親切とは言いにくい。

広く影響する税は国民とのコミュニケーションが難しい。今回の騒動はそれを浮き彫りにした。

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日系記事 2023.07.31

 

 

 

(関連情報)

LGBT理解増進法が施行 松野官房長官「多様性尊重される社会に」
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/c59046fd1c565136dd80492ff12d1ddd

 


会見する松野博一官房長官=23日午前、首相官邸(矢島康弘撮影)

松野博一官房長官は23日午前の記者会見で、LGBTなど性的少数者への理解増進法が同日施行されたことを受け「多様性が尊重され、すべての人々が生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向け、引き続きさまざまな国民の声を受け止め、しっかりと取り組んでいく」と述べた。

政府は同日、内閣府に担当部署を設置。今後、関係府省による連絡会議を開催し、基本計画や指針の策定に向けて検討を行う。

一方、同法の施行によって、トランスジェンダー女性(生まれつきの性別は男性、性自認は女性)にトイレや更衣室など「女性専用スペース」の利用に道を開きかねないとの懸念もある。松野氏は「理解増進法はあくまで理念法であり、施行によって従来の取り扱いが変わるものではない。現行法で適切に対応される」との認識を示した。

2023.06.23 サンケイ記事より引用

 

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最初から松野さんは一貫して言っていたのに、阿呆のネット民が自称男性が女子トイレに入りレイプするとか女風呂に入れてしまう法案などとさんざんデマを流し、

せっかくG7で日本を露骨に侵略、ウクライナを違法にするロシアを国際的に非難決議したのに、さんざん岸田首相の評判を落としました。 

今度からデマを流す阿呆を訴えてもよいのではと思います。回転寿司でのバカッターが一向に減らないのは客だから訴えられないだろうと根拠なき楽観で行われてきたものでしょう。

馬鹿は死ななきゃ治らない!

 

 


ニジェール、クーデター主導の将軍が国家元首を宣言

2023-07-31 03:54:08 | 国際政治・財閥

Gen Abdourahmane Tchiani
アブドゥラフマン・チアニ将軍

兵士らがクーデターを宣言した西アフリカのニジェールで28日、アブドゥラフマン・チアニ将軍が新たな指導者になったと発表した。

オマル・チアニの名でも知られるチアニ将軍は、26日にこのクーデターを起こした。チアニ将軍の率いる大統領警護隊がモハメド・バズム大統領を拘束した。

バズム氏は、ニジェールが1960年にフランスから独立して以来、初めて選挙で選ばれた大統領だった。

現在も健康状態は良好とみられているが、なお警護隊に拘束されている様子。

 

バズム氏は、西アフリカにおけるイスラム武装勢力との戦いで、欧米の重要な協力者となっている。

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Presentational white space

62歳のチアニ将軍は、2011年から大統領警護隊を率いている。2018年に、マハマドゥ・イスフ前大統領によって将軍に任ぜられた。

2015年にも、前大統領に対するクーデター未遂に関わっていたとされるが、その後の法廷では否定している。

チアニ将軍はテレビ演説で、治安悪化や経済低迷、汚職といった国内問題を背景にクーデターを起こし、軍事政権を作ったと説明した。

また、ニジェールの国際的な同盟関係にも言及し、自分の政権は国際的な協約や人権を尊重すると述べた。

一方で、反対勢力については厳しく非難し、追放された政府関係者が逃げ込んだ諸外国の大使館で、新政権に対する陰謀を企てていると糾弾(きゅうだん)した。

新政権を打倒しようとすれば流血の事態につながるとチアニ将軍側はくぎを刺しているものの、現時点では流血沙汰は避けられている。

首都ニアメーでは、市場や店舗も営業しており、生活はほぼ元通りになっている。一方で、公務員らは自宅に戻るよう指示された。

ニジェール国民は、クーデターに対して複雑な感情を抱いている。国内の治安はクーデターを正当化するほど深刻ではないと言う人もいるが、クーデターを支持する人もいる。

西アフリカと西側諸国、ロシアの関係

ニジェールの元宗主国フランスは、クーデターの指導者は誰だろうと承認せず、ニジェールの国家元首と認めるのはバズム氏のみだと述べた。

フランス外務省は声明で、「国際社会は、憲法秩序と民主的に選出された文民政権の即時復権を求めており、我々も同様に最も強い言葉でその要求を繰り返す」とした。

アフリカ連合(AU)や西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)、欧州連合(EU)、国連も、クーデターを非難している。

一方、ロシアの雇い兵組織「ワグネル」の創設者エフゲニー・プリゴジン氏はクーデターを称賛し、勝利だと述べたと伝えられている。

メッセージアプリ「テレグラム」のワグネル関連チャンネルは、プリゴジン氏が「ニジェールで起きたことは、ニジェール国民の植民地支配者との闘いにほかならない」と述べたと報じた。

BBCは、このコメントの内容を検証・確認できていない。

ワグネルは、アフリカの中央アフリカ共和国やマリに数千人の戦闘員を送り込んでいるとされている。現地での事業で利益を得ているほか、ロシアの外交的・経済的関係の強化にも一役買っているとみられる。

ワグネル戦闘員は複数のアフリカ諸国で、さまざまな人権侵害を起こしていると非難されている。

西アフリカでは近年、マリやギニア、ブルキナファソなどで軍事クーデターが相次いでいる。

今回のニジェールでのクーデターはまた、ECOWASにとっても大きな打撃だ。ちょうど2週間前には、ECOQASの議長を務めるナイジェリアのボラ・ティヌブ大統領が、西アフリカにおけるテロと新たなクーデターのパターンが、憂慮すべきレベルに達していると警告。緊急かつ協調的な行動が必要だと述べた。

西側諸国にとっては、この国の新しい指導者がどの国に協調するのかが、懸念材料になっている。ブルキナファソとマリはクーデター以来、ロシアに接近している。

ニジェールはサハラ砂漠の端に位置し、乾燥地帯が広がる。世界最貧国の1つで、1960年にフランスからの独立して以来、クーデターが4度起きている。クーデター未遂も相次いでいる。

 

BBC記事  2023.07.29より引用

 

 


米豪、ロシア・中国対処へ武器生産協力 米軍拠点を拡大

2023-07-31 03:18:09 | 安全保障、戦争・軍事・テロ・ハニトラ、マフィア、スパイ・犯罪・詐欺


記者会見する(左から)マールズ豪副首相兼国防相、ウォン豪外相、ブリンケン米国務長官、オースティン米国防長官
(29日、ブリスベン)=AAP


【ブリスベン=中村亮、今橋瑠璃華】米国がオーストラリアと武器生産協力に本腰を入れるのは、ウクライナ支援で米国の武器在庫が減っているからだ。武器の生産や性能維持を担う同盟国をアジア太平洋で増やし、中国との長期的競争に備える狙いもある。

「豪州は2国間の共同産業基盤を活用して2年間のうちにミサイル製造を始めたい」。豪州のマールズ副首相兼国防相は29日の共同記者会見で外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の成果として米国による武器生産支援をあげた。

生産協力は相互安全保障条約を結ぶ米豪が一段と防衛協力を深めることを意味する。英国を交えた3カ国の安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」を通じ、豪州は原子力潜水艦の配備も進めている。

豪政府は4月に公表した国防戦略の見直しに向けた報告書で「誘導兵器や爆発性兵器の十分な在庫を保有し、特定の品目を製造する能力を持たなければならない」と明記。国内生産能力を高める方針を鮮明にしていた。




生産協力の具体例にあげた誘導型多連装ロケットシステム「GMLRS」や155ミリ砲弾はウクライナ向けの供与で米国の在庫が減ってきた。

米戦略国際問題研究所(CSIS)は米国が155ミリ砲弾の生産量を6倍に増やしても在庫を補充するのに少なくとも5年程度を要すると分析した。GMLRSに関しても「在庫が少なくて穴埋めに長い時間を要するリスクが高い」と言及した。

米政府は2022年、GMLRSを豪州に売却すると承認した。豪州が自前で生産すれば米国はその分をウクライナに振り向けたり、米軍の在庫を穴埋めしたりしやすくなる。

米国では冷戦終結後、国防費の削減に伴って防衛企業の統廃合が進み、武器生産能力が構造的に低下してきた事情もある。

米豪は豪州で魚雷「MK48」や迎撃ミサイル「SM2」の性能維持や向上を推進するとした。潜水艦に配備する魚雷や、水上艦を攻撃から守る対空ミサイルは対中抑止の面で重要度が高い。

米国防総省高官は「ウクライナ侵攻によって膨大な量の武器が必要であるとの認識が広がり、欧州だけでなくインド太平洋でも防衛基盤の強化が進んでいる」と語った。

アジアでは韓国が武器生産の基盤整備で先行する。米国は他の同盟国を支援することで、有事でも武器の調達や性能維持を進めやすくなるとみる。豪州は中国から地理的に遠く、安全を保ちやすい利点もある。

米軍の配置でも豪州と協力してリスク分散を進める。米軍は豪州北部に位置する2つの空軍基地でインフラ更新を支援する。戦闘機や爆撃機の拠点として使う考えとみられる。

オースティン米国防長官は記者会見で「これらの取り組みは地域の危機に対処する能力を高めて(米豪の)相互運用性を強化する」と唱えた。

空軍はインド太平洋地域で多くの拠点に戦力を分散させる戦略を進めてきた。少数の基地に戦力を集中させて滑走路が攻撃を受けて使えなくなると戦力が一気に下がるリスクがあるためだ。

 

日系記事 2023.07.29より引用

 

 


ラグジュアリー、巨大企業が席巻 歴史・文化を武器に LVMH、ケリングなど

2023-07-31 01:48:18 | 高級ブランド(LVMH、エルメス、グッチ、他)、ファッション

 

6月20日夜、セーヌ川にかかるパリ最古の橋ポン・ヌフが黄金のダミエ・パターン(市松模様)に彩られた。

今年からルイ・ヴィトンのメンズ・クリエーティブ・ディレクターに米国の音楽シーンを代表するファレル・ウィリアムス氏が就任した。初舞台となったこの日のショーでは、ダミエと迷彩柄を融合した「ダモフラージュ」など伝統とポップさを融合した斬新なコレクションを披露した。

「人生の特別な瞬間を彩り夢を与える。それがラグジュアリー産業だ」。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン・ジャパン社長のノルベール・ルレ氏は、成長を続ける理由をそう説明する。

ラグジュアリー産業のガリバー企業、フランスのLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンは2023年に時価総額が一時5000億ドルを突破した。直近もトヨタ自動車の約2倍で、欧州企業では首位、先進各国でも10位前後に位置する。

同産業が台頭したのは1990年代だ。もともと家族経営的な性格が強い企業が合併し1987年にLVMHが誕生。現在も会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるベルナール・アルノー氏が89年にLVMHの経営権を握ると、M&A(合併・買収)を駆使し幅広いブランドを傘下に収めた。

同社のブランド数はクリスチャン・ディオールやフェンディ、ケンゾー、ブルガリなど75に上り、世界81カ国に進出する。ファッションや宝飾、化粧品、酒、ホテルなど幅広い。21年には米宝飾品大手ティファニーを買収した。


黄金のダミエ・パターンに彩られた会場でのフィナーレ

同じくフランスが本拠地のケリングはグッチやサンローランなどを傘下に持つ。スイスのリシュモンはカルティエやヴァンクリーフ&アーペルなど宝飾、時計に強い。コングロマリットは素材調達や製造ノウハウ、流通網などをブランド間で共有できる利点がある。

躍進の背景にはグローバル化の進展もある。もともとの顧客は欧州の上流階級だった。1970〜90年代には経済成長や円高で日本人が積極的に購入。2000年代以降はその購買層が香港や中国本土に広がった。

ラグジュアリー産業で日本の存在感は薄い。デロイトのランキングでは資生堂が世界15位と唯一トップ20圏内に入る。同社は15年以降、高価格帯の「プレステージ」ブランドに注力し、売り上げ構成比は22年に60%と16年の40%から伸びた。

大阪大のピエールイヴ・ドンゼ教授は「日本企業はものづくりは得意だが夢づくりが苦手だ」と分析する。最新の技術や数字で表現することは得意だが、ストーリーやコンセプトづくりに弱みがある。

それでも海外は日本企業に熱い視線を送る。グッチは昨年から、元禄元年(1688年)に創業した西陣織の老舗、細尾(京都市)の素材を生かしたハンドバッグの販売を始めた。

西陣織は金箔や銀箔を生地に織り込み、独特の光沢を出す唯一無二の技術がある。同社は10年にディオールの店舗の内装材へ採用されたことを契機に、各国のラグジュアリー企業と協業する。

今年2月にはミラノにショールームを開設した。「日本の工芸を世界に広めたい」と細尾真孝社長は意欲を燃やす。LVMHのグループ会社も今春、デニム製造の地場企業、クロキ(岡山県井原市)と提携した。

「日本酒のラグジュアリーブランドをつくる」と意気込むのがスタートアップClearを設立した生駒龍史社長だ。高品質の日本酒造りを全国の酒蔵に委託し、「SAKE HUNDRED」ブランドで販売する。

今年4月にロンドンで開いた「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2023」でゴールドメダルに輝くなど高い評価を受ける。

エルメスのパリ本社で副社長などを歴任した斎藤峰明氏も社外取締役を務める。「いま世界が求めているものはサスティナビリティーや健康、精神性など、日本の伝統産業が大切にしてきたものだ」と期待を込める。

日本は世界一の老舗企業大国でもある。歴史と文化を世界に売り込む伸びしろは大きい。

<Review 記者から>富裕層の象徴、問われる社会調和

「お金は富裕層から取るべきだ」。今年4月、フランスの年金改革に反対するデモ隊の一部がパリのLVMH本社に入り込んだ。高級ブランドを数多く展開することから金持ちの象徴として標的になった。

 

実際に米誌フォーブスの2023年版の世界長者番付では、米起業家のイーロン・マスク氏が首位から陥落し、LVMH会長のベルナール・アルノー氏が世界一の富豪になった。

「我々はフランスで最も人を雇う民間企業になった」「全世界で50億ユーロの法人税を納め、その半分はフランスである」。22年の年次報告書で、アルノー氏は事業報告に先んじてLVMHの社会貢献を強調した。社会的なあつれきの回避に腐心する。

欧州経済にとってラグジュアリー産業は成長のけん引役だ。例えば、ハンドバッグ類の輸出額をみると、フランスは30年間で15倍、イタリアは11倍に増えた。輸出額全体がそれぞれ3倍、4倍にとどまる中、高い付加価値を生み出している。

経済産業省の報告書はラグジュアリー産業の未来について、地域の伝統や個人の創造性とともに社会貢献的な利他性が重要だと指摘した。

利他性とは人や自然と調和した事業展開を意味する。対話を重ねて社会とのバランスをどう描くかは、ラグジュアリー産業の持続可能性を高めるために欠かせない。

(マクロ経済エディター 松尾洋平、パリ=吉田知弘)

ラグジュアリー産業

 高級な衣服や服飾小物、宝飾品、時計、香水、化粧品を手掛ける企業群。ベイン・アンド・カンパニーの市場推計は高級車や旅行、プライベートジェット、ヨットなども対象とする。大阪大のドンゼ教授は「市場セグメントが最高位であることにより定義される」とし、あらゆる産業にラグジュアリーな製品やサービスが存在すると指摘する。マーケティング手法も他の商品とは異なる。パリHECビジネススクールのカプフェレ名誉教授らがまとめた『ラグジュアリー戦略』によると「顧客の要望を取り持つな」「なかなか買えないようにしろ」「需要を増やすために価格を上げろ」といった発想による差別化が付加価値の増大につながるという。
 
 
日系記事 2023.07.30より引用
 
 
 
 

 


日本産食品の輸出に追い風 8月3日、EUが規制撤廃

2023-07-31 01:41:45 | 日本政治・外交


協議後にEUのミシェル大統領(左)、フォンデアライエン欧州委員長(右)と写真撮影をする岸田首相(7月13日、ブリュッセル)=ロイター

 

欧州連合(EU)は8月3日から、日本産食品に課している輸入規制を完全に撤廃する。加盟27カ国が福島県産の水産物などを対象に義務付けてきた放射性物質の検査証明を不要にする。輸入規制を課すのは最大55カ国・地域だったが、EUによる撤廃を経て12から7に減る見通しで、日本産食品の輸出拡大の追い風となる。日本政府は規制を続ける中国や韓国に対しても、科学的根拠に基づき規制をなくすよう働きかけを強める。

「科学と証拠、国際原子力機関(IAEA)の評価に基づいて決断した」。EUのフォンデアライエン欧州委員長は7月13日、ブリュッセルで岸田文雄首相と協議した後の共同記者会見で撤廃理由を説明した。

EUは東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、2011年3月に輸入規制を導入した。現在は福島県の一部の魚や野生のきのこ類、宮城県のタケノコなど10県でそれぞれ規制品目が定められている。その他の都道府県の産品でも規制地域外での生産を示す証明書が必要で、生産者の負担は大きい。輸出の制約となっていた。

日本側の要請を受け、EUは段階的に緩和を進めてきた。ただ欧州議会が緩和方針に反対動議を出すなどし、完全撤廃には時間がかかっていた。

撤廃は加盟27カ国の投票で決める。執行機関の欧州委員会と、フランス、ドイツなど各国政府の賛同が必要だった。日本の関係省庁や大使館が手分けして説得した。

岸田首相自らも動いた。マクロン仏大統領やフォンデアライエン氏との協議の際に撤廃の必要性を強く訴えた。マクロン氏は前向きに対応する意向を示し、フランスの支持につながった。当初は慎重姿勢を示していたドイツも最終的には賛成に転じた。

22年のEUへの農林水産物・食品輸出額は680億円と、世界ではベトナムに次ぎ6番目に多い輸出先だ。近年は日本のホタテなどの人気が高い。ホタテはEU規制から除外されていたが、今回の撤廃でイワシやサケ、マスなどが輸出しやすくなる。円安・ユーロ高基調を背景に販路開拓をめざす。

米国は21年、規制を撤廃した。EUに合わせ、連動した規制制度を持つノルウェーやスイスも8月中に撤廃の方針で調整している。

残るアジアの国・地域との交渉が今後の課題となる。中国、香港、台湾、韓国などが禁輸措置を続ける。今夏に予定する多核種除去設備(ALPS)処理水の海洋放出に反発し、中国や香港が規制の強化を打ち出している。

中国は7月から日本からの輸入水産物への放射性物質の検査を強化しており、日本からの鮮魚などが税関で留め置かれる事例が発生した。

香港政府は7月12日、処理水が海洋放出されれば福島、宮城など計10都県からの水産物の輸入を禁止すると表明した。対象地域は中国が輸入を禁止してきた範囲と重なる。香港は段階的に緩和してきたが、中国の強硬姿勢に歩調を合わせたかたちだ。

韓国は福島、宮城を含む8県からの水産物などの全面的な輸入禁止を続けている。韓国国内では処理水の海洋放出の安全性を疑問視する声も残るなか、一部では態度の軟化もみられる。

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は岸田首相との会談で、IAEAが「処理水の放出計画は安全基準に合致する」と結論づけた報告書を尊重すると述べた。現在の規制は維持の方向だが、中国が規制を強めるのと対照的な動きだ。

日本はEUの判断を説得材料とし、中国や韓国に早期の規制撤廃を求めていく。

(ブリュッセル=辻隆史、西野杏菜)

 

日系記事 2023.07.30より引用