前日計量ではタイソン㊧が対戦相手のポール㊨に平手打ちした(14日、テキサス州)=ロイター
【シリコンバレー=中藤玲】
米動画配信大手ネットフリックスは15日(日本時間16日)、往年のヘビー級王者マイク・タイソンとジェイク・ポールという異色の対決を世界で配信した。
58歳のタイソンの本格的な公式戦は19年ぶり。ネットフリックスはスポーツの生中継に注力し、会員の裾野を増やす狙いだ。
テキサス州にある収容人数8万人のAT&Tスタジアムが会場となった。通常の公式戦より短い2分間8ラウンドで行われ、タイソンは判定で敗れた。
対戦相手のポールはもともとお騒がせユーチューバーで、インスタグラムでも2700万人以上のフォロワーがいる。
試合は7月に予定されていたが、タイソンの潰瘍が再発して延期になっていた。11月14日の前日計量では、挑発的なポーズをとったポールに対してタイソンが平手打ちを食らわせる一幕もあった。
ネットフリックスは映画とドラマに続く最後にして最大の市場として、スポーツ配信に力を入れ始めている。これまでは生中継に慎重だったが、遅延のない配信技術が整ったことで実現する。
12月のクリスマスには米国の4大スポーツのひとつ、プロフットボールNFLの試合を配信する。
世界最大のプロレス団体ワールド・レスリング・エンターテインメント(WWE)とも契約し、2025年からは主力番組を北米などで流す。選手のドキュメンタリーなども制作している。
固定ファンの多いスポーツは広告を得やすく、他の動画配信サービスも相次ぎ参入してきた。
米アマゾン・ドット・コムはNFLと契約し、米アップルは米プロサッカーリーグMLSを配信してインテル・マイアミのメッシ人気を会員増につなげた。
テレビは国や地域で放映権が異なるが、動画配信サービスは世界で一斉に流せることが多く、主催者にとっても認知度を高めやすい利点がある。
一方で大型試合の配信権にかかる費用は高騰しており、獲得競争が各社の負担にもなっている。
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日経記事2024.11.16より引用