中国が、半導体と光による信号伝送を一体化する「光電融合(シリコンフォトニクス)」の研究開発を加速させている。
同分野の国別特許出願数では2022年以降、世界一に躍り出た。
米国による対中国半導体規制で先端半導体の開発にてこずる中、ゲームチェンジャーとなる技術で逆転を狙う考えだ。
中国企業での事業化が広がれば、日本にとっても手ごわい相手になりそうだ。
データセンターの消費電力を大幅削減
光電融合において、各社がしのぎを削るのが、ICチップやその周辺でのデータ伝送を、電気でなく光に担わせる技術の開発だ。
光によるデータ伝送は高速で、銅線による電気伝送のような損失が少ないという利点がある。電力需要が急増するAI(人工知能)データセンター向けの半導体で活用できれば、消費電力の大幅な削減につなげられる。
「光電融合は、半導体産業を根底から覆し、米中の技術競争における戦線を再定義する可能性を秘めている。
米国は現在この競争に勝ってはいない」――。米国連邦下院議会で中国特別委員会委員長を務めるジョン・モーレナール氏らは24年10月、米国商務長官のジーナ・レモンド氏に送った書簡の中でこう警告した。
中国では実際に、各省での助成金が後押しし、光電融合の研究開発が加速している。
光電融合分野の国別特許出願数では、米国が長年独走していた。変化が訪れたのは17年ごろ。
Patentfield(パテントフィールド、京都市)の特許解析ツールによる日経クロステックの分析では、中国がその頃から出願数を急増させた。
21年に米国に肉薄し、23年には米国の2倍以上となる約800件(25年1月時点、以下同)の出願をしている。
光電融合分野の国別特許出願数。2023年時点では、中国、米国、日本、台湾の順番で多かった。
特許出願内容の一般公開は基本的に1年半経過した後であるため、25年1月時点では23年や24年の数は比較的少ない
(出所:Patentfieldの特許解析ツールを用いて日経クロステックが作成)
出願人は研究機関がほとんど
中国の特許出願人の傾向は、他国と比べても特徴的である。その多くを企業ではなく、大学などの研究機関が占めるのだ。
世界における、光電融合分野の特許出願状況と比べるとその違いが際立つ。20〜24年の5年間における特許出願数では、台湾積体電路製造(TSMC)が首位で、米グローバルファウンドリーズ、NTT、米インテルと続く。NTTを除くと、いずれも半導体製造企業である。
20〜24年の5年間における、光電融合分野の特許出願数。権利者・出願人順で並べ、上位5者を抜粋した。
日本企業ではNTTが目立つ(出所:Patentfieldを用いて日経クロステックが作成)
中国に絞って同じように同分野の特許出願人を見てみると企業はほぼ登場しない。
同5年間では、浙江大学が84件と首位で、上位には吉林大学や上海交通大学、中国科学院系研究所、之江実験室などが並ぶ。之江実験室は17年に新設された官民参画型の研究機関で、浙江大学などが支援する。
特許出願人上位のほとんどが国立の研究機関で、中国企業は華為技術(ファーウェイ)ぐらいのものだ。
20〜24年の5年間における、中国の光電融合分野での特許出願数。出願人順で並べ、上位5者を抜粋した。ほとんどが国立の研究機関。中国内で特許出願したTSMCやグローバルファウンドリーズも上位に入っている
(出所:Patentfieldを用いて日経クロステックが作成)
研究機関発で事業化へ
中国の研究は、ここに来て、要素技術から産業応用へのシフトも加速している。中国無錫市浜湖区人民政府の24年9月の発表によれば、上海交通大学内で中国初となる光電融合の試作(パイロット)ラインが稼働開始した。
半導体と光学部品を同一基板上に実装する「コ・パッケージド・オプティクス(CPO)」を手がけると見られる。
同発表によると、クリーンルームの広さは約6000平方メートル。将来的に150/200ミリメートルウエハーの光電融合チップを年間1万枚量産する計画だ。
陝西省は、光電子分野で1000億元(約2.2兆円)規模の産業クラスターの形成を目指す。同省では、光電融合分野の研究開発施設を建設中で、24年内に竣工する計画を示していた。130ナノメートルプロセスの光電融合技術を開発し、事業化までを手がける予定だ。
光電融合チップの研究開発も成果を出し始めた。
中国の半導体研究開発機関である湖北九峰山実験室は24年9月、ヘテロジニアスインテグレーション(異種チップ集積)を使ってシリコンチップの内部にレーザー光源を組み込むことに成功した。
CPOや、光学部品とCPU(中央演算処理装置)やGPU(画像処理半導体)などのプロセッサーを同一パッケージにチップレット集積する「光I/O」のような光電融合技術に相当するものだ。
現時点においては、光電融合の産業応用では、中国の世界での存在感は薄い。CPOの開発では、TSMCやインテル、米IBM、米ブロードコム、NTTなどが先陣を切る。
光I/Oは、米スタートアップのアヤールラブズで開発済みだ。ただし、中国には巨大クラウドサービスを手がける百度(バイドゥ)やアリババ集団がある。
研究開発の成果が量産につながれば、バイドゥやアリババ集団のAIデータセンターで世界に先駆けて実装が広がる可能性はある。
米IBMが24年12月に発表したCPOの開発品。AIデータセンターの消費電力を従来比8割減らせるとしている
(写真:日経クロステック)
光電融合分野で特許出願数が目立つ日本企業はNTTや京セラだ。NTTはCPOや光I/Oに相当する技術を32年に商用化する目標を掲げる。
政府の半導体戦略でも30年以降に光電融合への支援を加速させ、同分野の主導権を握る姿勢を示す。中国の猛追をいかに抑え、早期に光電融合市場を獲得できるか。日本政府と日本企業の素早い動きが求められる。
(日経クロステック/AI・データラボ 久保田龍之介)
[日経クロステック 2025年1月8日付の記事を再構成]
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日経記事2025.1.22より引用
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まだ分かっていない阿呆がいるようだ。
文化人放送局、ダイレクト出版、Wll、CGS そして Haranoタイムズ、カナダ人ニュースなど。
よほど頭が悪いのだろう。 ミジンコ脳。 可哀想に。 馬鹿につける薬なし!
死ななきゃ直らない!