好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

人生という名の物語。

2016-06-13 | 物語全般
『48億の妄想』(by筒井康隆)、読了。

恥ずかしながら初読である。
因みに1976年の作。

近未来。
国中に張り巡らされた中継カメラにより、政治も司法も戦争までも、
テレビで演じられるショーとなった、国民総タレント社会。
人々は常に、誰かに見られて誰かに見せたい欲望に突き動かされ、
何もかも演技じみた考え方や振る舞いになっていた。
そんな世で、カンペキに仕事をこなしていたテレビマンの折口は、
テレビに反して生きている人物と関わった事で、
人としての正しい姿について考えていく……。

率直に申し上げて、恐れ入りましたという感想以外、言葉が出ない。
筒井氏は、こんな深いテーマを、けれど得意のドタバタ調で、
昭和の時代に、しかもデビュー作に書いたのだから。
ユーチューバーが子供の憧れる職業になってる今の平成21世紀を
まさしく予見していたわけだ。

つまるところ筒井氏はデビュー当時から一貫して、
「現実そのままを虚構で描くという矛盾」に挑み続けていると言える。
この律動が後の「虚構内現実における虚構内虚構」という
メタ作品群へとつながっていくのかもしれない。

それでは。また次回。

※読んでる間、脳内で巡ってた曲 
「物語は続いていく」
https://www.youtube.com/watch?v=Ia1Fh0xCqjM

この記事についてブログを書く
« ライトノベルの開闢(はじまり... | トップ | ジャンプ(28号)私的雑感。 »

物語全般」カテゴリの最新記事