サディアス・”サンダーボルト”・ロスが大統領に就任し、
太平洋上に現れたセレスティアルズ島と、
そこから出土するアダマンチウムの平和利用のための条約締結、
そしてアベンジャーズの再結集を目論む。
かつてハルクを追いつめ、ソコヴィア条約でヒーローたちを引き裂いた男の変節に
戸惑いを感じつつもホワイトハウスへと招かれた
サム・ウィルソン=キャプテン・アメリカの前で、
サムにとっても恩人である、歴史から消されたもう一人のキャプテン、イザイアが
大統領銃撃という凶行に及ぶ。
事件の背後で蠢くのは何者か。
盾を受け継いだ翼のヒーローが、陰謀と戦乱の空を翔ぶ。
このところのMCUだけでなくアメコミ映画には、
どうしても「マルチバース」というギミックがついてくるが故に
作品によってはシリーズ外の、なんなら「作られなかった」作品の知識すら
必要になる場合があったりもしていました。
(「ザ・フラッシュ」のニコラス・ケイジスーパーマンとかね)
もちろんそれだけでなく飽きという側面も大きいのでしょうけど
MCUもかつてほどの勢いや求心力を失っている部分はあると思います。
…カーンやネイモアといった今後の軸になるはずだったキャラの
役者の不祥事による退場、というのも大きいファクターですね。
そんな中での2025年最初の今作。
MCUの中で最もアベレージが高いシリーズだと思っている
キャプテン・アメリカの代替わり後のシリーズ1作目。
ドラマ「ファルコン&ウインターソルジャー」を受けての作品、であるものの
ドラマを見ておいたほうがいい要素としてはイザイアの存在くらいで
(映画中でもどういうキャラなのかの説明はちゃんとされます)
今作で描かれる要素として挙げられるのは
MCU2作目でありながらもさまざまな理由からこれまで掘り下げられてこなかった
「インクレディブル・ハルク」のその後、であり
「エターナルズ」「ブラック・ウィドウ」によって新たなフェーズに入った
MCU世界、神聖時間軸、アース616の「現在」です。
(アース番号、以前は19999だったと思うんですが…)
現実のアメリカ大統領が「こう」なっている現在に、
同じく問題が多い人物が大統領になり…という
現実社会へのまなざしもありながらも
これまでに起こってきた多くの事件の結果、が
このMCU世界をこうしているのだな、ということを改めて実感できること、
これこそがそもそものMCUの、引いてはユニバース制の楽しさではなかったか、と。
日本人としては作中の日本の描かれ方に違和感を感じてしまう
(間違いなく初期案では別の国を想定して描かれていたと思うし、
いや、MCU世界ではこうなんだ、といい張ることも可能なラインではあるけれど)
そんな一面もご愛敬ですし、人によっては刺さらない部分も多そうではありますが
僕にとっては「久々に王道のMCUを浴びれた!」という満足感がまず先に来ました。