Rimshot!!!!

映画観たり、アメコミ読んだり、占いしたり。

テオ・ヤンセン展

2014-10-11 | アート
始まりは、新聞に書いたコラムから。
「オランダの沈没を自動的に防いでくれる生き物が砂浜にいればいいのに」
コラムニストであり、物理学者であり、芸術家であった
テオ・ヤンセンはこの記事を書いてから、
「言い出したからには自分でそれを作らなくては」と思い立ちました。

始めは、「生命の進化」のシミュレートの為の電子生命体から。
4つの体節とトゲを持つ生命体は、世代を重ねるごとに
突然変異からより生存しやすい形態へと進化し、
それが生殖によって受け継がれていく・・・
その結果をもとに、次の実験へと移行します。

風の力で、実際に砂浜を歩く「生命」を創造する。
非常に安く、その辺に捨てられていることも多かった
配管用のプラスチックチューブと、粘着テープで形作られた
砂丘の生命体=「Strandbeest」の誕生でした。

チューブと粘着テープで作られた最初のビーストは、
テープの強度不足から身体を支えることができませんでした。
その反省を活かし、結束バンドでの接合での剛性の向上と
歩くのに的確な脚の形状を導き出す計算の末に作られ
ようやく立って歩くことができるように。

ヒートガンによるプラスチックチューブ自体の成型の変化や
ロッドの長さを「遺伝情報」とした、より高速に歩ける「進化」を行ったり、
そしてプラスチックでなく木材に浮気した時代、
風でなくペットボトルに溜めた圧縮空気で動けるようにし、
さらに地面の硬さや歩数などを感知する機能がつけられ・・・

BMWのTVCMなどで世界的に知られる
風の力でがしょんがしょんと動くメカニカルな作品でおなじみ、
テオ・ヤンセンのストランドビーストたち。
長崎とオランダの交流400年を記念し、長崎県美術館にその生命体たちが
いくつかはデモ稼働もできる状態(1時間に1回、どれかを動かすとのこと)で集まっております。

さまざまな形態を獲得し、進化していく作品は
止まっている姿はプラスチックチューブとペットボトルの塊、ではあるのですが
風の力で歩き出したとたんに「生命」となって、説得力をもった姿となります。
その大きさと実際に動いている姿を、ぜひ実際に目にしていただきたいと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする