Rimshot!!!!

映画観たり、アメコミ読んだり、占いしたり。

くまのプーさん展

2016-03-24 | アート
1926年、寝る前の息子に語り聞かせた、熊のぬいぐるみを主人公にした話を元に
詩と物語が生まれました。
そのタイトルは「くまのプーさん」。
イギリスの戯曲作家、A.A.ミルンがその息子、クリストファー・ロビンに向けて書いた
熊と子豚、ヤギ、トラ、カンガルーのぬいぐるみたちを
想像の100エーカーの森の中で自由に遊ばせた作品です。

時は流れて。その本をつねに娘たちから「読んで」とせがまれる父親がいました。
その名は、ウォルト・ディズニー。
娘が本に夢中になっていることから、この作品をアニメ映画化したい!と
「白雪姫」制作終了くらいの段階から動き始めることになります。

権利獲得のために多大な労力と膨大な時間を費やし、61年に映画化権を獲得。
その後5年の歳月をかけて制作された中篇アニメーション「プーさんとはちみつ」から
ディズニー版「プーさん」の歴史が始まるのです。

というわけで、長崎県美術館県民ギャラリーで開催中(4/17まで)の「くまのプーさん展」見てきました。
展示の序盤は原作について、ということで、実際にミルン家にあったモデルのぬいぐるみたち
(ルーだけは現在行方不明ということです・・・)や
原作初版本、邦訳本(太平洋戦争直前(日中戦争さなか)の1940年に1冊目、しかも戦時中に続巻出てる・・・)
などの展示も行われております。

そして奥に進むととたんにカラフルなアニメ版の世界へ。
スタッフの紹介にセル画・コンセプトアート・原画などの展示、
さらに奥に進めば昔のグッズや世界各国の絵本などの展示もあり
「ディズニー化」によっていかにこの作品の世界が広がったか、という側面を実感できます。

「プーさんとはちみつ」でイギリス人のクリストファー・ロビン役に
アメリカ人声優を起用したことで非難を集めたり(後にイギリス人声優に変更)、
作品のテンポが原作とアニメで違う、原作の作中曲を無視して独自の音楽をつけた、という不満が出たり、
権利に関する裁判がわりと最近でも発生するなど
「ディズニー化」の功罪両方を実感できる作品でもありますが
良質な原作をよりポップにすることで楽しい作品にした、という側面は評価されてもいいんじゃないかな、と
展覧会を見た感想としては思いました。
2011年のセルアニメ劇場新作はかなり苦戦したらしいですが・・・

展示の最後を締めくくるのは、日本人アーティストによるプーさん作品の展示。
何点かは発想の自由さに驚かされる作品もございました。

そして広大な物販コーナー狭しとならぶ原作絵・アニメ絵グッズ。
黒づくめなプーさん体型の中年が見て周るにはちとためらいがある(それ言うなら展示もな)
そんな空間でございましたが、楽しい展示でございました。

次は現在東京で開催中の「ピクサー展」が早くも7月に巡回してくる!(全国2番目!)ということですが
その前に4/2からは企画展示室で長崎では25年ぶりになる「ミュシャ展」、
さらに10月には古代ギリシャ展、年末年始はデンマークデザイン展とこれからもいろんな企画展が続く
長崎県美術館、ぜひ観光ついでに皆様も足をお運びください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

DCコミックス アンソロジー

2016-03-24 | 漫画
いよいよ明日公開となった「バットマンvsスーパーマン」。
寝坊さえしなければ初日初回を見に行く予定でございます。
DCエクステンデットユニバース(DCEU)第2作(1作目は「マン・オブ・スティール」)となる今作にあわせ、
DCユニバースの中でも重要なポイントとなった話を集めたアンソロジーが発売されました。
それがこの1冊です。

前巻である「バットマン アンソロジー」と同じくフランスで刊行されたアンソロジーを
解説付きで邦訳するという作品となっているわけですが、
ゴールデンエイジ、シルバーエイジ、ブロンズエイジ(所謂「クライシス」前)、
モダンエイジ(「クライシス」後~「フラッシュポイント」まで)、ルネサンス(NEW52)と
5つの時代区分に合わせ、様々なヒーローのオリジンや重要話を収録しているそんな1冊でございます。

まずゴールデンエイジはスーパーマン、バットマン、ワンダーウーマンの誕生秘話に
スーパーマン&バットマンの「宿敵同士」の初タッグ回を収録。
スーパーマンのオリジンは2ページのみ、
バットマンは以前に「エバートールド」で邦訳された話ですが
黎明期ならではの空気感が楽しめる作品となっています。

続くシルバーエイジは「平行世界」が形成された新旧フラッシュ共演作、
初代ジャスティス・リーグ結成秘話、
新旧グリーンランタンの共演とともに宇宙の平和を守るガーディアンの誕生秘話が語られる3作を収録。
ユニバースや平行世界といった現代のアメコミの概念がこの頃に固まっていったことがわかります。

ブロンズエイジはバットマンに同格のライバルであるラーズ・アル・グールが登場した回
(「テイルズ・オブ・デーモン」に収録されているものと同じ)、
実験的手法でスーパーマンの子孫たちの未来を描くスーパーマン400号記念収録作、
そしてアラン・ムーアによる先代グリーンランタン、アビン・サーの死を描いた作品の3本。
だんだんと複雑さと陰鬱さがストーリーに増してきていることを伺えるように思います。

平行世界の一斉処分、「クライシス・オン・インフィニット・アース」を経たモダンエイジは
ジョン・バーンによるスーパーマンとワンダーウーマンの関係を描いた作品、
グラント・モリソンとマーク・ミラーという二人のライター共作で書かれた新生JLA誕生を描いた事件、
今作表紙も描いているアレックス・ロスの白黒で描かれたジョーカー誕生の物語
(「バットマン:ブラックアンドホワイト」収録と同じ)
グリーンランタン最凶の敵といわれるシネストロの過去を描いた一編、
そしてワンダーウーマンの一区切り、となる1作。

「フラッシュポイント」による世界の再生を経て、
ジャスティス・リーグの再スタート(「ジャスティス・リーグ:誕生」収録)で締めくくられる今作。
思っていたよりはあっさりとした1冊、という印象ですが、
ここをとっかかりにいろんなタイトルに興味を持っていってね!という
入り口としての1冊、というポジションなのかなぁ、と思いました。

そしてこの1冊でDCユニバースの広い世界を知った上で映画を見るもよし、
映画を見てから読む・・・には「DCキャラクターズ:オリジン」のほうがいいのかもw
アメコミの歴史と世界の楽しさの一端を味わうのにおすすめの1冊です。


DCコミックス アンソロジー
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする