リメンバー・ミー

ミュージシャンだった夫は音楽を広めるために家を出て、
残された妻は靴作りで生計をたてた。
妻から娘へ、そしてその夫へ・・・と靴作りは受け継がれ、
一族は靴職人として身を立てた。
音楽を憎み、排除する家系、として。

そして時は流れ、音楽嫌いの家庭に生まれながらも
類まれな音楽の才能を持ち、ミュージシャンになりたい、と願う少年、ミゲル。
『死者の日』の夜、伝説的な有名ミュージシャンのギターを手にした瞬間、
彼は呪われ、生きながら死者の世界に送られた。
タイムリミットは夜明けまで。
はたしてミゲルは生者の世界へと戻ることはできるのか？


ディズニー／ピクサー最新作はメキシコの「死者の日」とマリアッチを題材にした、
色彩と音楽に満ちた死者の世界での冒険であり、
アカデミー長編アニメ賞と主題歌賞も獲得している作品でもあります。
そのキーワードは「家族」と「記憶」。

家族の中の異分子であるミゲルが先祖、そして憧れの存在と出会う物語であり
祭壇に祀られない限りは死者は「死者の日」に現世に訪れることができず、
現世から死者が忘れられることで「二度目の死」を迎える、という死者たちのルールが
この物語を引っ張るエンジン、となっています。
そしてわりと生臭い展開にもなっていったり・・・。

フリーダ・カーロやエル・サントといったメキシコの実在の有名（故）人も登場し
実際にメキシコ文化について多くのリサーチを行って作られた今作。
『多様な文化の共生』という昨今の流行にも沿った一作、とも言えそうです。

・・・始めは「原題『COCO』なのになんで『リメンバー・ミー』なんだよ」、と
思ったりもしておりましたが、見終わってみたら『リメンバー・ミー』で納得しました。


同時上映（20分ある！）の「アナと雪の女王」短編も
「クリスマス」と「家族の伝統」をテーマ・・・
つまりこちらも「家族」と「記憶」の物語でもありました。
あと猫かわいい。

・・・この2作、どちらもミュージシャンが声優出演しております。
アナ雪のピエール瀧もですが、リメンバー・ミーにも
シシド・カフカが出ていたりもしております。
そしてもう一人、東京スカパラダイスオーケストラ／FISHMANSの茂木欣一も。
・・・公開前日はFISHMANSの佐藤伸治の命日（今年で19年）だったこともあり
なんだか不思議なめぐり合わせ、を感じたりもいたしました。


リメンバー・ミー