コロナ禍の中、自館のコレクションで乗り切る企画展第2弾の
長崎県美術館「長崎 美術 往来!」に行ってきました。
その存在の特異性(多くの洋館や中華街、港など)によって
多くの画家に描かれ、また多くの画家を輩出してきた長崎。
その長崎ゆかりの作品を集め、
「ロマン」「まつり」「いのり」「ゆめ」「くらしと風土」の
5つのテーマでまとめ上げたのが今回の企画展です。
もちろん多くの作品は今までの常設展/企画展で見たことがあるもので
そういう意味での新鮮味はないのですが、
「長崎」というこの土地のもつ魅力、をどの側面から
どういった手法を用いて表現するのか?や
長崎を離れた長崎出身の画家たちの根底に流れる
「長崎らしさ」とは?ということについて考えながら見るのも
ひとつの楽しい経験だったように思えます。
常設展では今年亡くなった長崎出身の画家、菊畑茂久馬のキャリアの中で
「沈黙の時代」と呼ばれ、美術界の中心から距離を置いていた時期の
オブジェ作品を中心とした特集展示が行われており、
巨大なカンヴァスに絵具を盛るような技法で描かれたのちの作品へと至るまでの
立体物とその撮影した写真をもとにした版画作品が多数展示されています。
こちらも撮影しそれを加工した作品を作ることで、
オブジェの解釈をどう変化させるのか?ということを考える展示といえそうです。
年内、というか来年の正月まで企画展・常設展ともに現状の展示を続ける
長崎県美術館ですが、この機会にその所蔵品にもっと目を向ける方が
増えてくれるといいなぁ、とは思います。
派手な企画展も早く見たいけどね。