先天性の血液の病で、一日に何度も輸血を受けないと死んでしまう男は
自分自身、そして同じ病気の親友を救うために
倫理を越えた治療法の実験を行う。
それは、血だけを食料とする哺乳類…吸血コウモリのDNAと人間のDNAの融合。
ノーベル賞を拒否した天才、マイケル・モービウスが生み出し、自らで実験したこの治療法は
彼の体をついに健康にすることができた。
…彼の体が「血」を欲するようになり、血を飲むことで超人的な力を発揮する、という副作用とともに。
時にヒーロー、時にヴィランとしてスパイダーマンやブレイドの前に現れる
陽の光の元でも歩ける、善悪の彼岸に立つ吸血鬼・モービウスが
「ヴェノム」2作に続くSSU(ソニー・スパイダーマン・ユニバース)の3作目として
コロナ禍も含めた幾度の公開延期を乗り越え、ついに公開されました。
(「ガンビット」とかみたいに企画流れるのかと思ってたよ…)
吸血鬼らしいゴスな外見を活かしこの役を演じたのは、
「スーサイド・スクワッド(旧)」ではワーナー上層部判断によるカットで
その見せ場を大きく奪われたジョーカーを演じたジャレッド・レト。
生死の境から健康体、そして吸血鬼と変化し続ける姿をよく演じてくれております。
ソニーがスパイダーマン映画の権利を持ち続け、
MCUとは(トム・ホランドスパイダーマン以外では)別ユニバースという形で展開していくのが
SSUとなっているわけですが、(今作の特別出演枠を含め)現在は
「スパイダーマンのヴィランとして登場したキャラ」を中心に映画化しており
今後の予定も「クレイブン・ザ・ハンター」の名前が挙がっていたりもいたします。
ということは…とこれからの展開も浮かびますが
今作が思ったほどのヒットとはなっていない…という話もあったりいたします。
というのも、「ヴェノム」2作もそうでしたが
MCU以降のアメコミ映画としては物足りない…
2000年代のアメコミ映画的なストーリー規模、としてつくられている作品であり
(例としては「ブレイド」とか「ゴーストライダー」とかね)
見てつまらなくはないけれど大作という感じはしない、という感想に
どうしてもなってしまう部分はございます。
それゆえの手軽さ、と考えればおすすめポイントにもなりえるわけですが。
「ザ・バットマン」と「ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス」の間の
箸休め的な一本として、肩の力を抜いてポップコーン片手に見てほしい一作です。
(肩の力を入れて観るのは「ムーンナイト」に任せて、ね)