BLOG in Atelier.Minami

ゲーム攻略、読書感想文など。

読書感想文【一応の推定】

2006年11月12日 02時28分35秒 | 読書感想文
第13回松本清張賞受賞作。この賞はかつて横山秀夫も「影の季節」で受賞していた。後半は一気に読んでしまった。

『一応の推定』
作者:広川純

一応の推定

ストーリー:
”一応の推定”理論とは、自殺の認定について、はっきりとした自殺であるという証拠がなくとも、様々な状況から自殺であろう、という根拠が明白ならば、自殺として認定できる、という理論である。

長谷川保険調査事務所に勤める村越は定年退職を間近に控えた1月4日、調査を命じられる。調査する事件は昨年12月24日に起きたJR東海道線膳所駅ホームで発生した人身事故。死んだのは原田勇治という60歳の男性で、ホームから飛び降りたところを通過した電車に撥ねられたというものだった。
依頼元のグローバル損保の主査・竹内と調査に乗り出した村越は、原田の遺族から、孫娘の臓器移植の費用のために5千万が必要であり、一刻も早く原田の保険金3千万をほしいといわれる。自殺と決め付ける竹内と、あくまで客観的に事件を見ようとする原田は、次に膳所駅に行き、助役から、事故を目撃した人物がいるかもしれないという情報を得た。が、その人物の手がかりがない。
原田の資産などを調査するうちに、実は原田が昨年6月に破産し、銀行の抵当に入れていた家を失ったことや、事故の4日前に予約を入れた旅館を事故の前日にキャンセルしていたことを知る。
次に、膳所駅の目撃者が宮大工の家永という人物だと知り、家永の行方を追うが、家永も同じく破産して抵当に入れていた家を失っていた。
果たして原田は本当に自殺だったのか、家永という人物は本当に事件を目撃していたのか。そして2人に共通する境遇は何を意味しているのか・・・。


感想:
次から次へと証人が現れ、事件を追っていく様は結構面白いのだが、家永がすらすらと証言するところはなんか不自然な感じがした。お約束で最後の最後にどんでん返しがあったのだが、それの伏線は見事だった。
てっきり家永が電車で撥ねられていた身代わり殺人かと思ったのだがそうではなかったなぁ。