【読書感想文】有限と微小のパン

Ｓ＆Ｍシリーズラスト。やはり犀川は天才。



『有限と微小のパン』
作者：森博嗣

ストーリー：
日本最大のソフト会社・ナノクラフトの若き社長・塙理生哉は10年前に親同士の話で萌絵の許婚になっていた人物である。その話自体は萌絵の両親の事故死により自然消滅し、萌絵は会ったこともない塙に興味を抱くことはなかった。
その塙の招待で、ナノクラフトが長崎に建設したテーマパーク・ユーロパークへ、牧野洋子、反町愛と遊びに行く。3日後には犀川研のゼミ合宿もそこで行われることになっていた。
長崎の空港で、萌絵はかつて真賀田研究所に勤めていた島田文子に偶然再会し、文子が真賀田研究所を辞めた後、ナノクラフトに勤務していたが突然首になったことと、数ヶ月前にユーロパーク内で起きた死体消失事件の話を聞く。
ユーロパーク初日の夜、萌絵たちはパーク内の教会で死体を発見した。死んでいるのは洋子と愛が知り合ったナノクラフトの社員・松本だった。そして教会から出て警察に電話した後、今度は教会内にあった松本の死体が消失していた。
東京に出張していた犀川は妹の世津子から、ナノクラフトが発売したＲＰＧ・クライテリオンの話を偶然聞いた。そして帰りの新幹線の中で犀川に真賀田四季から電話がかかってくる。萌絵たちが非常事態にあることを察した犀川は急いで長崎へ行く。
松本の死体消失事件の翌日。事件の目撃者であった社長秘書の新庄久美子が密室状態の部屋でわずか5分の間に殺された。犯人の部屋からの逃走経路は皆無。
ユーロパークに到着した犀川は、真賀田四季に居所がわからないよう偽装しながら事件の調査を進めていく・・・


感想：
シリーズ最終作にふさわしい壮大なトリックと、圧倒的なボリューム。今回は真賀田四季が裏からすべてを操って犀川と萌絵を壮大な罠に仕掛けていくのだが、やはり犀川はすごい。途中ですべてを見破ってしまった。
途中途中で細かな謎解きもあり、ホテルの部屋にあった謎のメモ、クライテリオンのエンディングの謎、教会のエレベーター消失の謎、密室殺人の謎など色々起きる。
萌絵は今回も災難の連続で、何度もパニックに陥る。犀川へのラブラブぶりは全開で、犀川が用事がないのに萌絵に電話をしてきた、というだけで目頭が熱くなったりしてる。
国枝助手も途中からユーロパークに来るのだが珍獣ぶりは健在。目の前で教え子が死体を発見したにも関わらずジョギングをしたりしてる。結局彼女については数多くの謎が残ったままになった。そういえば犀川と萌絵の関係も結局たいして進展がないまま終わってしまった。婚姻届とかどうなったんだろう。

最後の最後であっと驚く展開。