少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

諸葛亮

2024-02-23 20:51:48 | 読書ブログ
諸葛亮(宮城谷昌光/日本経済新聞社)

上下2巻。6週前に『公孫龍』を紹介したばかりだが、宮城谷氏はここ数年、早いペースで新作を上梓している。70歳代も後半になって、驚異的だ。

さて、この人には特定の王や名臣に焦点を当ててその生涯を語る作品が多いが、満を持して諸葛亮を取り上げた、という感じだ。

そして、この人の特徴として、さまざまな史料からその人物像を彫り出し、時に地の文章に作者が顔を出したりしながら、淡々とその生涯をたどっていく。だから、12巻にわたる『三国志』を書いた後も、なお諸葛亮を描く意義があるのだろう。三国志に詳しい人にも、「三顧の礼」以前の青年時代は印象に残るはずだ。

また、「実像に近いところで小説を展開することを好む」一方で、歴史上、わからないところも、一定の解釈のもとで物語を展開することになる。そのあたりの事情が「あとがき」に簡潔に記されているが、作者の新たな発見がどの箇所かは、類書をあまり読んでいない私には分からなかった。

いずれにしても、簡潔で読みやすく、作者あるいは主人公が人物や事物を評価する視点が、しっかりと定まって動揺がないのが気持ちいい。

画像は「イラストAC」から





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