「あ~ん、 これ食べるのすっかり忘れてた」
と、冷蔵庫の野菜室奥にクタ~っとなった野菜を見つけてひと言。
「ナンだこの番組。っっったく、相変わらずバカばっかりだわ」
と、テレビを見てひと言。
「う~ん、やっぱ図々しいおばさんにはハッキリ言うべきだったかな」
と、バスを待っていた時のことを思い出して、
後からきたおばさんに割りこまれたことを思い出しひと言。
誰に言うわけでもない、誰に聞かせるでもない、
家にひとりでいるとき、自分に向けて喋るM。
ボソボソ、ブツブツ口の中で言うわけじゃなく、はっきり声に出して言う。
これもまたひとり言なんだろうけど、ちょっとしたストレス発散。
要するに、意識した独言。
というか、意識しないひとり言がコワい気がスル。
「え? 今何か言った?」
と、言われることはまだないけど、
何かを思い出して意識がそっちに飛んでいる時、言いそうになる時がある。
例えば……、というか、
今は母のことで頭がいっぱいになっていて、
次に行った時、姉に会ったらどんな態度をとったらいいのかな……なんて考えて、
いつの間にかシミュレーションしている自分がいる。
白昼夢を見ているカンジ。
姉の言いそうな言葉が分かるので、絶対に挑発に乗らないように、
頭の中でセリフを考えると、つい口から出そうになる。
……なんだか、バカになった気分。
そういえば!
10年くらい前に、地下鉄の電車を待ってた時、
大きな声でひとり言を言っている中年のオバサンがいたっけ。
その内容がまたすごかった。
誰かと争っているように、口汚く激しく相手を罵っていた。
その相手は……?
誰もいない。
電車を待つ人達は、みんなオバサンを遠巻きに見ている。
同じ車両に乗らなかったからわからないけど、
電車に乗ってもあの調子で怒鳴っていたのかな?
それとも声のトーンだけは落して、続きのぶつぶつを言ってたのかちらん?
できれば、そういう人にだけはなりたくない。
ひとり言は、自分の家の中で、しかもひとりでいる時に。
というのが理想デあ~る。