以下は、西谷修氏(東京外国語大学総合国際学研究所教授)の主張です。
参考に記載します。岩波書店「世界」10月号に論文が掲載されています。
9.11から10年、アメリカは「テロとの戦争」に失敗して、アフガニスタンやイラクに暴力的な混迷を作り出した。ニューヨークでどんなセレモ ニーを行おうと、「アメリカの戦争」のために命を落とし運命を翻弄されたアジアの何十万何百万の人びとは、何の慰めを受けることもないだろう。
ところがこの戦争の「失敗」にもかかわらず「成功」したこともある。それは「ショック・ドクトリン」の適用であり、「衝撃と破壊」に便乗して 「規制」を撤廃し、国富を「自由化」された市場に流して吸い取る、社会的資産の「民営化」である。アメリカが政治的に失敗しても、この国家を操縦 する企業家たちはみずからの目的を果たしている。それを暴き出したのがナオミ・クライン(カナダ:ジャーナリスト)の本だ。
ミルトン・フリードマンの広めた新自由主義は、市場の「自由」を実現するために、戦争や体制崩壊や災害による社会の崩壊に便乗する。「破壊」は 社会調整のためのあらゆる規制や慣習を一掃し、市場の「自由」を実現する好機なのだ。けれども、そこで利益を得るのは、心をもたず利己的な収益だけを求めて活動する市場のプレーヤーとしての企業である。
日本の震災後の「復興」も、外部資本の跳梁する「自由化」の機会にさせてはならないだろう。それは被災地の人びとをさらにもうひとつの「被災」 にさらすことになる。
参考に記載します。岩波書店「世界」10月号に論文が掲載されています。
9.11から10年、アメリカは「テロとの戦争」に失敗して、アフガニスタンやイラクに暴力的な混迷を作り出した。ニューヨークでどんなセレモ ニーを行おうと、「アメリカの戦争」のために命を落とし運命を翻弄されたアジアの何十万何百万の人びとは、何の慰めを受けることもないだろう。
ところがこの戦争の「失敗」にもかかわらず「成功」したこともある。それは「ショック・ドクトリン」の適用であり、「衝撃と破壊」に便乗して 「規制」を撤廃し、国富を「自由化」された市場に流して吸い取る、社会的資産の「民営化」である。アメリカが政治的に失敗しても、この国家を操縦 する企業家たちはみずからの目的を果たしている。それを暴き出したのがナオミ・クライン(カナダ:ジャーナリスト)の本だ。
ミルトン・フリードマンの広めた新自由主義は、市場の「自由」を実現するために、戦争や体制崩壊や災害による社会の崩壊に便乗する。「破壊」は 社会調整のためのあらゆる規制や慣習を一掃し、市場の「自由」を実現する好機なのだ。けれども、そこで利益を得るのは、心をもたず利己的な収益だけを求めて活動する市場のプレーヤーとしての企業である。
日本の震災後の「復興」も、外部資本の跳梁する「自由化」の機会にさせてはならないだろう。それは被災地の人びとをさらにもうひとつの「被災」 にさらすことになる。