憲法とは政治権力を縛り、国の基本的な形、方向を規定した社会制度の基本をしるしたものです。その基本的な考え方を一政治権力が勝手に解釈で変更し、運用することがあってはならないことは常識です。しかし、安倍、自民党極右政権はその憲法を自らの政権の解釈で勝手に変更し、議会多数の議席を使って、憲法を否定するような集団的自衛権行使、自衛隊の海外派兵を恒久法として制定しようとしています。こんな憲法違反が政治権力によって理不尽に行われてよいはずがありません。
彼らこそがこのことの違法性を最もよく知っています。だからこそ、憲法を改正したい。その究極の目的は戦争できる国家への改悪です。改憲を通じて自らの違法性を解消したいーーーそれが、安倍、自民党の狙いです。
<北海道新聞社説>自民党の改憲論 9条目当てには乗れぬ
政府・自民党で改憲に向けた動きがでてきた。
安倍晋三首相は憲法改正の国会発議と国民投票の時期について、来年夏の参院選後が「常識だろう」と述べた。早ければ2016年末~17年前半にも国民投票が実施される可能性もある。
9条改憲を宿願とする首相が初めて具体的な日程に言及した。
自民党の船田元憲法改正推進本部長は、環境保全への国の責任を定めた環境権新設など、最初は野党や国民が賛成しやすいテーマで議論を進める方針を示した。
いきなり9条の改憲では大きな反発を招く。抵抗の少ない条項で「改正慣れ」を促したうえで、本丸の9条に踏み込む―。そんな狙いがあるなら疑問の多い進め方と言わざるを得ない。
与党は衆院で憲法改正が発議できる3分の2以上の議席を持つ一方、参院の議席は3分の2に届いていない。参院選に向け改憲機運を盛り上げるつもりだろう。
憲法改正をめぐっては、昨年の通常国会で改正国民投票法が共産、社民を除く与野党の賛成で成立した。改定案が国会で発議されれば、国民投票が行える環境が一応は整っている。
自民党は野党に呼びかけ、国会の憲法審査会で具体的な条項を検討していくとする。
環境権の新設のほか、大規模な災害や有事で個人の権利を制限する緊急事態条項、次世代への負担先送りを制限する財政規律条項を挙げている。
憲法は「不磨の大典」ではない。時代や社会の変化に伴って足りない面も出てこよう。論議は否定しない。ただ改正論のその先に9条改憲の狙いがあるのなら安易に乗るわけにはいかない。
環境権や緊急事態条項も憲法解釈や現行法改正で対応が可能だとの指摘もある。「改憲ありき」では本末転倒だ。
戦後70年の平和の歩みを否定する危険な道筋でもある。連立を組む公明党をはじめ各党はこれを肝に銘じてほしい。
気になるのは、こうした大事な論議に一定の日程を設けたことだ。国のかたちを決める問題にすらしばりをかけようとするのは自民党のおごりといえないか。
昨年末の衆院選で自民党は憲法改正を争点に掲げなかった。有権者は白紙委任していないことを確認したい。改正がすぐに必要という国民的合意もあるわけでもない。手続きが強引に進められることがあってはならない。