人間は生まれながらにして平等であり、尊重すべきであると。政治家であろうと、お金持ち、貧しかろうと人間としての価値は皆お同じです。まして、国と国との関係で一方が他国を見下すようなことがあってよいはずがありません。
[ⓒ 中央日報日本語版]
金鍾泌(キム・ジョンピル)前首相(89)の夫人、朴栄玉(パク・ヨンオク)氏の葬儀場では、出棺を翌日に控えた24日まで弔問が続いた。小沢一郎生活の党代表(衆議院)、新政治民主連合の文喜相(ムン・ヒサン)議員、安哲秀(アン・チョルス)議員、セヌリ党の羅卿ウォン(ナ・ギョンウォン)議員、金滉植(キム・ファンシク)元首相、李明博(イ・ミョンバク)元大統領の兄・李相得(イ・サンドゥク)元国会副議長らがソウル風納洞(プンナプトン)アサン病院の葬儀場を訪れた。
午前10時30分ごろ、ここに到着した金鍾泌氏は「少し休まなければ」という家族の引き止めにもかかわらず、弔問客に1人でも多く会おうと努力した。金鍾泌氏は特に小沢代表が来ることを知ると、午前から「(小沢代表が)午前11時ごろ金浦(キンポ)空港に到着する。案内してほしい」と繰り返し話した。
自民党出身の小沢代表は47歳で最年少自民党幹事長になった日本政界の大物で、金鍾泌氏とは40年以上前からの付き合いだ。昨年9月の中央日報のインタビューでは、金鍾泌氏について「囲碁を一緒にする長い友人」で紹介した。
金鍾泌氏を慰めるために1泊2日の日程で訪韓した小沢代表が午後12時40分に葬儀場に到着すると、昼食中だった金鍾泌氏は接見室に出て小沢代表を迎えた。小沢代表に妻の臨終を説明した金鍾泌氏は雰囲気が粛然とすると、「生前はそう思わなかったが、亡くなって(妻の遺影を)見るとかなり美人だ」という冗談も言った。前日の安倍晋三首相に続き、この日は中曽根康弘元首相の書信も届いた。
金鍾泌氏は葬儀場を訪れた洪錫ヒョン(ホン・ソクヒョン)中央日報・JTBC会長と会った席で、「よく見ていると(日本は韓国を)どこか低く見ているところがある。まだそのような認識から抜け出せずにいる人たち」とし「朴槿恵(パク・クネ)大統領もそのような雰囲気を知らないはずはない」と話した。金鍾泌氏は「双方が一歩ずつ下がって(韓日関係を)改めなければいけない」とし「我々も必要以上に日本を刺激し、批判するのは控えるべきだ」と話した。
金鍾泌氏は「私が見る勝者は、憎くてこいつ死ねというその対象者が死ぬのを確認し、その人より長く生きることだといったが、卒寿(90歳)になって亡くなられると考えが変わる」とし「90歳になると憎む人はいない」と話した。
洪会長が「(朴氏は)すべての政治家の夫人の中で最も幸せだったとみんなが話している」と述べると、金鍾泌氏は「64年間一緒にいながら一度も夫を憎んだことはない。気に入らないことがあれば自分が先になんとかしようとした」とし「なぜ生前にもっとよくしてあげられなかったのかと思う」とも語った。
午後遅く葬儀場を訪れた新政治連合の安哲秀議員は金鍾泌氏に最近のドイツ訪問を伝え、「メルケル首相はもう10年だが、まだドイツ国民の愛と自負心は大変なものだ」とし「我が国にもそのように愛される指導者がいなければならない」と述べた。金鍾泌氏は「内閣責任制をすれば政党が責任を取り、うまくすれば国民が17年まで支持する」とし「5年単任制で何かをするには無理がある」と話した。これに先立ち金鍾泌氏は新政治連合の文喜相元非常対策委員長に「与野党というのは国会の中では戦うが、外に出れば酒も交わし、慶事があれば楽しく遊ぶものだったが、最近は与野党の間で夕食を一緒にすることもないようだ」と話すと、文議員は「そう通りだ」と言って苦笑した。
ユーモア感覚はこの日も見られた。セヌリ党の羅卿ウォン(ナ・ギョンウォン)議員が「私がソウル中区で初めて出馬した時、わざわざ遊説場に駆けつけてくださったことを覚えていますか」と尋ねると、金鍾泌氏は「いや、あの時は美人を一目見ようと…」と答え、笑いに包まれた。ある報道機関の幹部が「私も7年前に妻を亡くした」と話すと、「7年経てば一人で暮らすこともマスターされたようだ」と話し、安澤秀(アン・テクス)元議員が「今年で73歳」と話すと「まだ青年だ」と言って笑った。前日に朴槿恵(パク・クネ)大統領が弔問したことについては、「いくらか分からないが(支持率は)およそ20-30%上がったはず」と話したりもした。
朴大統領との対話で内閣制改憲や南北統一に関するテーマが出てきたという観測が出ていることに関し、金鍾泌氏は「そんなことがどこにあるのか。それは違うケースだ」と否認した。