「化血研は薬害エイズ訴訟の被告だ。1996年の和解時には「悲惨な被害を再び発生させないよう最大の努力を重ねる」との確認書を原告団と交わした。その最中にも不正と隠蔽工作を繰り返し、経営陣に不正製造の報告をしていた。薬害の被害者ばかりでなく国民全体への裏切り行為だ。」
これまでの薬害被害を分析し、その根絶を願い、具体的な対策を打っていたのか?常識的に考えれば、信じられないような不正行為は企業と行政の持ちつもたれつの関係がない限り説明がつきません。官僚の天下り=再就職先=生活保障の見返りに、国民と患者が病気に感染し、死亡する。このおぞましい関係を婚前つしなければなりません。しかし、その当事者が対策を起案するのですから徹底することができるはずもありません。
泥沼のような企業と高級官僚の癒着に辟易します。また、そのうえに立ち、その官僚を利用して甘い汁を吸う政権、政権党は退陣させる以外ありません。
<毎日新聞社説>化血研の不正 腐敗体質にメスを入れよ
まさに常軌を逸した隠蔽(いんぺい)体質である。40年以上前から未承認の製法で血液製剤を生産していた化学及血清療法研究所(化血研)の不正は厳しく断罪されねばならない。
第三者委員会の報告書によると、化血研は不正の発覚を免れるため虚偽の製造記録を作成し、国の定期検査でも隠蔽工作を繰り返してきた。記録用紙に紫外線を浴びせて変色させ、古い書類に見せかけるなど悪質さは際立っている。
化血研は薬害エイズ訴訟の被告だ。1996年の和解時には「悲惨な被害を再び発生させないよう最大の努力を重ねる」との確認書を原告団と交わした。その最中にも不正と隠蔽工作を繰り返し、経営陣に不正製造の報告をしていた。薬害の被害者ばかりでなく国民全体への裏切り行為だ。
厚生労働省は化血研を行政処分する方針だが、通常の業務改善命令で隠蔽体質が改善されるとは思えない。この際、刑事責任の有無を含め徹底してメスを入れるべきだ。
今のところ健康被害は報告されていないというが、血液を原料とする製剤には感染リスクがつきまとう。国が認めた承認書通りに製造することが厳格に定められているのはそのためだ。異なる方法で作られた製剤が本当に安全なのか、専門家も疑問を投げかける。
血液製剤やワクチンをめぐっては、これまでも製造企業による不正が繰り返され、厚労省の対策が遅れたために被害を広げてきた歴史がある。89年に阪大微生物病研究会が未承認の方法で製造したおたふくかぜワクチンでは1800人に副作用被害が生じ、5人が死亡した。厚労省が使用中止にしたのは在庫がなくなった93年のことだ。
数少ない国内メーカーに厚労省OBが天下りするなどして安定供給できる生産体制を急いできたことが背景にある。薬害エイズが問題になった80年代、厚労省は汚染された輸入製品から国内生産に切り替える方針を示した。これに乗った化血研が製品化を急ぐ中で、未承認の方法を使ったことから不正行為が広まったとされる。官民癒着と甘い検査・指導が不正を許してきたともいえる。
インフルエンザワクチンでも化血研は未承認の製造方法を用いていたことが発覚し、一時出荷自粛に追い込まれた。化血研は国内のインフルエンザワクチンの3割を供給している。本格的な流行期を前にワクチン不足の懸念をもたらし、安全性を揺るがせた責任は重い。
必要な医薬品の確保は厚労省の責務だ。それとともに長年不正を見抜けなかった自らの監督責任も含め、厳正な処分や再発防止策が必要だ。