“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

2015年 戦争と「平和」を考える

2015年12月30日 13時45分37秒 | 臼蔵の呟き

 憲法学者奥平康弘さんは亡くなる前日の夜、妻にこうつぶやいたという。

 「君はこのごろ平和についてどう考えてる」

 世界のすべての人々に投げかけられた問いではないだろうか。

「 無関心から抜け出し、政治との溝を埋め、壁を打ち破ろうとした人々の登場。そこから、民主主義の新たなうねりが見えてくるかもしれない。」「「戦争につながるかもしれない」との強い危機感を抱いた若者らを、自民党の若手衆院議員は「『だって戦争に行きたくないじゃん』という自己中心、利己的考え」と批判した。」

 あまりに底の浅い批判に驚かされた。

 

<北海道新聞社説>回顧2015年 「平和」を考え続けたい

 「安」

 2015年の世相を1字で表す日本漢字能力検定協会の「今年の漢字」である。応募総数12万9647票のうち、最も多い5632票を集めた。

 安全保障関連法に国民の関心が高まったことや、世界で頻発するテロが人々を不安にさせたことなどが理由に挙がったそうだ。

 「安」は、今年が「安全」で「安心」できた年だから選ばれたのではなかった。

 むしろ、「安定」が揺らぎ続けている国際情勢や、戦争に巻き込まれかねない「不安」が、「安」に凝縮されたといえよう。

 3位には「戦」が選ばれている。天皇陛下は23日の天皇誕生日に当たり、「さまざまな面で先の戦争のことを考えて過ごした1年だった」と振り返った。

 戦争の悲惨さを語り継ぐ試みが各地で展開された。その一方で政府・与党は、戦争の足音が聞こえてくるような安保関連法の成立へと突き進んだ。

 戦後70年の節目の年は、「平和」というものをあらためて考えさせて、幕を閉じようとしている。

溝を埋める試みこそ

 政府・与党が「平和安全法制」と呼ぶのに対し、「戦争法案」との批判も出た安保関連法の成立が秒読みに入った9月18日、国会前の抗議集会には多くの人々が押し寄せた。

 参加者は主催者発表で4万人以上、警察の調べでも1万1千人。札幌・大通公園など全国各地でも集会やデモが行われた。

 集団的自衛権行使に道を開く関連法の採決を数の力で推し進める政府・与党。反対論者はもちろん、「理解が進んでいない」として採決を尚早とみる国民が不信感を抱いたのも無理はない。

 それでも関連法は19日未明、成立した。政治と民意の間に大きな溝を残したと言っていい。

 一連の集会やデモで主役を担ったのは、関連法に反対する学生グループ「SEALDs(シールズ)」など自発的に動いた人々だ。

 「戦争につながるかもしれない」との強い危機感を抱いた若者らを、自民党の若手衆院議員は「『だって戦争に行きたくないじゃん』という自己中心、利己的考え」と批判した。

 あまりに底の浅い批判に驚かされた。

 「知識や学歴、肩書のある人だけしか政治を考えちゃいけないとか、そんな見えない壁を打ち破りたい」

 これは、札幌で「戦争したくなくてふるえる」デモを呼び掛けた20歳のフリーター高塚愛鳥(まお)さんの言葉だ。

 事は安保関連法に限らない。

 雇用が不安定で、結婚もままならず、自分の将来が見通せない。それなのに、手に届かないところで次々と物事が決まっていってしまう―。

 そうした不安を増幅させた若者や子どもを持つ世代などが、政治に目を向け、自分たちの手に取り戻そうと考えているのだろう。

 無関心から抜け出し、政治との溝を埋め、壁を打ち破ろうとした人々の登場。そこから、民主主義の新たなうねりが見えてくるかもしれない。

「戦」では解決せぬ

 国外からは、「戦」を思わせるニュースが相次いで届いた。

 パリの風刺週刊紙銃撃、エジプトでのロシア機墜落、シリア空爆強化…。週末のパリ中心部で起きた11月の同時テロや米国での銃乱射は、まだ記憶が生々しい。

 一方、激しい空爆にさらされた地域では、テロとは無関係の多く人々が犠牲になっている。欧州などでは、安全を求めて押し寄せる難民を排斥する動きも強まった。

 テロは憎むべき犯罪であり、根絶が望ましいのはもちろんだ。

 ただ、テロの実行犯とされる人物には「ホームグロウン(自国で生まれ育った)テロリスト」と呼ばれる若者もいる。宗教や言葉などの違いから生じた疎外感が動機とみる識者も少なくない。

 パリの同時テロ直後、犠牲者の遺族がフェイスブックにつづった文章が話題を呼んだ。

 「憎しみという贈り物を君たちにはあげない。怒りで応じてしまったら、君たちと同じ無知に屈することになる」

 平和は、対立を乗り越えた先にこそある。

真の「安」のために

 1月に85歳で亡くなった函館出身の憲法学者奥平康弘さんは、護憲の立場から積極的な発言を続け、集団的自衛権の行使容認を強く批判していた。

 亡くなる前日の夜、妻のせい子さんにこうつぶやいたという。

 「君はこのごろ平和についてどう考えてる」

 世界のすべての人々に投げかけられた問いではないだろうか。


放送と政治 介入続いたこの一年

2015年12月30日 12時45分34秒 | 臼蔵の呟き

「電波は国民の共有財産だ。政府与党のものではない。本来なら許認可権を政治から切り離し、独立の第三者機関に委ねるべきなのだ。一連の介入は電波行政の欠陥も映しだしている。」「放送界の1年を振り返ると、政治からの介入が絶え間なく続いた。放送は国民の「知る権利」に奉仕する役目を負っている。政治権力の影響下に置かれるようでは民主政治の発展は望めない。」

 憲法が規定する三権分立、基本的人権の尊重、思想信条と信仰の自由、報道の自由は民主主義を守るうえで根幹をなす規定です。それは、政治権力の暴走を止める手立てとして制度上極めて重要だからです。

<信濃毎日社説>放送と政治 介入続いたこの一年

 放送界の1年を振り返ると、政治からの介入が絶え間なく続いたことが印象に残る。放送は国民の「知る権利」に奉仕する役目を負っている。政治権力の影響下に置かれるようでは民主政治の発展は望めない。

 政府や政党の振る舞いに厳しい目を注がなければならない。

 介入が目立ち始めたのは昨年12月の安倍晋三首相の発言あたりからだった。民放テレビに出演した際、街頭インタビューで政府に批判的な声が多く紹介されると「選んでますね。おかしいじゃないですか」とかみついた。

 報道への介入ではないか、と国会で野党から追及されると「私の考えをそこ(テレビ)で述べるのは言論の自由」と開き直った。

 今年4月、自民党が放送内容をめぐって民放とNHKの幹部を党本部に呼び事情聴取。

 5月、自民党幹部が同じ問題で放送界の第三者機関、放送倫理・番組向上機構(BPO)から「考えを聞きたい」と述べる。

 6月、自民党の勉強会で安保関連法報道をめぐり「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい」といった声が出る。

 首相発言をきっかけに「たが」が外れたかの様相だ。

 テレビ局に注文を付けるとき、自民党は放送法4条を根拠に挙げることが多い。番組は▽政治的に公平▽事実をまげない▽意見が対立する問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにする―とする規定である。

 専門家の間では、放送法4条を理由に口を挟むのは許されない、との見方が常識だ。4条はテレビ局が自らを律する倫理規定であり、介入の根拠にならないというのである。そうでなければ、言論の自由をうたう憲法や、法の目的に「表現の自由の確保」を掲げる放送法1条と矛盾する、と。

 「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、または規律されることがない」。放送法3条だ。自民党による「事情聴取」はこの規定に明らかに違反する。

 政治の放送への介入が問題化するのは今度が初めてではない。例えば1960年代、政府、与党はベトナム戦争や安保条約改定報道をめぐり電波の許認可権をちらつかせて圧力をかけた。

 電波は国民の共有財産だ。政府与党のものではない。本来なら許認可権を政治から切り離し、独立の第三者機関に委ねるべきなのだ。一連の介入は電波行政の欠陥も映しだしている。


慰安婦問題 真の和解へ対話継続を

2015年12月30日 12時00分18秒 | 臼蔵の呟き

「元慰安婦らに対し、日本が心から謝罪しているとのメッセージが伝わらなければ、首相が期待するような早期解決は、到底おぼつかない。

 日韓間ではこれまで日本の一部政治家らから過去を否定したり、元慰安婦の尊厳と名誉を傷つけたりする発言が繰り返され、関係改善に水を差してきた。今回の合意を受け、加害の歴史と真摯(しんし)に向き合う姿勢がいっそう問われよう。」

 韓国の国内で、当事者も含めて厳しい批判が起きています。要は、当事者である従軍慰安婦の気持ちに寄り添い、彼女たちが納得するような話し合いの継続が必要です。安部、山口自公政権が、歴史認識の改ざんを止め、従軍慰安婦と天皇制政府、日本軍の関係を認め、謝罪することは最低限の条件です。

<琉球新報社説>慰安婦問題 真の和解へ対話継続を

 戦後70年、日韓国交正常化50年という節目の年の大きな合意には違いない。だが今後も歴史を直視し、関係改善の歩みを確かにしていく普段の努力が不可欠だ。

 旧日本軍の従軍慰安婦問題をめぐり、日本と韓国が外相会談で「最終的な解決」とする合意を発表した。両国がさまざまな課題を乗り越え、問題解決に向けて歩みだしたという点では一歩前進したと言えよう。
 記者会見で岸田文雄外相は慰安婦問題について「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」だと指摘した上で「日本政府は責任を痛感している」と明言した。
 1993年の河野談話などを踏襲した表現だが、韓国で明確に表明した意味は大きい。安倍晋三首相は朴槿恵大統領と電話で会談し「心からのおわびと反省の気持ち」を伝え、合意内容も確認した。
 合意を受けて首相は「子や孫に謝罪し続ける宿命を負わせるわけにいかない」と述べた。首相は戦後70年談話でも同様の見解を示していたが、侵略の記憶が容易に消えるわけではあるまい。
 外相会談で日韓は慰安婦問題を「最終的かつ不可逆的な解決」とすることで合意した。だが元慰安婦らに対し、日本が心から謝罪しているとのメッセージが伝わらなければ、首相が期待するような早期解決は到底おぼつかない。

 日韓間ではこれまで日本の一部政治家らから過去を否定したり、元慰安婦の尊厳と名誉を傷つけたりする発言が繰り返され、関係改善に水を差してきた。今回の合意を受け、加害の歴史と真摯(しんし)に向き合う姿勢がいっそう問われよう。
 もとより合意は政府間のものであって、両国の国民がどう受け止めるかは別問題だ。

 合意に対して韓国国内では強い批判が出ている。元慰安婦への支援を目的に韓国政府が設立する財団に日本政府が10億円程度を拠出することになったが、公式な賠償でないとして強い反発が上がっている。
 両国間には歴史認識の他にも竹島をめぐる領有権問題などさまざまな課題が残っている。
 慰安婦問題がどう推移するかは予断を許さない。ただ、高齢化が進み、生存者が50人を切ったという元慰安婦たちの気持ちをくんだ解決が何よりも重要だろう。真の和解に向けて、さらに対話を続けていかねばならない。