「野党共闘に向けて最大の壁になるのは、安倍政権が国民の強い反対を押し切って成立させた安保法制(戦争法)をどうするかだ。」
安倍、山口自公極右政権が目指す憲法改正、軍国主義復活、排外主義は、日本の立憲主義、民主主義を根こそぎ根底からひっくり返すような暴挙であり、絶対に許すことはできません。
その立憲主義、民主主義を擁護し、維持できるかどうかがかかる参議院選挙、その後に想定される政権選択選挙の課題は、政党自身の存亡でなく、日本社会の未来がかかるきわめて重要な選挙と言えます。
現在の民主党と維新、野党間の協議は、民主党内が戦争法に対して戦争法の必要論者と批判者の烏合の衆化していることを示しています。戦争法に対する態度と議論を抜きに、自分の議席を確保できるかどうかを最優先するような民主党、維新の党議員が多くの国民から支持されることはあり得ません。
現在の政治に求められる立憲主義、民主主義擁護の闘いは、国政選挙での最重要課題です。戦争法廃止の条件作りを確実に行う。それが来年の参議院選挙の最大課題です。その意味では自民党、公明党、大阪維新を確実に一人区で落選させる。一人区においてその選挙協力を自民党、公明党、大阪維新以外の政党で実現することが必要です。どうしても民主党が戦争法廃止でまとめることができないであれば、それ以外の野党が広く識者、個人が協力して候補者を擁立し、戦争法廃止の統一候補を立候補させ、当選させなければなりません。
政党助成金目当て、単なる数合わせの自民党型政治の野党は必ず、消滅することは歴史の必然です。問題なのは、新自由主義的な政治経済の民主的規制と立憲主義、民主主義の回復、擁護――日本国憲法の擁護です。それ以外の政治課題は、そのことを基本として実現擁護しない限り、政治的には有効性を保持することができません。
税制論議などは、戦争時に国家財政の80%が戦費(日清、日露、太平洋戦争時)に費やされることを考えれば、国民から見て、何の意味も持たないくらい国民生活破壊を軍国主義、戦争は本質として持っていることを自覚すべきです。
<信濃毎日新聞社説>野党の結集 安保法を曖昧にするな
民主党と維新の党が衆参両院で統一会派を結成することで正式合意した。将来の合流も視野に入れ、連携を深める考えという。来年夏には参院選がある。多くの野党は安倍晋三政権の姿勢や政策に批判的な有権者の受け皿になり得ていない。
とりわけ、民主と維新は旗印がぼやけるばかりだ。共に党内が一枚岩と言える状況ではない。国民の期待が高まらないのは当然だ。まずは対抗軸を明確にした上で、他党との政策協議や選挙協力を地道に進め、国民に支持を訴えなければならない。
民主党の岡田克也代表と維新の党の松野頼久代表が、国会内で会談し、安全保障など7項目の基本政策を確認した。岡田氏は「安倍政権の暴走をチェックする」と述べ、松野氏も同様の認識を示している。自民1強体制の打破をアピールした。
統一会派の結成で衆院92人、参院で64人の規模になる。衆院で第2会派の勢力が100人近くになるのは約3年ぶりのことだ。国会の委員会での理事が増えるといったメリットがある。
党のあり方や政策をめぐっては相違点が多い。
維新が党を解散した上で新党の旗揚げを目指しているのに対し、民主は解党には否定的だ。
溝をどのように埋めるのか。道筋ははっきり見えてこない。会派を分裂させかねない問題に発展する可能性もある。
巨大与党と対峙(たいじ)し、緊張感ある政治を実現するために、考え方の近い野党が共闘するのは現実的な道ではある。今回の統一会派結成は野党結集に向け、その一歩を踏み出したにすぎない。
野党共闘に向けて最大の壁になるのは、安倍政権が国民の強い反対を押し切って成立させた安保法制をどうするかだ。参院選での選挙協力に積極的な姿勢を示している共産党や市民団体が目指すのは、安保法制そのものの白紙化である。共産は明確に反対を訴えることで地方選で議席を伸ばしている。政権批判の一定の受け皿となっているのではないか。
一方、民主と維新の基本政策では、安保法制について「違憲部分の白紙化」としている。政権の暴走を監視すると言いながら、中途半端で分かりにくさが否めない。国民も厳しく見ているはずだ。点検し直すことを求める。
安保への向き合い方を曖昧にしたままでは幅広い野党勢力の結集は望めない。