犯罪を犯し、その犯罪を刑法で裁く。その結果、刑期が決まる。殺人罪に対して死刑で裁くことが本当に正しいかどうか考えなければなりません。
殺人を犯した当事者を国家が法をもって殺害する。死には死を。死刑があるから殺人、犯罪が抑止できるとの主張は何の根拠もありません。現実に殺人事件は毎年発生しています。普通の国民であれば、殺人は良くないこと。刑法で裁かれ、死刑になるかもしれないことを知っています。しかし、殺人事件は0になりません。なぜでしょうか。
多くの犯罪は、その根底に経済的貧困が要因となっています。不景気になれば、治安の悪化や犯罪が増加することはよく知られていることです。政治が作り出す貧困、社会保障制度の改悪による劣悪な生活環境こそを解決しなければなりません。その政治的な責任を果たさないで、犯罪者に死刑を科す。本当に逆転した発想です。殺人を犯した人間を償わせることと、死刑は全く同義ではありません。
<毎日新聞>死刑執行 裁判員裁判で初 09年川崎3人刺殺
岩城光英法相は18日午前、2009年に川崎市で3人を刺殺して殺人罪に問われ、裁判員裁判で死刑を言い渡された津田寿美年(すみとし)(63)=東京拘置所=と、岩手県洋野町で06年に起きた母娘殺害事件で強盗殺人罪などで死刑が確定した若林一行(39)=仙台拘置所=の両死刑囚の死刑を執行したと発表した。09年に始まった裁判員裁判で死刑を言い渡された死刑囚の執行は初めて。
最高裁によると、裁判員裁判で死刑が言い渡されたのは18日現在計26人。うち7人が確定している。
死刑執行は今年6月以来約半年ぶりで、岩城法相による執行は初めて。自民党への政権交代(12年12月)以降では8回目で、計14人の死刑が執行された。
確定判決によると、津田死刑囚は09年5月30日早朝、同じアパートに住む男性(当時71歳)の部屋のドアの開け閉めの音がうるさいなどと恨みを募らせ、胸や腹などを包丁で刺して殺害。更に男性の妻(同68歳)とアパートの大家で男性の兄(同73歳)も刺殺した。1審・横浜地裁は11年6月、死刑を言い渡し、弁護側は控訴したが、津田死刑囚が翌7月に自ら控訴を取り下げて死刑が確定した。
一方、若林死刑囚は06年7月、女性会社員(当時52歳)方に侵入。女性と次女(同24歳)を殺害し、現金を奪って遺体を山林に遺棄した。1審で罪を認めたが控訴審で否認に転じ、上告審でも無罪を主張していたが、12年1月に上告を棄却された。
岩城法相は記者会見し、「裁判員裁判であるかどうかに関わらず、関係記録を十分に精査するなど慎重に検討し、執行命令を発している」と述べた。再審開始決定を受けて釈放された元プロボクサー、袴田巌元被告(79)を除くと、確定死刑囚は126人となった。