沖縄でない新聞がかかげている点で価値があります。沖縄米軍基地問題は日本全体の政治問題であり、民主主義にかかわる重要な政治問題であることを自覚すべきです。この点で、福島第一原発事故を東北、福島県の問題と切り捨て、原子力発電所の再稼働を平然とすすめる安部、山口自公政権の民意無視、非民主的な政権運営を共通した政治問題です。鹿児島県知事、鹿児島川内市長、福井県知事、福井地方裁判所判事などに共通しています。
安部、自民党型極右政治に共通した地域の分断、国民の分断による支配の手法を見抜き、彼らの欺瞞性を暴き出し、やめさせなければなりません。
<信濃毎日社説>辺野古訴訟 国は訴えに耳を傾けよ
米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設阻止を目指し、沖縄県が国を提訴した。
国は既に県を訴えている。国と県が訴訟合戦を展開する異例の事態だ。政府はこれ以上、強引な手法を続けるべきではない。
翁長雄志知事が辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消したのに対し、石井啓一国土交通相が効力を停止した。沖縄県は、これを違法として取り消しを求めている。年明けで調整していたものの、前倒しした。併せて国交相の決定の効力停止も申し立てている。
国交相の決定は、行政不服審査制度を利用した沖縄防衛局の審査請求を受けて出された。本来は行政処分で不利益を受けた国民を救済する制度だ。政府が自治体の反対を振り切って事業を進めるため使うことに、県が異を唱えるのは当然である。
これとは別に、県が不服審査を申し出ていた第三者機関の国地方係争処理委員会は、却下することを決めた。委員会が審査する対象に当たらないとの判断だ。
委員会は1999年の地方自治法改正により、2000年に設けられた。国の行為による地方自治の侵害を防ぐのが目的である。総務相が任命する有識者5人で構成する。政府の決定が適切なのかを正面から審査せずに追認するようでは、存在意義が問われる。
争いの場は今後、法廷に集約される。県側は、米軍基地が異常に集中する現状は憲法で保障された地方自治の本旨にもとるとしている。民意に反した基地建設は自治権の侵害だとも主張する。政府は重く受け止める必要がある。
自然環境への影響にも目を向けたい。辺野古周辺は広大なサンゴ礁が広がり、ジュゴンなど希少な生き物が生息している。埋め立てにより回復できない被害を受けると県は指摘する。貴重な自然が失われかねない。掘り下げなくてはならない論点だ。
政府は、これまでの手続きに問題はないと繰り返している。普天間の危険性除去や日米合意の履行を掲げ、全面的に争う構えだ。埋め立て承認の取り消しを知事に代わって撤回するために国が起こした訴訟は、来月8日に次の弁論が開かれる。
県の提訴を受け、中谷元・防衛相は「法律に従いつつ、作業を進めたい」と述べている。訴訟が進む間も工事を続行して既成事実を積み上げる考えだろう。強権的なやり方は、県との対立を深めるだけだ。切実な訴えに耳を傾け、対話を重ねるべきである。