「中期防で定めた総額を守ることは防衛力整備に「節度」を取り戻すための最低条件である。安保法が成立しても総額は維持するという首相の言葉に偽りはないのか。法律を成立させるための方便にすぎなかったとしたら、国民を欺く食言との批判は免れまい。」
日清戦争、日露戦争、中国・アジア侵略戦争時は、国家予算の85%が戦費、軍事費として使われました。残りの15%をもって社会保障、医療、公共事業を賄いました。ですから、戦争をするということは圧倒的多くの国民は我慢を強いられます。――勝つまでは欲しがりません。これはこのような財政危機を天皇制政府と日本軍が国民をだますスローガンとして使われました。したがって、尖閣が、南シナ海が中国によって侵されるーーーなどとの安部、極右の「宣伝」で自衛隊の海外派兵、軍備増強が必要との「善意の心配」は結果的に、自らの生活と国の疲弊を促進する安部、極右戦略に加担するものです。
紛争は、軍事行動で解決することはできません。紛争を話し合いで解決する。その基本を確立し、守ることこそが相手国、日本、東アジアの平和と安定に貢献します。そのことはイランへのアメリカブッシュ政権の軍事行動が中東諸国の大混乱が証明しています。その挙句、ISのテロ行動は頻発しているのだと。このような愚かな行動を止めなければなりません。日本国憲法9条は世界が目指し、実現しなければならない平和と安定の政治的目標です。
<東京新聞社説>防衛費5兆円超 どこまで膨張するのか
防衛費はどこまで膨張し続けるのか。二〇一六年度予算案では四年連続の増額となり、初めて五兆円を突破した。安倍政権は国際情勢の変化を名目に、防衛費の聖域化を進めているのではないか。
一六年度防衛費の総額は五兆五百四十一億円。過去最高だった一五年度の四兆九千八百一億円から七百四十億円、1・5%増だ。
2002年度の四兆九千五百五十七億円をピークに2012年度まで減少傾向が続いていた防衛費は、安倍晋三首相が政権復帰後に初めて編成した2013年度で一転、増額に転じた。以後、四年連続の増額だ。
政権側は、中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発など、アジア・太平洋地域の安全保障環境の変化を増額理由に挙げている。
国民の命や暮らしを守るために防衛力を適切に整備することは政府の役割だが、予算を際限なく増やしていいというものでもない。
特に、防衛費を増やし続けることは、軍事大国化の意思ありとの誤ったメッセージを国際社会に送りかねない。周辺国に軍備増強の口実を与え、軍拡競争に陥る「安全保障のジレンマ」は厳に避けなければならない。
防衛力整備の方針を示す中期防衛力整備計画(中期防)は一四年度から五年間の防衛費の総額を二十四兆六千七百億円程度と定め、調達の効率化や合理化などで七千億円程度縮減し、二十三兆九千七百億円程度に圧縮すると定める。
一四~一六年度の当初予算の総額は十四兆九千百九十億円。現在のペースで防衛費が増加し続ければとても中期防の枠には収まらない。そればかりか毎年二千億円程度が補正予算で計上されており、防衛費はさらに膨らむ。
気掛かりなのは、安倍政権が九月に成立を強行した安全保障関連法と防衛費との関係だ。
自衛隊の活動範囲が広がることによって新たな装備や訓練が必要となり、防衛費の膨張は避けられないはずだが、安倍首相は国会で「中期防で五年間の防衛費の総額を閣議決定しており、新たな平和安全法制で全く新しい装備や、装備の大増強が必要になることはない」と答弁している。
中期防で定めた総額を守ることは防衛力整備に「節度」を取り戻すための最低条件である。安保法が成立しても総額は維持するという首相の言葉に偽りはないのか。法律を成立させるための方便にすぎなかったとしたら、国民を欺く食言との批判は免れまい。