春風駘蕩

いつの時代でもこうありたい

老老介護の現実

2010年08月28日 | 日記
8月19日、母危篤の知らせで急ぎ羽田から長崎へ。母を見舞ったのは1ヵ月半前の7月2日だったので、それ以後、
容態が悪化したのだろう。結果として何とか持ち直したが、酸素吸入を離せない状態がずっと続いている。

母は92歳になった。83歳の時、大腿部骨折で入院して手術、その後も入退院を繰り返していたが、数年前から
寝たきりとなり、今年に入ってからは「胃ろう」による治療を続けている。

「胃ろう」とは、口から食事が取れなくなった高齢者に対して腹部の外から胃に管を通して栄養を補給する治療方法。
この治療方法が望ましいものなのかどうか、終末期の医療のあり方として議論があるのは承知しているが、本人の
意思確認もできない状況のなか、1日も長く生きてもらいたいというのが家族の願い。

日本人の平均寿命は、男79歳、女86歳。世界一の長寿国だそうだ。川柳に「還暦に親が立ち会う長寿国」というのが
あるが、まさにその通りで、これは喜ばしいことだし、総論としては正しい。

しかし、各論になるとさまざまな状況が露呈してくる。私の場合、姉1人、弟1人の3人姉弟。姉は70歳を過ぎ、
弟も還暦を過ぎている。3人とも年金生活者だ。その年金生活者が母を看なければならない。当たり前のことだが
負担も大きい。

老いが老いを看る、老老介護の現実。そこには自分の老後を楽しむ余裕さえない高齢者がたくさんいる。「ゆりかご
から墓場まで」とは言わないまでも、高齢社会のあり方、年金や福祉の問題について、もう少し議論をしなければ
ならないと思う。