春風駘蕩

いつの時代でもこうありたい

呉善花さんの講演

2005年03月23日 | 日記
経済団体主催の昼食会で呉善花(オ・ソンファ)さんの講演を聞いた。
呉さんは『攘夷の韓国・開国の日本』などの著書で知られている韓国女性。1956年済州島に生まれ、大邱大卒後、
志願して4年間女子軍隊に入隊。83年来日、大東文化大卒後、東京外大大学院修士課程修了。現在、拓殖大学
国際開発学部教授。

韓国では日本で報道されている以上に反日運動が広がっている。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領陣営が野党ハンナラ党の
イメージダウンを狙って反日を煽っている。ハンナラ党の党首は朴槿恵(パク・クネ)、朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領
の長女。人気抜群で、盧大統領陣営にとっては無視できない存在だ。

そこで盧大統領陣営が持ち出してきたのが朴正煕の経歴。朴正煕は日本の陸士卒。これが「親日」の証だとして朴槿恵を攻撃
しているのである。これに竹島問題がからんだ。テレビに出演したヨン様が竹島問題を聞かれ、「わからない」と答えたら、
抗議の電話が殺到し、ついに「韓国の領土」と答えたという。

韓国と日本の違いは、「美」に対する感性の違い。大陸文化の影響を色濃く受けた朝鮮半島の人たちは完結された形を至上と
する。例えば、月といえば韓国では満月だが、日本では十三夜、十六夜、朧月などがある。花も6分咲き、8分咲き、そして
散りゆく桜をよしとする。韓国の人たちには理解できないことだ。

民族の違いは、結局、文化の違いというのが呉さんの結論だ。

江間章子さん死去

2005年03月14日 | 日記
「夏の思い出」の作詞者・江間章子さんが3月12日、脳内出血のため死去した。91歳だった。
「夏がくれば 思い出す」の歌詞ではじまるこの歌は、日本人なら誰でも知っている。
敗戦後の暗い世相の中、人々に明るさをもたらし、広く愛唱された歌で、いまなお多くの人々に歌い継がれている。

作詞者・江間章子さんは、大正2年、新潟県高田市の生まれ。2歳の時、父が急逝したため、母の実家の岩手県平舘村
で育った。大正14年、静岡県に転居し、静岡高等女学校に入学。静岡高女時代から新詩運動に参加し、卒業後上京、
駿河台女学院に入学後も詩作を続け、昭和11年に詩集「春への招待」発表した。戦後は、三好達治、草野心平らと共に
現代詩人会で活躍し、少女小説、ラジオ歌謡など幅広い創作を行った。

江間さんは、昭和24年、NHKラジオ歌謡で「夏の思い出」を発表し一躍有名になったが、この曲を作曲したのは中田喜直
さん。中田さんは著名な作曲家で、サトウハチロー氏とコンビを組んで、「小さい秋みつけた」「夕方のおかあさん」
「さわると秋がさびしがる」「とんとんともだち」「わらいかわせみに話すなよ」など数々の名作を生んでいる。
「めだかのがっこう」も同氏の作曲である。

昭和24年と言えば、国民が敗戦のショックから立ち直り、懸命に生きようとしていた時代。その時、NHKラジオから
この歌が流れてきた。戦争の呪縛から解き放たれ、ささやかな団欒を取り戻していた人たちが、この歌を通して忘れていた
自然を思い出し、明日への希望へとつないでいった。詩もいい、曲もいい。すべてが揃っいる。

東京都世田谷区の名誉区民、岩手県西根町の名誉町民、群馬県片品村の名誉村民。

二月堂のお水取り

2005年03月12日 | 日記
12日は奈良東大寺二月堂のお水取りの日。童子たちが振り回す大きな松明の燃えさしが欄干の下の参拝者たちに降り注ぐ。
古都奈良の人たちに春を告げる行事だ。1200年もの間、絶えることなく続いた「火と水の行事」とはどのようなもの
なのだろうか。

二月堂では、毎年3月1日から14日までの2週間、「修二会」(しゅにえ)という法会が行われる。旧暦の
2月に行われていたので、2月に修する法会という意味から「修二会」と呼ばれ、「二月堂」の名もこのことに由来して
いるという。

お水取りは12日の深夜、若狭井という井戸から観音さまにお供えする「お香水」(おこうずい)を汲み上げる儀式。
行を勤める練行衆の道明かりとして大きな松明に火がともされる。松明の火は火打ち石で起こした火が使われている。

「お香水」は、若狭・小浜の鵜の瀬から10日間かけて二月堂の若狭井に届く。若狭では、二月堂のお水取りに先がけて、
毎年3月2日、小浜市の神宮寺と遠敷川(おにゅうがわ)上流の鵜の瀬で厳かに「お水送り」の行事が行わる。
「火と水の行事」は、若狭の「送り」と奈良の「取り」で完結する。

かつて、シルクロードの玄関口であった若狭・小浜から奈良へ伝えられた大陸文化の歴史の跡が、この伝統行事の中に
色濃く残されているのだ。

映画 『アレキサンダー』

2005年03月05日 | 日記
映画「アレキサンダー」を観た。オリバー・ストーン監督が10年以上の年月と製作費200億円をかけて描いた
スペクタクル映画だ。アレキサンダーにはコリン・ファレル、父王フィリッポスにはヴァル・キルマー、
母オリンピアスにはアンジェリーナ・ジョリー、語り手はアンソニー・ホプキンス。

紀元前356年、マケドニア王フィリッポスと妻オリンピアスの間にアレキサンダーが生まれる。アレキサンダーは
両親の確執に晒されながら、文武に長けた青年へと成長する。アレキサンダーが20歳になった年、フィリッポスが
暗殺された。王位を継いだアレキサンダーは、西アジアとエジプトを制覇し、宿敵ペルシアとの戦いで勝利し、大帝国を築く。

ペルシアを征服したアレキサンダーは、さらに東へ進もうとするが、この遠征は、臣下や友人、そして母オリンピアスとの
関係を揺るがせていく。長い行路の末、遂にインドの地を踏むが、インダス川を下る途中、マッロイ人との戦闘で瀕死の重傷
を負いバビロンに戻る。しかし、突然、病に倒れ、前323年、32歳の若さで死んだ。

母オリンピアスは、蛇に変身したゼウスと自分の間に生まれた子がアレキサンダーであると信じ、息子にもゼウスの子、
神の子であると言い聞かせて育てた。遠征の途中、自らを神々と比較していたのも神の子だからであり、王でありながら
先頭を切って敵陣に乗り込む無謀さも自らを神の子と信じていたからだろう。

アレキサンダーという英雄誕生の裏に母の強い影響があったことをこの映画で知った。

自民党流の政治ゲーム

2005年03月02日 | 日記
平成17年度予算案が3月2日夕、衆議院を通過した。今国会での予算審議は、野党が「政治とカネ」の問題で
橋本元総理の喚問を要求してくるので難航が予想されていたが、結果は順調に終わった。これで政治の焦点は
郵政民営化法案をめぐる政府と自民党の調整に移る。

民営化法案は、当初、今国会での成立は無理、継続審議になるというのが大方の予測だった。ところが、小泉総理は、
さる2月9日、「今国会で必ず成立させる。継続審議のつもりはない。継続は廃案と同じ。廃案は小泉内閣への不信任であり、
退任要求の倒閣運動と受け止めるのが自然だ」と、解散も辞さない強固な姿勢を表明した。

会期内に民営化法案を成立させるには3月中に法案を提出しなければならない。会期末は6月19日。現状からして
それは無理な話だ。そこで、自民党執行部から「50日間延長」の声がもれ始めた。法案を5月の連休前に提出し、
8月のお盆前に成立させるというのが執行部の筋書きのようだ。

民営化に対する自民党内の反対論は根強い。反対派は3月中に「郵政公社改革法案」を策定するという。
対立は深まるばかりに見えるが、そこは自民党のこと。いま党三役が中心となって落しどころを探りつつ水面下で激しく
動いている。結果として法案の8月成立は可能だろうし、成立後の内閣改造が絡んでくるのは必至だ。

対立はするが壊さない。収まるところに収めていく。これが長年政権を担当してきた自民党の知恵であり、
自民党流の政治ゲームだ。民営化問題もこうした視点から見ればそれほど心配することはない。