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もののふの姿(その2)

2014年03月14日 | セレネ美術館

すみません「幕末明治の浮世絵・探訪展」は、

3月14日(金)~3月18日(火)はお休みとなります。

3月19日(水)~3月30日(日)に展示を再開いたしますのでご了承ください。

なお、2階のセレネ美術館「平山郁夫―黒部を描く」「黒部峡谷 日本画展」は通常通り開館しております。

 

それでは浮世絵展の作品紹介を続けましょう!

今日ご紹介するのは

平新王将門 歌川芳綱  弘化4年(?)1847年

へいしんのうまさかど  うたがわよしつな

 

芳綱も、国芳の弟子です。武者絵で活躍しました。

本作に描かれる平将門(たいらのまさかど)は平安時代中期の関東の豪族。

のち朝廷に背き、新しい天皇を意味する「新皇(しんのう)」を名乗りましたが、

藤原秀郷(ふじわらのひでさと。別名 俵藤太 たわらのとうた)に討たれました。

中央に、きっとした表情で座す将門。歌舞伎の隈取のごとくけっこう怖い顔です。

その周りには薄いグレーの将門の姿が6つ。分身の術のように将門を囲んでいます。

取り囲んでいるのではなく上と左右に重なりあい、まるで将門がずれたように描かれています。

さて将門といえば、荒俣宏の小説「帝都物語」で知られるように、数々のオカルト的な伝説のある人物です。

その体は鉄でできていて、こめかみだけが弱点とか、切られた首は何か月たっても腐らず、

夜な夜な目が輝き、もう一戦しようぞ、と叫び声をあげたとか、全くそっくりな7人の影武者が付き従っていたとも。

そう、この絵のグレーの6つの姿はその影武者を表しているわけですね。この影武者たちは太陽にあたっても影がなかったといわれ、神霊的な存在と考えられます。

将門の信仰していたのは「妙見菩薩(みょうけんぼさつ)」。北極星と北斗七星を神格化した仏で、天の中心(天帝)を意味します。

浮世絵に描かれている将門の旗印は、まさに七つの星をつないだ北斗七星。この影武者は妙見菩薩のご加護であるわけです。

さて、作品にもどりましょう。

絵の舞台は湖(海かも)のほとりの豪華なテラス。イメージとして厳島神社(いつくしまじんじゃ)を思い浮かべていただければ。

将門は豪奢な服を着て、美しい縁取りのあるぶ厚い畳の上におかれた椅子らしきものに座しています。

その周囲にはこれまた豪華な動物の置物が。これは・・・四神(しじん。青竜、朱雀、白虎、玄武)だ~! 絵師の芸が細かいですね。

さらに多くの旗がゆらめき、大勢の武将が付き従っています。一見、華やかで頼もしい雰囲気ですが、先に述べたように怖い表情の将門。

その視線の先には・・・

二羽の雁が水面に向かって落ちています。

これは 飛ぶ鳥落とす勢いを表すのか・・・それとも暗い未来を暗示しているのか。

解説によれば、この絵は天保の改革を実行した水野忠邦を風刺する絵では? とのこと。

忠邦を将門になぞらえているわけですね。

天保の改革は綱紀粛正などが性急で厳しかったことから庶民の反感を買い、忠邦が失脚した際はその屋敷が襲われたほど。

ということは、やはりこの絵は一時の権勢がすぐに滅びることを示しているようですね。

 

幕末明治の浮世絵展概要&他の作品紹介へ

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幕末明治の浮世絵・探訪展

~幕末の歴史絵から明治の開化絵まで~

期  間 平成26年 3月1日(土)~3月30日(日)

時  間 9時~17時30分(入館は17時まで)

休館日 毎週火曜日と、3月14日(金)~18日(火)の5日間

入館料 一般800円 高校・大学生700円 中学生以下無料

会  場 黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館 3階展示ホール

富山県黒部市宇奈月温泉6-3 TEL 0765-62-2000

セレネ美術館HP