今日ご紹介するのは、チラシ裏面にも掲載している
羅城門渡辺綱鬼腕斬之図 歌川芳年
明治21年1888年
らじょうもん わたなべのつな きわんざんのず うたがわよしとし
(転載禁止でお願いします)
紙をたてに2枚つなげて描かれた作品です。
浮世絵だけをみてくるとおッと驚く画寸ですが、掛け軸として考えれば不思議ではないですかね。
渡辺綱が屋敷で宴会をしていたところ羅城門に鬼がでるという噂話に。
都の門に鬼がいていいわけがないと、綱は鎧をまとい、先祖伝来の太刀をもち、
供もつれず一人で確かめに出かける。
羅城門に近づくと、はげしい風が吹き、馬が動かなくなる。
はたして後ろからあらわれた鬼が兜をつかむ。
斬りつける綱。はげしいやり取り。兜を奪われる綱。
さらに斬りあい、ついに鬼の片腕を切り落とす!
鬼は「腕は必ずとりもどす」といって黒雲の中に去るのだった・・・(続く)
いや~、手に汗握る展開です。
命のやり取りをする緊迫の瞬間をとらえた作品。
武者の優美さ、構図の絵画性、躍動感を表す線の動き、張り詰めた空気・・・
浮世絵からマンガや日本画が生まれてきたことが一目でわかる作品ではないでしょうか。
芳年(別名 月岡芳年)は浮世絵師といわれますが、その門下からはやがて北野恒富(きたのつねとみ)、
鏑木清方(かぶらぎきよかた)、伊藤深水(いとうしんすい)といった「日本画家」たちが現れてくることになります。
余談ですが、この鬼の腕を斬った太刀は、現在ものこっています。
重要文化財。北野天満宮所蔵。日本すごすぎ。
物語では羅城門ですが、実際の綱は一条戻橋(いちじょうもどりばし)で鬼の腕を斬っています。
そのことから鬼切(おにきり)と呼ばれましたが、もともとの名前は髭切(ひげきり)。
罪人を試し切りした際、あまりの切れ味にその髭もすぱっと斬れたところから名づけられたそう。
後世、源頼朝の手にわたり、ご存じのように彼は鎌倉幕府をおこします。
すごい歴史だな~
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幕末明治の浮世絵・探訪展
~幕末の歴史絵から明治の開化絵まで~
期 間 平成26年 3月1日(土)~3月30日(日)
時 間 9時~17時30分(入館は17時まで)
休館日 毎週火曜日
入館料 一般800円 高校・大学生700円 中学生以下無料
会 場 黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館 3階展示ホール
富山県黒部市宇奈月温泉6-3 TEL 0765-62-2000