日本のパスポート第1号は誰が受け取ったかご存知ですか?
たまにクイズで出題されますが、その人の名は隅田川浪五郎。
彼の職業は・・・なんと奇術師!
(紙で作った蝶を扇であおぎ舞わせるのが得意技とか。きっと美しかったことでしょう)
ちなみにパスポート1号から18号までが、その曲芸団の団員さんで占められています。
彼らはアメリカの興業師に雇われ、アメリカやヨーロッパで興業を行ったのですが、各地で大喝采をあびたといいます。
なんと2年にわたり、ほぼ全ての西欧諸国を廻ったとか。
さて、今日ご紹介する浮世絵も曲芸師を描いたもの。
「早竹虎吉」 歌川芳虎 安政4年1857年
はやたけとらきち うたがわよしとら
早竹虎吉一座は安政4年に、大阪から江戸へ出て興行を打ちます。
これが超のつく大人気に。
2カ月の間に浮世絵30種以上がつくられたそうです。
(彼は慶応3年、一座30名を率いてアメリカにわたり人気を博しましたが、その地で客死しました)
虎吉の得意技は(絵にも描かれていますが)、仰向けに寝転んで両足を上にあげ、
そこに人の背の3倍ほどもある長い竹を一本ずつのせ、竹の先端には短い「橋」が置かれ、
その橋の両端から、つま先をひっかけただけの2人ぶら下がっているというもの。
画中にはほかに、人間より巨大な独楽を右手の上で回している人や、どうみても細すぎる行灯を並べ、
その上を歩く人、木の枝からつま先だけひっかけてぶら下がった2人が手で持つ綱の上を
綱渡りしている人など、今見てもすごい芸の目白押し。
ユニークな日本の衣装と言い、この芸のすごさといい、外国でも受けたのは当然という感じです。
なお、雷様も描かれているのですが、電気をつかった芸があったのかな?
さて、この絵のポイントは中央の奥に描かれた横線。
青と白の縞模様なのですが、これが画中に躍動感を与えています。
いわばマンガの動きを表す線そのもの。
赤、青、白の限られた色で、見事に華やかなわくわくする空間を描きだしています。
この絵をみた子供も大人もたまらなかったことでしょう。
浮世絵はチラシ、ポスターの役割も果たしたということですね。
そして、彼ら曲芸師によって日本の国際交流はスタートしたようです。
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幕末明治の浮世絵・探訪展
~幕末の歴史絵から明治の開化絵まで~
期 間 平成26年 3月1日(土)~3月30日(日)
時 間 9時~17時30分(入館は17時まで)
休館日 毎週火曜日
入館料 一般800円 高校・大学生700円 中学生以下無料
会 場 黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館 3階展示ホール
富山県黒部市宇奈月温泉6-3 TEL 0765-62-2000