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早竹虎吉の大サーカス

2014年03月21日 | セレネ美術館

日本のパスポート第1号は誰が受け取ったかご存知ですか?

たまにクイズで出題されますが、その人の名は隅田川浪五郎

彼の職業は・・・なんと奇術師! 

(紙で作った蝶を扇であおぎ舞わせるのが得意技とか。きっと美しかったことでしょう)

ちなみにパスポート1号から18号までが、その曲芸団の団員さんで占められています。

彼らはアメリカの興業師に雇われ、アメリカやヨーロッパで興業を行ったのですが、各地で大喝采をあびたといいます。

なんと2年にわたり、ほぼ全ての西欧諸国を廻ったとか。

 

さて、今日ご紹介する浮世絵も曲芸師を描いたもの。

 

「早竹虎吉」 歌川芳虎 安政4年1857年

はやたけとらきち  うたがわよしとら

 

早竹虎吉一座は安政4年に、大阪から江戸へ出て興行を打ちます。

これが超のつく大人気に。

2カ月の間に浮世絵30種以上がつくられたそうです。

(彼は慶応3年、一座30名を率いてアメリカにわたり人気を博しましたが、その地で客死しました)

虎吉の得意技は(絵にも描かれていますが)、仰向けに寝転んで両足を上にあげ、

そこに人の背の3倍ほどもある長い竹を一本ずつのせ、竹の先端には短い「橋」が置かれ、

その橋の両端から、つま先をひっかけただけの2人ぶら下がっているというもの。

画中にはほかに、人間より巨大な独楽を右手の上で回している人や、どうみても細すぎる行灯を並べ、

その上を歩く人、木の枝からつま先だけひっかけてぶら下がった2人が手で持つ綱の上を

綱渡りしている人など、今見てもすごい芸の目白押し。

ユニークな日本の衣装と言い、この芸のすごさといい、外国でも受けたのは当然という感じです。

なお、雷様も描かれているのですが、電気をつかった芸があったのかな? 

 

さて、この絵のポイントは中央の奥に描かれた横線

青と白の縞模様なのですが、これが画中に躍動感を与えています。

いわばマンガの動きを表す線そのもの

赤、青、白の限られた色で、見事に華やかなわくわくする空間を描きだしています。

 

この絵をみた子供も大人もたまらなかったことでしょう。

浮世絵はチラシ、ポスターの役割も果たしたということですね。

そして、彼ら曲芸師によって日本の国際交流はスタートしたようです。

 

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幕末明治の浮世絵・探訪展

~幕末の歴史絵から明治の開化絵まで~

期  間 平成26年 3月1日(土)~3月30日(日)

時  間 9時~17時30分(入館は17時まで)

休館日 毎週火曜日

入館料 一般800円 高校・大学生700円 中学生以下無料

会  場 黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館 3階展示ホール

富山県黒部市宇奈月温泉6-3 TEL 0765-62-2000

セレネ美術館HP