自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

『かえでの葉っぱ』 D・ムラースコヴァー

2014-09-27 06:18:10 | 絵本
クエストのオフィスの前の目黒川沿いは、桜並木。


この時期になると、その桜の葉が色づきはじめている。


地面に落ちた葉っぱを、思わず拾いたくなるような季節になりました。


春に咲いた桜の花は、あっという間に散ってしまうけれども、枝の葉は半年ものあいだ、桜の木を飾っている。


そして、そろそろ旅立ちの時を迎えた。


目黒川の流れに乗って海へとむかうもの、風に乗ってどこかの庭先にたどり着くモノ、掃除のおじさんに集められるモノたち、なかには、秋のワークショップの素材になるモノたちもいる。


そんな、葉の生涯を描いた作品『かえでの葉っぱ』





この物語を作った作家は、なんと1923年生まれ。


「日本のみなさまへ」と書かれたあとがきには、2012年8月とあるから、この時点で89歳。


文字通り、金色の美しいかえで葉っぱが秋になって旅立っていくお話し。


「うんと遠くまで飛ぶんだ」と旅立った葉っぱは、大きな石の間に落ちてがっかりしたり、畑の栄養にされそうになったり、子どもたちの押し葉になることから逃げたり、、、、、


そのうち、自分の姿が黒ずんできて、しまいには、冬の雪の下で動けなくなってしまう。


そのまま春を待ち、風に乗っている自分を見ると、灰色の蜘蛛の巣のようになっている自分に気づく。


やがてまた秋になる。


初めに大きな石の間に落ちた時に出会った少年に、再会し、彼に請われて旅の話をする。


たき火のそばに座る少年に話を伝えているうちに、葉っぱは燃えつきます。


「葉っぱは燃えつきました。少年はじっとたき火を見ています。みちたりた気持でした。


だれでも、たき火のそばではしあわせになるものです。


なぜだかわかりませんが、そうなのです」


90歳を間近にした作家の人生の旅が、この一枚の葉に表現されている。


そして、その人生をそっと語り、少年はじっと耳を傾ける。。



読み終えて、なんとなくこの葉っぱに自分を重ねている自分に気づく。


秋は、なんとなく気持ちが繊細になってくる。



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